報告者:『紅鎖の戦斧士』ガルドラン・ヴォルク 2枚目
*【護衛兼指導任務報告書】*
報告者:『紅鎖の戦斧士』ガルドラン・ヴォルク
(B級戦士/ゴールドランク/Lv57/ブルズハウンド傭兵団出身/独立登録/保守派)
日付:星暦1028年、第十の月〈灰風期〉8日目
任務:新人冒険者実地護衛訓練任務「アルメナ渓谷周辺護送路」/C級合同任務
依頼主:王立冒険者訓練院・教導課
提出先:バルハーン冒険者ギルド本局
*同行者*
* 剣士見習い:『新月の刃』リオ・カーデン
(E級, ブロンズ, Lv12, 訓練院所属, 新人)
* 弓士見習い:『風読み』メリア・ヴェント
(E級, ブロンズ, Lv13, 訓練院所属, 新人)
* 魔術士見習い:『青燐の灯』トリエ・フェンネル
(E級, ブロンズ, Lv11, 訓練院所属, 新人)
* 書記官補佐:『灰墨の記録士』カーレン・ドレッド
(D級, シルバー, Lv25, ギルド記録局, 中立派)
*任務概要*
王立訓練院より依頼。
実地訓練を兼ねて新人冒険者三名をアルメナ渓谷の補給拠点まで護送。
往路は魔獣出現区域を通過、復路は護送物資の搬送を兼ねる。
加えて、新人の戦闘行動・判断力・隊列維持を評価する。
報酬:基本報酬2600金貨+訓練監督手当400金貨。
*請負成立経緯*
ギルドより「経験豊富な現場指導者枠」で私に通達。
過去三十件以上の野外任務での護衛実績あり、B級以上の戦士に限定指定。
訓練院側より副記録員としてカーレンを同行させる要請。
*経過詳細*
1. 出立(朝暁期)
天候晴れ、南風やや強。新人三名の装備確認で半刻消費。
魔術士トリエの魔導灯に不安定な揺らぎあり、予備符で補正。
以降は標準陣形(戦士前衛・弓後衛・魔術士中列)を維持。
2. 渓谷道中(陽中期)
岩影より“ロックモール”2体出現。
リオが単独突撃し、右脚を負傷。私が前進、盾で体当たりし沈静化。
メリアの射撃精度は良好、索敵の素質あり。
戦闘後、即席で傷口を焼灼・止血。士気は維持。
3. 補給拠点着(宵刻)
補給品の搬入と防衛配置確認。
新人たちに交代制警備を指示し、夜間訓練を兼ねて監督。
敵襲なし、翌朝帰還。
*成果*
護送完了、補給拠点に補給品無事到着。
新人3名全員負傷軽微、死亡者なし。
評価記録:戦闘対応C+/行軍維持B/隊列統制A。
報酬:2600金貨+手当400金貨。
*所見と提言*
訓練院生の基礎技術は概ね標準以上。
ただし、危険判断が甘く、特にリオの突撃癖は即座に矯正が必要。
弓士メリアは指示理解力が高く、将来的に斥候適性あり。
魔術士トリエは魔力制御が弱いが、冷静な判断を評価する。
訓練課は実戦経験者との混成班を定期運用すべし。
署名:『紅鎖の戦斧士』ガルドラン・ヴォルク
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*【日誌】*
日付:星暦1028年、第十の月〈灰風期〉8日目
場所:アルメナ渓谷麓、宿屋「蒼い羽根亭」
記録者:ガルドラン・ヴォルク
朝から砂混じりの風が強かった。
訓練院の坊主どもは「これが冒険の始まりだ!」なんて笑ってたが、
昼には顔が真っ赤に焼けて口数が減ってた。
世の中そんなもんだ。戦場は、見た目ほどカッコよくねぇ。
リオの突撃には肝を冷やした。
あれは若い頃の俺そっくりだ。
無鉄砲で、勢いで動いて、気がつきゃ血を流してる。
斬られて初めて、相手の速さを覚えるんだ。
だがあいつは筋がいい。俺が盾を出すより先に、もう立ち上がってた。
昼飯は渓谷の崖下で、メリアが焼いた干し肉。
焦げたが香ばしい。笑いながら「これ、焦げも風味ですよ」だとさ。
若いってのはいい。焦げすら楽しめる。
トリエは無口な魔術士で、飯も少食。
だがあいつの目は冷静だった。俺の斧の角度まで見てやがる。
帰り際に言った。「戦場の音、少し怖かったけど、嫌いじゃない」
――立派な魔術士になるだろう。
宿に戻って風呂を借りた。
久々にまともな湯。砂漠よりゃ天国だ。
酒は渓谷の蜂蜜酒。甘すぎるが、喉に染みた。
新人どもは二階で爆睡してやがる。
あの寝顔を見てると、戦場も悪くねぇと思う。
次は誰が俺の指導を受けるやら。
どうせまた「古臭い」とか言うんだろうが、
生き残ってりゃ、それで正解だ。
――“戦は死ぬためにやるんじゃねぇ、生き延びるための稽古だ”。
明日、リオたちにそれを教えてやる。
記録了/宵環後の刻




