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冒険者の報告書  作者: 人生迷走グミ
冒険者たちの報告書
12/18

報告者:『紅鎖の戦斧士』ガルドラン・ヴォルク 3枚目

【護衛訓練任務・緊急報告書】


報告者:『紅鎖の戦斧士』ガルドラン・ヴォルク

(B級戦士/ゴールドランク/Lv57/ブルズハウンド傭兵団出身/独立登録/保守派)


日付:星暦1028年、第十の月〈灰風期〉10日目

任務:王立訓練院新人野外演習護衛任務/C級合同任務

依頼主:王立冒険者訓練院・教導課

提出先:バルハーン冒険者ギルド本局



*同行者*


* 剣士見習い:『新月の刃』リオ・カーデン

(E級, ブロンズ, Lv12, 訓練院所属, 新人)


* 弓士見習い:『風読み』メリア・ヴェント

(E級, ブロンズ, Lv13, 訓練院所属, 新人)


* 魔術士見習い:『青燐の灯』トリエ・フェンネル

(E級, ブロンズ, Lv11, 訓練院所属, 新人)


* 書記官補佐:『灰墨の記録士』カーレン・ドレッド

(D級, シルバー, Lv25, ギルド記録局)



*任務概要*


アルメナ渓谷西部にて、訓練院生3名の野外行軍・護衛訓練を実施。

通常行程中に“変異山賊団〈黒砂の笑い骸〉”と遭遇。

敵性:人型、構成人数約15〜20。行動傾向に異常性(魔術的催淫・錯乱効果)を確認。

交戦の上、撃退・指導対象全員生存。

報酬:基準報酬2600金貨+緊急討伐加算1000金貨。称号「訓練守護官(暫定)」。



*経過詳細*


1. 陽中刻・訓練行軍中

 谷間を抜けた地点で敵影。人声による“笛鳴き”信号。

 直後、周囲より香煙発生、精神混乱を誘発。

 トリエが術式干渉を試みるも不完全、リオとメリアに軽度の幻惑症状。

 私が前衛突破、敵の陣形を分断。


2. 宵刻・戦闘交錯

 山賊団は戦闘と同時に不明な呪油を散布、皮膚感覚過敏・錯乱を引き起こす。

 敵頭領〈笑骸のガルズ〉を確認。身体各所に鉄刺と鈴を装着。

 近接戦闘にて指揮官を斬首。残党逃走。

 副頭領を生け捕り、魔術士トリエが麻痺術で拘束。


3. 翌明刻・鎮静確認

 新人体調回復を確認。物資・記録を収集後、現地解散。



*成果*


変異山賊団〈黒砂の笑い骸〉主力壊滅。

残党数名逃走も、再編は困難と判断。

戦利品:[鈴付き鉄刺]4本、[呪油瓶]2個、[山賊信号笛]1本。

報酬:2600金貨+緊急加算1000金貨。称号「訓練守護官(暫定)」。



*所見と提言*


敵の“香煙”及び“呪油”には性的刺激を伴う錯乱作用。

原因は古代催淫符の流用と思われ、禁呪法に抵触。

調査班による残留符痕の解析を要す。

また、新人教育任務では想定外の魔術干渉に備え、

防呪符・清浄香の常備を義務化すべき。


署名:『紅鎖の戦斧士』ガルドラン・ヴォルク


=====================


*【日誌】*


日付:星暦1028年、第十の月〈灰風期〉10日目

場所:アルメナ渓谷・帰還路野営地

記録者:ガルドラン・ヴォルク



夜が近づくと、谷底の風がぬるくなる。

その匂いで“人の匂い”が混じると、戦の予感がする。


あの山賊どもはただの野盗じゃなかった。

奴ら、香油を焚いて笑ってた。

笑いながら、まるで女の声を真似たような声で。

リオとメリアの目が濁っていくのを見た瞬間、俺の中の何かが切れた。


気づいた時には、斧の刃が三人まとめて叩き割ってた。

血が砂に染みて、音もなく消えた。

俺は戦士だが、女や子供を狙う連中だけは許せねぇ。

戦場で死ぬのと、下卑た快楽で死ぬのは違う。


トリエは震えながらも符を重ねてた。

「先生、終わりましたか」と言った時の顔が忘れられねぇ。

終わったよ。全部。お前らが汚される前にな。


野営地に戻って、火を焚いた。

若い連中は黙って飯を食ってる。

誰も笑わねぇ。笑う理由もねぇ。

だがそれでいい。笑えるのは、もう少し先でいい。


飯は焦げた干し肉と黒パン。

味なんかどうでもよかったが、

リオが一言、「守ってくれて、ありがとうございます」って言った。

胸が熱くなった。

……たぶん酒のせいじゃねぇ。


夜空に鈴の音が残ってる気がした。

風が吹くたび、斧の刃が月光を弾く。

次に同じ匂いを嗅いだら、迷わず斬る。

あんな連中に若い芽を摘まれるのは、見たくねぇ。


記録了/宵環の刻終わり

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