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冒険者の報告書  作者: 人生迷走グミ
冒険者たちの報告書
13/18

報告者:『紅鎖の戦斧士』ガルドラン・ヴォルク 4枚目

*【密命調査任務報告書】*


報告者:『紅鎖の戦斧士』ガルドラン・ヴォルク

(B級戦士/ゴールドランク/Lv57/ブルズハウンド傭兵団出身/独立登録/保守派)


日付:星暦1028年、第十の月〈灰風期〉17日目

任務:禁呪流通経路調査・裏市場潜入任務(ギルド本部直属命令)/B級単独

依頼主:バルハーン冒険者ギルド本局・調査課(密命)

提出先:同上(内部閲覧限定)




*同行者*

なし(単独任務)

※一時協力者あり:情報屋『影写し』シル・ベナム(未登録/裏商会系/D級戦闘力相当)



*任務概要*


先日発生した「変異山賊団〈黒砂の笑い骸〉」事件に使用された呪油・香煙の出所を追跡。

市内裏市場“砂影商環”において、禁呪素材の不法取引が存在するとの情報を得る。

任務内容:流通経路の特定・証拠収集・関係者の生捕り(可能であれば)

報酬:秘密報酬7000金貨(成功時のみ支払)。



*経過詳細*


1. 潜入準備(第八刻)

 偽装身分:傭兵商会“イラル傭兵供給組合”代表代理。

 情報屋シル・ベナムを通じ、商環幹部と接触手配。

 変装:通常装備の鎖帷子を外し、軽装皮外套に変更。


2. 商環潜入(第九刻)

 “砂影商環”はバルハーン旧市街地下、香料倉庫の裏路地に存在。

 販売品目の中に“感応呪油”および“精神干渉符”を確認。

 出所は北方都市グレムライン商連。

 商環管理人“白面のデロス”が取引を取り仕切り。

 交渉中、背後から襲撃あり。シル負傷。


3. 戦闘・制圧(第十刻)

 敵構成人数約10。護衛傭兵と魔導徒弟混成。

 短剣・呪符併用型。斧戦闘にて制圧。

 管理人デロスを拘束し、呪油配合書と販売記録を押収。


4. 撤収(第十一刻)

 ギルド調査班に資料を引き渡し、裏市場は翌朝封鎖。

 シル・ベナムは軽傷、治療の上で消息不明。


*成果*


・禁呪素材“感応呪油”および“精神干渉符”の販売経路特定。

・出所:北方都市グレムライン商連 → 砂影商環(中継) → 山賊勢力へ流出。

・押収品:[呪油配合書]1冊/[禁符登録台帳]1冊/[取引印章(蛇型)]1個。

・報酬:7000金貨。



*所見と提言*


“砂影商環”の背後に、複数ギルド関係者の関与が疑われる。

取引印章の刻印は旧王国紋章の変形版、正規流通とは考えにくい。

現場で確認された“感応呪油”は人体実験用試作品。

今後、訓練院やギルド内部にも汚染が及ぶ可能性あり。

上層部による再調査を要請。


署名:『紅鎖の戦斧士』ガルドラン・ヴォルク



=====================



*【日誌】*


日付:星暦1028年、第十の月〈灰風期〉17日目

場所:バルハーン旧市街・酒場「灰の匙」

記録者:ガルドラン・ヴォルク



潜入ってのは、性に合わねぇ。

嘘をついて、笑って、握手して、斧を隠して――性根が腐る。

だが、あのガキどもを襲った山賊の“油”がどこから来たか、知らねぇわけにはいかなかった。


シルって女情報屋、口は軽いが目は鋭い。

背中の刺青がやたら色っぽかったのは認めるが、

取引の最中に敵が来るとは思わなかった。

あいつ、血を流しながら笑ってた。「ほら、言ったでしょ。匂いで分かるって」。

確かに、あの呪油の匂いは人間の腐臭に似てた。


デロスって野郎の顔は一生忘れねぇ。

面の下は焼けただれた皮膚で、笑うと音がした。

鈴の音みたいな、耳障りな音だ。

あいつが言った。「“感応”は戦を豊かにする。恐怖と快楽は紙一重だ」

……そりゃあ、戦を知らねぇ奴の言葉だ。

戦場じゃ快楽なんかいらねぇ。ただ“生きること”が痛いだけだ。


斧を振り抜いたあと、静かだった。

血の音も、商環のざわめきも消えた。

代わりに、地下の香料倉庫に溜まってた花の匂いが広がった。

血と花の匂い。どっちも似たようなもんだ。


報告は済んだ。

だが上の連中がどう動くかは知らねぇ。

裏で金を貰ってる奴もいるだろう。

だからこそ、俺は現場に戻る。

汚れた連中の血を、斧で洗うのが俺の仕事だ。


酒は苦い。

だが、苦い酒ほど、今夜はうまい。

――“真実ってやつは、甘くねぇ”

昔の隊長がよく言ってた。今なら少しわかる。


記録了/灰風の刻終わり

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