報告者:『紅鎖の戦斧士』ガルドラン・ヴォルク 5枚目
*【内部監査任務報告書(極秘)】*
報告者:『紅鎖の戦斧士』ガルドラン・ヴォルク
(B級戦士/ゴールドランク/Lv57/ブルズハウンド傭兵団出身/独立登録/保守派)
日付:星暦1028年、第十の月〈灰風期〉22日目
任務:バルハーン冒険者ギルド内部監査・禁呪流通関連調査(極秘)/A級危険度
依頼主:ギルド本局監査部(表向き)/上級評議会特命(裏命)
提出先:特命監察官局(閲覧制限レベル:紅)
*同行者*
* 元監査官:『白筆の記録者』レミオ・ヴァルター
(B級, ゴールド, Lv49, ギルド監査部, 中立派)
* 追跡術士:『風痕の解析士』カナ・ジルフェル
(C級, シルバー, Lv36, 情報課, 中立派)
*任務概要*
“砂影商環”壊滅後、押収物からギルド幹部名義の取引用印を発見。
内部不正の可能性あり。調査権限は監察官局より発令。
任務内容:対象幹部の資金流入経路・関係者の洗出し・証拠確保。
報酬:9000金貨(成功報奨)+階級昇格推薦(特命成功時)。
*経過詳細*
1. 調査開始(第六刻)
監査部の文書庫より旧規格印章の登録台帳を照合。
対象一致:副評議員“グラン・リデル”及び訓練課長“モーゲン・セリス”。
両名とも“若手育成プロジェクト”を主導中。
2. 夜刻・内部潜入
レミオと共に北棟保管庫へ侵入。
金庫内に“禁符売買契約書”および“収益分配記録”を確認。
署名:グラン・リデル本人。
同時に、守衛2名による襲撃を受け応戦、1名重傷拘束。
拘束者の証言により、“訓練院供給ルート”への禁呪混入が判明。
3. 翌刻・摘発
上級評議会への証拠提出。
グラン・リデルは自室で服毒死。
モーゲン・セリス逃走。追跡班へ引継ぎ。
*成果*
・ギルド幹部による禁呪流通の実態を証明。
・主要容疑者1名死亡、1名逃亡中。
・押収物:[禁符売買契約書]1通、[収益記録台帳]1冊、[旧王国印章]2個。
・報酬:9000金貨。
*所見と提言*
ギルド上層における金銭腐敗は、長年の権限集中による構造的問題。
禁呪流通は単なる犯罪ではなく、“改革派”の資金源であった可能性が高い。
監査権限の拡大、および各支部の財務独立を提言する。
現場の冒険者を信頼せよ。紙の上では、戦場は守れぬ。
署名:『紅鎖の戦斧士』ガルドラン・ヴォルク
=====================
*【日誌】*
日付:星暦1028年、第十の月〈灰風期〉22日目
場所:バルハーン街外れ・酒場「灰の匙」裏席
記録者:ガルドラン・ヴォルク
リデルの死体はきれいだった。
毒で逝ったとは思えねぇほど、安らかな顔をしてた。
……それが腹立たしかった。
あいつは俺たち古参を「時代遅れ」と呼びやがった。
だが、そいつが売ったのは“人の魂”だ。
禁呪で人を壊して、金を積んで、笑って死んだ。
それでも“改革者”のつもりでいやがった。
レミオが言った。「腐ってるのは人じゃない、仕組みです」
俺は笑ったよ。仕組みを動かしてるのは誰だ?
机の上で世界を描く奴らか、血の上で生きてる奴らか。
今夜の酒は鉄みてぇな味がする。
喉が焼ける。けど、それがいい。
斧の刃も磨いた。血を流したら、また研がなきゃならねぇ。
それが俺の償いでもある。
訓練院のガキどもには、このことは話さねぇ。
夢を潰すのは早すぎる。
だがいつか気づくだろう。英雄もギルドも、
中身は人間だ。――綺麗じゃねぇ。
風が吹いて、窓が鳴る。
夜が長い。
だが、俺は寝ねぇ。
モーゲンの首を取るまで、眠る気はねぇ。
記録了/灰風期・最終刻




