表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者の報告書  作者: 人生迷走グミ
冒険者たちの報告書
15/18

報告者:『紅鎖の戦斧士』ガルドラン・ヴォルク 6枚目

*【追跡・掃討任務報告書(特命)】*


報告者:『紅鎖の戦斧士』ガルドラン・ヴォルク

(B級戦士/ゴールドランク/Lv58/ブルズハウンド傭兵団出身/独立登録/保守派)


日付:星暦1028年、第十一の月〈烈砂期〉3日目

任務:逃亡幹部モーゲン・セリスの追跡および掃討/A級特命

依頼主:特命監察官局(非公開命令)

提出先:王都冒険者ギルド本部・監察記録課(閲覧階層:紅)



*同行者*


* 監査官:『白筆の記録者』レミオ・ヴァルター

(B級, ゴールド, Lv50, ギルド監査部, 中立派)


* 魔導狙撃士:『黒砂の瞳』リア・オルドレイ

(C級, シルバー, Lv42, 独立傭兵, 派閥なし)


* 追跡術士:『風痕の解析士』カナ・ジルフェル

(C級, シルバー, Lv37, 情報課, 中立派)



*任務概要*


禁呪流通に関与し逃亡したモーゲン・セリスを追跡、廃都セレファールに潜伏との情報。

現地では旧王国時代の魔導炉が稼働状態にあり、暴走の危険性が高い。

目的:容疑者の確保(または討伐)・禁呪資料の回収・魔導炉の停止。

報酬:特命報酬12,000金貨+階級昇格(A級相当)。



*経過詳細*


1. 砂漠縁・旧街道跡(烈砂期・第二刻)

 追跡術による残留魔力反応を確認。

 カナの解析により“精神結界”の残滓を発見。

 同時にモーゲン配下の私兵団と接触。敵数約30。

 交戦の末、壊滅。生存者2名より潜伏先情報を得る。



2. 廃都セレファール外縁(烈砂期・第四刻)

 廃墟群に異常熱反応。中心部で魔導炉稼働音を感知。

 レミオが封印解除符を展開、リアの狙撃で警戒塔制圧。

 突入準備中、上空に“自律式魔導兵器(旧式アーケインドール)”出現。

 戦闘時間約二刻。破壊を確認。



3. 廃都中央・旧神殿跡(烈砂期・第六刻)

 モーゲン・セリス本人と接触。

 全身に“神格符”を刻印、半変異状態。

 「新しいギルドのための浄化」なる妄言を発する。

 戦闘にてレミオが重傷。私が止めを刺し、頭部を切離。

 直後、魔導炉が暴走。

 カナが停止呪式を再起動、リアが魔核を射抜き、炉心沈静化。

 任務完了。



*成果*


・モーゲン・セリスの討伐確認。

・禁呪資料“神格符・試製型”回収。

・魔導炉沈静化、廃都崩壊を防止。

・報酬:12,000金貨+A級昇格推薦。



*所見と提言*


モーゲンの行動は狂気と理想の混合体だった。

だが、あの男ひとりの暴走で済ませるのは危険だ。

“神格符”は既存禁呪よりも遥かに高次の精神干渉を有し、

再現性がある。

この技術を完全封印しない限り、第二・第三のモーゲンが生まれる。

王都評議会に対し、“神格符”研究の永久禁制を提案する。


署名:『紅鎖の戦斧士』ガルドラン・ヴォルク



=====================



*【日誌】*


日付:星暦1028年、第十一の月〈烈砂期〉3日目

場所:廃都セレファール外縁・崩れた神殿前

記録者:ガルドラン・ヴォルク



風が熱い。

砂の中に鉄の匂いが混じってる。

レミオの包帯が焼けるように乾いていくのを見ながら、俺は焚き火をつけた。


終わったはずの戦いってのは、意外と静かだ。

叫びも火の音もなく、ただ風だけが残る。

モーゲンの頭は袋に入れてある。

持ち帰るのは気が進まねぇが、証拠だ。

血の滴が砂に落ちるたびに、昔の仲間の顔が浮かぶ。

幸い、妄言はもう聞こえねぇ。


あの男の目は澄んでた。

狂気ってのは、汚れた瞳をしてねぇんだな。

あいつ、本気で“正しい世界”を作れると思ってた。

……だから余計に、斬るしかなかった。


リアは肩を脱臼してるが笑ってる。

「また危ない任務、誘ってくださいね」って。

冗談にしちゃ笑えねぇ。

カナはまだ魔導炉の残留波を記録してる。

目が真っ赤だ。泣いてるわけじゃない。

あれは怒りの色だ。現場を知った奴の目だ。


レミオは意識が戻らねぇ。

けどあいつは生きる。そういう顔をしてる。


焚き火の炎に照らされた神殿の壁に、

古い文字が浮かび上がった。

“神を造りし者は、人であった”

……皮肉だな。結局、神を殺したのも人だ。


明日、王都に戻る。

報告して、また酒を飲んで、また誰かを守る。

それが俺の仕事だ。

英雄でも教官でもねぇ。

ただの戦士だ。だが、俺の斧はまだ鈍っちゃいねぇ。


風が吹いた。

砂が舞って、焚き火が一瞬揺れた。

炎の向こうに、もう誰もいねぇ。

でも、ちゃんと終わった。

……やっと、眠れる。


記録了/烈砂期・第七刻終わり

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ