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冒険者の報告書  作者: 人生迷走グミ
冒険者たちの報告書
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報告者: 『歯車の整備士』メイ・ギアライト

*【業務遂行報告書】*


報告者: 『歯車の整備士』メイ・ギアライト

日付: 星暦1025年、第十三の月の風裂期12日目

任務: エーテル灯台「漂行塔」機構異常の調査・暫定修復/C−D合同

依頼主: 沿岸保安局 第三巡視課

提出先: シークリフ冒険者ギルド


*パーティーメンバー*


機工士: 『歯車の整備士』メイ・ギアライト

(D級, シルバー, Lv29, クロックワーカーズ, 報告者)


盾兵: 『波止場の壁』ダグ・ハーバー

(C級重盾兵, ゴールド, Lv43, アイアンシールド所属, 保守派)


斥候: 『海燕』キトリ・スイフト

(D級斥候, シルバー, Lv31, ブルーランナー所属, 派閥なし)


土術師: 『礫の祈り』モウラ

(D級土術師, シルバー, Lv27, テッラオーダー所属, 派閥なし)


神官: 『潮路』フラン・セラフィム

(C級神官, ゴールド, Lv41, 白灯会所属, 中立)


*任務概要*

断崖の風穴峡谷に建つ古代自動灯台「漂行塔」で、光柱の偏向と霧笛暴走が発生。航路を外した船舶の座礁が相次ぐため、原因特定と暫定修復、併せて周辺エーテル漏れの封止を行う。

報酬は基本2800金貨+危険手当最大600金貨、沿岸保安局の技術登録ポイント×2、称号「海崖の補修工(暫定)」。


*請負成立経緯*

第三巡視課よりシークリフギルドへ一括通告。機工士の確保要請により、クロックワーカーズ経由で私に直接指名。重盾と神官の帯同を条件にC−D合同編成で承認。

当該塔は百年前の再起動記録あり、設計不詳。資料室から断片図面を写本、携行。


*経過詳細*

1. 断崖道〜基台部 (早朝・満潮前)

強風と飛沫で視界不良。斥候の索道展開で安全確保、重盾が風壁。基台の制御孔からエーテル漏気を確認(検知結晶反応:高)。土術師が仮封土で孔を狭め、神官が潮塩の浄祓。戦闘:風穴から“エア・ウィスプ”発生。非殺傷磁環で散逸処理。戦利品: [青潮結晶粉]少量(素材)。


2. 塔身内部〜螺旋機関室 (正午・干潮帯)

内壁の導光板が逆位相点滅、歯車列に塩錆。主軸に異常反力。私は歯列を分解、塩錆を除去、補助バネを追加して偏荷重を回避。神官が霧笛管に残留する「呼び潮の祈り」を鎮め、土術師が基台のひび割れに石英膠を充填。戦闘:螺旋梁に“塩晶寄生藻クリスタル・ブライア”繁茂、斥候が火薬ボルトで切除、重盾が飛散防護。戦利品: [塩晶蔓の芯]1条(素材: 抗潮性付与)。


3. 灯室〜頂部外縁 (夕刻・上げ潮)

灯室で“偏向プリズム”の座屈を確認。楔が古式規格で破損、代替品なし。携行した複合楔を加工して暫定座金を製作、プリズムを中立位へ再固定。同時に、光柱の脈動に微弱な他位相混入を検出(星術器なし、だが波形は外来性)。外縁で“砂ワイバーン(亜成体)”2体が上昇気流に乗り接近、重盾・土術師・斥候で分断、神官の結界で灯室を保護。私は灯室側から回転機構を止めずにプリズム再調整を続行し、光柱安定化。帰路、基台の仮封土が一部剥離。応急の樹脂膠を注入し当日作業を終える。


*成果*

光柱の偏向を補正、霧笛の暴走を停止。航路標の機能は規定許容内に復帰。

回収:[塩晶蔓の芯]×1、[青潮結晶粉]×1包、[古式歯車(真鍮)]×2(破損・研究用)。

報酬:基本2800金貨+危険手当600金貨全額支給、技術登録ポイント×2、称号「海崖の補修工(暫定)」。

経験値:全員+2200EXP。メイ→Lv30、キトリ→Lv32、モウラ→Lv28。


*所見と提言*

偏向要因は機械損耗+塩害に加え、微弱な外位相混入が疑われる。星術計測装置を持つ班で再測定を推奨。基台の封止は恒久処置(石枠・鉛パッキン)必須、次回はC級以上で夜間評価試験を。

署名: 『歯車の整備士』メイ・ギアライト


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*【日誌】*


日付: 星暦1025年、第十三の月の風裂期12日目

場所: シークリフ街、職人工房組合ラウンジ「歯車亭」


タイトル: 塩と風と、古い祈りの音


沿岸保安局の紙はいつも塩でふやけてる。読む前から海の匂い。

「漂行塔の霧笛が止まらない」──あの音は人を海へ誘う。昔、祖父が船乗りだった。嫌な伝承だ。


断崖は風が刃。ダグが盾で風を割り、キトリが索道を張る。モウラの土は濡れても崩れにくい、いい配合だ。

基台の孔から漏れる青い息──エーテルの呼気。潮塩で歪んだ祈りが混ざっている。フランが唱えると、霧笛の震えが一度だけ静まった。


塔の腹は古びた歯車の森。真鍮が潮で膨れて噛み合わせが狂う。私の指は小さいから、こういう時は得だ。

歯列を外して磨き、バネを追加、塩を拭い、古い油に新しい命を混ぜる。歯車は正直で、頷くように回りだす。

けれど灯室に辿り着いた瞬間、背筋が冷えた。光柱の脈が、海の波と違う拍で鼓動している。潮の拍子ではない。誰かの心拍みたいだ。


偏向プリズムの楔は昔の規格。手持ちの複合楔を削り、座金にして噛ませる。

外でワイバーンが風を裂く音、ダグの吠え声、キトリの矢、フランの結界の鈴音。私は回転を止めない。灯りは船の目だ。消しちゃいけない。

プリズムが中立に戻った瞬間、霧笛が潮の高さを思い出したように静かになった。


帰り道、基台の仮封土が剥がれた。樹脂膠を押し込みながら、光柱の鼓動を思い出していた。

――“外から来た拍子”。星術器があれば証拠にできたのに。

工房に戻って、祖父の航海記録を読み直す。「海の灯が逆拍で鳴る夜は、空の方角を見よ」

空の方角。灯台は海を照らすが、光は空にも触れる。


報酬は悪くない。手は油と塩でしわしわ。でも、機械はまた動き出した。

祈りの音も、今日は正しい。

次の満月、私はもう一度塔に登る。今度は星を測る道具を持って。

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