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マキシマム・ザ・クラウン  作者: しータロ(豆坂田)
第二章 ナイトウォッチ編

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第49話 知らない人

 外路エリアの違法行為、ひいてはM-2PIKを取り締まるにあたって抑えなくてはいけない対象は分かり切っている。外路エリアを実質的に支配し、ジャミング機構などを整備し、違法工事でこのエリアを作り上げた奴らだ。

 まだその正体は掴めていない。

 しかし、M-2PIKを取り締まる上でまずそこは抑えなくてはならないだろう。

 

「当たりみたい――だね」


 レオンが敵を撃ち殺しながら呟く。

 中心街に近づくほど襲撃の手が強くなっている。

 敵は身体拡張者が中心。ほとんどが体内に武器を隠し持っている上に銃器で武装している。


「左のをお願い」

「分かった」


 二人は巨大な集積用のゴミ箱を障害物にして、飛び交う弾丸を避けていた。

 ゴミ箱から顔を出せば少し離れた場所から弾丸が襲い掛かる。

 敵の数は五人というところ。

 長居すれば目の前だけでなく後ろからも挟み撃ちにされる。

 ここで時間稼ぎに付き合っている時間はない。


 二人それぞれ手榴弾を取り出すと敵に投げ込む。

 敵が僅かに動じ、弾丸の雨に隙が出来た瞬間、手榴弾と共にミカたちが飛び込んだ。

 敵が障害物にしていた塀を乗り越えて敵のすぐ傍まで近寄ると近距離から拳銃で撃ち抜く。同時に、先に投げていた手榴弾が爆発し、近くにいた敵が吹き飛ぶ。

 敵を殲滅し終えると二人は合図も無しに前方へと向かって走る。

 レオンもまた特別部門所属の腕利き。

 過去に企業部隊に勧誘されたこともある男だ。


「こっちは俺やる」

「じゃあ任せたよ」


 二人が手分けして敵を片付けていく。

 低い天井と狭い通路。障害物など無く避ける空間すらあまりない一本の道を二人は突き進む。

 外路エリア自体はあまり広く無く、全力で移動すれば数分で中心地までたどり着くことができる。

 

 ひたすらに敵をなぎ倒しながら進んだ二人は、敵の猛攻によって僅かに時間がかかったものの、7分程度で目的の地点に辿り着く。


 話しを聞く限りで中心地には巨大な建物と付近にマーケットが形成されているということだったのだが。


「少し遅かったみたいだね」

「そうだな」


 急いで撤収したかのような跡が中心地には残っていた。 

 マーケットならばまだしも、中心地にあるという巨大な建物の内部には人ひとりいなかった。

 防衛施設は残されているようで、ミカたちが侵入すると外敵に反応した自動機関銃ターレットが動き出したが、すぐに破壊した。

 集会場のような広い空間を見渡しながらミカが考える。


(ただ、急いだ甲斐はあったか)


 敵は急いで逃げたが、現場を見る限りまだ証拠は幾つか残っていそうなものだ。

 すぐでにも現場を封鎖し、一般人の立ち入りを禁止する。

 もともと、ミカたちが隠密で動いていたのは敵にバレないためであって、バレた今ならば特別部門だけではなく捜査部門や巡査部門からも人員を借りて、外路エリアの大規模な探索が行える。

 証拠の回収が行いきれていない今、ここを死守することが情報を得る最大の機会になり得る。


「僕は少し、あっち見て回って来てもいいかな」

「じゃあ俺はあっちに行く」


 二人は会話を交わし、増援が来るまでできるだけ情報を集めようとする。


 ◆


 中心地に辿り着いた後、ミカとレオンが攻撃を受けることはほぼ無かった。

 二人はそれぞれ証拠になりそうな資料を回収し、そこから少し経ってウォルターとミリアが訪れた。

 事前に応援を呼んでいたこともあって捜査部門から人員が派遣され、ほぼ完全に外路エリアは警察の管理下に置かれることになった。ミカとウォルター、そしてミリアは負傷と疲労が溜まっていたこともあって、捜査部門の人員が到着するのと同時に、現場を任せて自分たちは医療施設にて治療を受けることになった。

 

「いやーどうなるかと思いましたよ!」


 病室のベットで寝かされた状態のミリアが元気よく喋る。

 今は異常がないかの検査をしているだけで、ミカとミリアはすぐに帰れる。ウォルターだけは頭に負傷を負ったので明日まで病院にいることになっている。

 ミリアが隣で同じようにベットに寝ていたミカに話しかける。

 

「無事終わりましたね!」

「何も終わってないだろ」


 あくまでも尻尾を掴んだだけで、ミリアたちを襲撃した犯人についはまだ分かっていない。それに掴んだ尻尾が偽物の可能性もある。今回の事件を機に捜査はかなり進行するだろうが、まだ正体がつかめたわけではない。

 一度掴んだ尻尾を離さないことが大事だ。


「それもそうですね。こっちも犠牲者でちゃいましたし」

「犠牲者?」


 聞きなれないワードにミカが反応する。

 ミカが知る限りで特別四課で犠牲者などいないはず。


「あ、そういえば外路エリアにいたから連絡来てないんでしたっけ」


 ミリアが通信端末を取り出して少し操作して、ある画面をミカに見せる。


「特別三課のレオンさん。今回の地下街の調査で殺されたらしいです」

「は?」


 脳内に地下街で話したレオンとの記憶が巡る。 

 確かにミカはレオンに会っている。

 ほんの少し前まで。 

 確かレオンは巡査部門が来る前にいなくなった。

 幾つかの資料を持って。

 しかし。


「ベルト環路の上流で死体で発見されたらしいです」

「は? ……いやまて」

「どうしたんですか?」


 レオンは最初、ミカに外路エリアから引き返すよう提案した。

 合理的に考えてあり得ぬ選択ではない。

 しかしもしレオンが敵、あるいは成り代わっていた誰かだとすれば、その提案は単にミカと捜査の身を案じたものではないと分かる。


「すまん、レオンの顔写真とかあるか」

「え? 急にどうしたんですか?」


 ミリアがミカから通信端末を受け取って、去年の合同訓練で撮った全体写真を表示させる。その中からレオンの顔を拡大表示して、ミカに見せた。


(顔の輪郭が……いや、一年もあれば変わる……)


 頭の中にある情報と写真から得られる情報、そしてこれまで見聞きしたすべてのことをすり合わせながら結論を導く。

 何が正しくて、何が正しくないのか。

 前提を組み合わせ、その上に現実的な予想を立てていく。


 そして得られた一つの結論。

 正しいとは限らない。 

 しかしミカが導き出した合理性だ。


「誰だあいつ」

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