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マキシマム・ザ・クラウン  作者: しータロ(豆坂田)
第二章 ナイトウォッチ編

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第50話 次の概要

 地下街の探索から一週間後。警察の捜査でM—2PIKについて少しずつ分かってきた。


「ということで、一応説明しておくわよ」


 いつものように事務所の机にホロ端末を置いて、ホログラムを表示させながら、課長が説明する。

 その周りにはミカ達特別四課の三人がいる。


「まずはこの地下空間について」


 ホログラムの表示を切り替え、地下街の外路エリアを映し出す。

 すでに外路エリアのマッピングは終わっており、完全な状態の外路エリアがホログラムとして表示される。


「現場に残っていた資料から分かったことだが、このエリアの工事が始動したのは今から一年半前ほど。工事を担当したのはミナカタ建設という企業だ」


 ウォルターはその名前を聞いて何かに気がついた様子で顔をあげる。一方でミカとミリアは何か引っかかりは感じつつもその正体に辿り着けない。課長はすぐに答えを説明する。


「このミナカタ建設だが、今はイワクラという企業名になっている。また、業務内容も建設関係から、民間軍事会社として傭兵を貸し出す仕事をしているらしい」


 イワクラ、という言葉を聞いてミカとミリアの二人が引っかかりの正体に気がつく。


「こいつらが地下街の工事を『誰』から『どのような目的』で請け負ったのかはまだ分かっていない。ただ幾つか想定する限りでは……」


 今回のM-2PIKとイワクラは一年半前から繋がりがあり、麻薬の密粒のための拠点を作り出す計画を練っていた。

 それか地下街を利用し、義体や武器の開発、実践訓練を行っていた。

 あるいは製薬会社などから人体実験に使える場所が欲しいと依頼されて作ったのか。

 陰謀めいているが、事実、ダストシティでは陰謀が渦巻いている。

 陰謀も考察に入れなくてはいけないところが面倒だ。


「ただまあ、ミナカタ建設の時の事業規模を見るに、あれだけの地下空間を作れる金があるようには見えない」


 今ままでの案はあくまでもあり得るかもしれない話。

 これから切り出すのが本題だ。

 

「つまりは、ミナカタ建設は誰かと協力してあの空間を作ったと考える方が自然」


 自然とその結論に行きつく。

 後は誰と協力したのか、という問題だ。


「M-2PIKの流通元が分かっていない以上、そことの関係を探るのは難しい」


 状況だけを見るにミナカタ建設が直接M-2PIKを作ったわけではなさそうだ。あくまでも拡張工事に協力しただけという線の方がしっくりくる。そして、そのM-2PIKの製造元については外路エリアの捜索でも手がかりを僅かにしか見つけられなかった。

 ただ、別の線ならば探れるかもしれない。


「あの場所……というよりも地下街を含めたあの地域全体はコーディネーターの支配領域だ。まずあいつらが地下街での拡張工事を知らないわけがないし、恐らく何か知ってる。ここを突く」


 コーディネーターは自らの支配領域で起きていることならばすべてを知り得ている。

 それだけの情報網を持っている。

 持っているから、彼らはコーディネーターなのだ。


「知っているとは思うが、支配しているのはダックスフリードというコーディネーターだ」


 ダストシティでも巨大な範囲を治めるコーディネーターとしてかなりの有名人だ。

 当然知っている。

 そして彼ならばM-2PIKについて知っている可能性がある、という線も十分あり得る話。


 ダックスフリードが話を聞いてくれるのか、協力してくれるのか、それは分からないが試す価値はある。

 ただその前に、今の話には前提条件に疑問点が含まれていた。

 ミリアは迷いなくその点を課長に問う。


「あの、イワクラに直接聞くのは駄目なんでしょうか」

「良い質問だ」


 イワクラは所詮民間軍事会社でしかない。ダストシティの権力構造の中では非力な存在だ。

 警察としては相手が企業というだけで及び腰になってしまうが、今回は上層部が本気で動いている案件。ダストシティの法的機関としての力を発揮してくれる、はずだ。


「ただそうとも行かないのが、今回の難しいところ」

 

 ホログラムの表示をイワクラとの提携企業や取引相手の一覧が書かれた名簿にする。


「見てわかるけど、イワクラは実質的にコグニタス社の企業部隊よ。コグニタス社が大企業であることを踏まえると、警察組織こっちも簡単にイワクラを問い詰めることができないのよ」


 イワクラはコグニタス社傘下の企業部隊組織のような扱い。

 

「まあ、色々と調べてるからコグニタス社がどんな反応するかが重要ね」


 地下街の拡張工事はあくまでもイワクラではなく、その前身となるミナカタ建設が行ったこと。イワクラとコグニタス社の業務提携は半年ほど前の出来事だ。

 果たしてコグニタス社はミナカタ建設が行った拡張工事のことを知っているのか、そしてM-2PIKのことについても認知しているのか。もし知らなければコグニタス社は容易にイワクラを切る。

 相手は大企業といえ警察《PCD》に睨まれたままじゃ色々と面倒だ。

 企業部隊を失うのはちと痛いが、補填することはできる。

 

 そう考えた時、コグニタス社とイワクラに密接な関係が無いのであればイワクラから情報が手に入る可能性が高い。

 ここの両者の関係がどの程度のところまで進展しているのかが分からない以上、警察《PCD》も下手に動くことはできない。十分な証拠が揃い次第、特別三課が動く予定だ。


 そして、ミカたちはイワクラの捜査が失敗に終わって時のための保険としてダックスフリードの捜査を任せられたというわけだ。


「以上が簡単な事の概略。色々と端折っちゃったから、詳しいことは資料で見て」


 課長を一度息を吐いて呼吸を整える。

 そして最後の伝達事項を伝えた。


「で、まあこれについてね」

 

 ホログラムの表示が切り替わり特別三課所属のレオンが映し出される。

 その横にはミカのボディカメラに記録された偽レオンの姿が映っていた。


「これについてはまだ分かってないわ。状況を考えるにイワクラの関係者か、それともM-2PIKの関係者かだとは思うけど、一体どこの陣営の人物なのか、はっきりとしないわね」 


 あの偽レオンの正体については一切不明。

 今は調べるだけ無駄だということが分かり切っている以上、この話題もここまでだ。


「とりあえずはこれで終わり。私はこの後すぐに仕事があるから」

「はい! 頑張ってください!」


 すぐにホロ端末を仕舞って帰る準備に入った課長をミリアが元気よく見送る。

 一方でウォルターはベットに寝転がって資料を見ていた。


「……」


 ミカは資料にも目をくれず昂奮を隠しきれないといった表情でロッカーの方へと向かっていた。

 パスワードを打ってロックを外し、ロッカーを開ける。

 中には拳銃や支給されてからほぼ使っていない警察服があった。

 それらに紛れて、ヴォルトハイブとマグボルトが置かれている。


「ふうー」


 軽く息を吐いてヴォルトハイブを握り締める。

 どうも手作り感が否めない粗雑な作りをしていた。

 

(来たか……)


 ミカがヴォルトハイブとマグボルトを使うのはダックスフリードと相対する時だけだと決めている。

 理由は単純。

 エルドとギルバーンが電磁機構の取引をしたコーディネーターがダックスフリードだからだ。

 ダックスフリードがあの時、エルドを嵌めた。


(よし……)


 内心で小さく呟いてからヴォルトハイブをロッカーの中に戻して、またロックをかける。

 そして部屋から出て行こうとした時にウォルターが入って来た。

 ミカは気にせずにそのまま横を通り過ぎようとする。

 しかしウォルターに呼び止められた。


「ミカ、何かあったのか」

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