表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者の報告書  作者: 人生迷走グミ
冒険者たちの報告書
10/18

報告者:『紅鎖の戦斧士』ガルドラン・ヴォルク

*【討伐任務実施報告書】*


報告者:『紅鎖の戦斧士』ガルドラン・ヴォルク

(B級戦士/ゴールドランク/Lv57/ブルズハウンド傭兵団出身/独立登録/保守派)


日付:星暦1028年、第九の月〈烈日期〉十五日

任務:南方砂漠帯「クル=ハーラ遺跡群」魔蝕種殲滅任務/B級合同任務

依頼主:王都南域防衛局・砂漠駐屯支部

提出先:バルハーン冒険者ギルド



*同行者*


* 符術士:『蒼紋の見習い』リーナ・エステル

(D級/シルバーランク/Lv23/アーク学院所属/新人)


* 斥候:『影砂の猟犬』ドレイ・フェン

(C級/ゴールドランク/Lv45/ハンターズギルド所属)


* 弓兵:『陽炎の射手』カナ・リュフェル

(C級/シルバーランク/Lv33/独立登録)


* 神官:『白陽の巡礼者』ソルム・グラード

(C級/ゴールドランク/Lv41/白灯会)



*任務概要*


南方交易路の要衝「クル=ハーラ遺跡群」において、

商隊および発掘隊を襲撃する“魔蝕種群サンド・リーチャー”が出現。

群体規模は推定百体、巣穴は遺跡地下二層部。

殲滅および遺跡構造の安全確保を実施。


報酬:4800金貨+砂漠危険手当800金貨/称号「南砂討伐士」。



*経過*


* 第一環刻(黎明前)

 砂嵐の収束を待ち進軍。視界悪化、気温推定+38度。

 ドレイが風向を読み、東側ルートより侵入。


* 第二環刻(昇陽)

 地下入り口を発見。瘴気濃度中等。

 リーナが符文封鎖を試みるも魔蝕種反応活発化。

 群体先頭と交戦、斬撃・神光弾併用にて制圧。


* 第三環刻(烈陽)

 遺跡主祭壇下部に“魔蝕母体クイーン・リーチャー”を確認。

 体長六メートル、耐熱外殻。弓兵カナが右眼射抜き、

 ソルムの聖光降下と合わせ、私が戦斧で心核を破壊。

 魔蝕流の停止を確認。


*成果*


殲滅完了。地表・地下とも瘴気残留値4%以下。

遺跡構造の崩落なし、通行再開可能。

回収品:[魔蝕殻片]4個/[瘴気結晶]1個/[古代銀飾]1点。

報酬金全額受領。称号「南砂討伐士」認定。


*所見と提言*


瘴気発生源は魔蝕母体体内に残存していた古代符術炉の影響。

符術士リーナの判断で強制停止を行ったが、炉心は完全破壊に至らず。

後続の符術班による調査を推奨。

また、新人符術士の実戦投入には経験者の同行を必須とする。


署名:『紅鎖の戦斧士』ガルドラン・ヴォルク


=====================


*【日誌】*


日付:星暦1028年、第九の月〈烈日期〉十五日

場所:砂漠都市バルハーン・宿屋「赤砂の杯」

記録者:ガルドラン・ヴォルク


砂を噛んだまま酒を飲むと、歯の隙間がざらつく。

これが南方の味ってやつだ。

遺跡の中じゃ一滴も汗を拭けなかったから、今夜の麦酒は身体の芯まで沁みる。


あの新人のリーナ嬢ちゃん、若いのに肝が据わってたな。

戦場であんな細腕の女が符文を刻んでるのを見ると、

戦斧の持ち手としてはつい守ってやりたくなる。……いや、胸の話じゃない。たぶんな。


群れの処理は上出来。

ドレイの鼻がなきゃ、砂中潜行種に食われてただろう。

カナの弓も正確で、尻尾を射抜くたびに砂煙が光った。

俺の斧もまだ錆びちゃいねぇ。

魔蝕母体をぶっ潰した時、斧の柄が折れたが、あれは想定内だ。

予備の鉄骨を溶接して延命中。


帰り際、リーナが俺の背中を見て「斧の扱い、力任せすぎです」と笑った。

言われて悪い気はしなかった。

あの笑い方は、昔の仲間と同じだった。


宿に戻って風呂を借りた。

桶の中に砂が浮いてる。誰の髪だか知らんが、香料の匂いがして悪くない。

南の女は香りが強い。強い香りの下で生きる女は、戦より怖い時がある。


飯はスパイス煮込みの肉団子。味は濃いが、酒が進む。

ソルム神官は相変わらず真面目に祈ってやがる。

俺は酒で清める派だ。神より酒だ。


明日は装備を直して、北に戻る。

ギルドの事務官がまた小言を言うだろうが、報告書はもう出した。

仕事は終わりだ。

今夜はもう一杯やって寝る。

どうせ明日の朝には砂まみれだ。


――“戦場の砂は、風呂でも落ちねぇ”って昔の教官が言ってた。

ほんと、その通りだ。


記録了/烈陽後の刻

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ