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第27話 決死の戦場⸺神が告げる言葉

黒い瘴気が街を空を覆い尽くす。

大型堕天使の赤黒い瞳が、ただ私を見下ろしていた。


(っ……だめ……体が……重い……)


刀を握る手が震える。

刀がカタカタっと音を立てる⸺。

能力の反動で指先の感覚はとうに無く、血と汗で柄が滑りそうになる。

呼吸をするだけで、喉の奥が焼けるように痛い。

膝が笑い、立っているのがやっとだった。


「天音!!下がって!!」


背後から、凛子さんの叫び声が届く。

その声には、焦りと恐怖が滲んでいた。


「っ……!」


直後、大型堕天使が腐敗した翼を広げる。

空気が唸り、瓦礫が吹き飛んだ。

腐った巨腕が振り下ろされる──。

(退けない……!!私がここで引けば、凛子さんも一鉄さんも危ない!)

私は刀を逆手に構え、地面を蹴った。

しかし身体がついてこない。

脚がもつれ、避け切れなかった。


「くっ……!!」

直撃は避けたものの、掠めた衝撃で空中を弾き飛ばされる。

背中を瓦礫に打ちつけ、肺の中の空気が一気に抜けた。

「っが……は……っ……!」


呼吸が出来ない……。

視界がチカチカと暗転する。

音が遠くなる……。

重い……身体が鉛のようだ……。

(……だめ……動け……私……っ……!!)


巨体が迫る⸺。

赤黒い瞳が私を射抜く。


(……嫌だ……)

私の胸の奥が熱くなった。

(……私……あの時……)

意識の奥で、あの日の光景が蘇る。

訓練場で、自分でも制御できないほどの力を暴走させた時の記憶。


──全てを壊す力。

──仲間をも巻き込む暴力。

(……もし……あの時の力を使えば……こいつを……倒せる……?)

脳裏に一瞬、黒く歪んだ考えがよぎる。

(……でも……)

その瞬間、胸の奥から声が響いた。

《下がりなさい──》

誰かの声……じゃない。

でも、自分の声とも少し違う。

(……これは……何……?)

《これ以上……誰かが傷つくことは……許さない》

吐息が白く光り、荒廃した街に淡い光が満ちていく。

恐怖も絶望も無かった。

ただ胸の奥に、燃えるような感情があった。

(……これが……私の力……?)


私は崩れかけた瓦礫を蹴り、立ち上がった。

冷たい夜風が血に濡れた頬を撫でる。

(……分からない……けど……今は……)


刀を握る手に再び力が宿る。

震える足に力を込めた。


(この力で……守れるなら……それでいい……!!)



「八咫烏【斬撃強化】──!!」

刃が金色に輝き、腐敗した脚へと突き刺さる。

大型堕天使が苦悶の咆哮を上げ、体勢を崩した。


「天音っ!!」


振り返ると、一鉄さんが血塗れのまま立ち上がっていた。

凛子さんも、槍を構え直している。


「天音!よく頑張ったな!!行くぞ!三人で生きて帰るんだ!!」


私は頷いた。

最後の力を振り絞り、二人と共に大型堕天使へと踏み込む。


「おおおおおおおっ!!」

三人の攻撃が一斉に炸裂した。

腐敗した肉が裂け、瘴気が吹き飛ぶ。

だが──。


「ギャアアアアアアッ!!」


致命傷は与えられなかった……。

赤黒い瞳が再び輝き、腐敗した翼を広げる。

(……っ……だめ……これ以上は……!)

恐怖と絶望が胸を締めつけた、その時だった。


夜風を裂き、黒い影が降り立つ。


「……ここからは俺がやる。」


紫苑さんだった⸺。


長い黒髪が夜風に揺れ、その瞳には神すら凌駕する絶対的な威圧感が宿っていた。


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