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第25話 刀を握る勇気⸺決戦の咆哮

大型堕天使の咆哮が街全体に響き渡る。

腐敗した羽根が大きく広がり、瘴気と粉塵が竜巻のように巻き上がる。

瓦礫が吹き飛び、私は腕で顔を庇った。

(っ……! でも……退かない……!)

腐臭で吐き気が込み上げる。

瘴気を吸うたび喉が焼けるように痛い。

それでも私は、大型堕天使の赤黒い瞳を真っ直ぐに見据えた。


「ギャアアアアアアッ!!」

咆哮と同時に、腐った腕が私へ振り下ろされる。

私は地を蹴り、横へ跳躍した。

腕が叩きつけられた場所のコンクリートが粉砕され、瓦礫が粉塵を上げる。

(速い……でも……!!)

地面を滑り、着地と同時に刀を逆手に構える。

大型堕天使の腐敗した脚へ向かって、一気に踏み込む。


「はぁああああっ!!」

刃が黒い皮膚を裂き、腐臭混じりの黒血が飛び散った。

その血が頬にかかり、鼻腔を突く異臭に吐き気が込み上げる。

それでも、私は歯を食いしばった。

(効いてる……!でも……硬い……!)

大型堕天使が振り返り、私を睨みつける。

赤黒い瞳が爛々と光り、巨大な手が私を掴もうと迫る⸺。

(負けない……!!)

私は刀を握り直し、深呼吸した。


──思い出せ、紫苑さんが言ってた……

『お前も、八咫烏だ、能力を使え恐れるな』


「……っ……八咫烏【結界展開】!!」


私の足元から淡い光が広がる。

瘴気を遮断する結界が周囲を覆い、腐敗した空気が浄化されていく。

呼吸が楽になると同時に、頭が冴え渡った。


「ギャアアアアアアッ!!」


大型堕天使の腕が結界を叩くが、淡い光が防ぎ弾き返す。

その隙に、私は地を蹴った。


「……行けるっ!!」


崩れかけた瓦礫を蹴り上げ、舞い上がった粉塵の中を一直線に突き進む。


「八咫烏【斬撃強化】……っ!!」


刀身が淡く光り、刀がいつも以上に重く感じる。

それでも、私は振り抜いた⸺。


「死んで……たまるかぁああああっ!!」


刃が閃き、腐敗した脚へ深く突き刺さる。

大型堕天使が苦悶の咆哮を上げ、地面が揺れた。


「天音!!」


背後で、凛子さんが癒しの結界を展開し、一鉄さんの治癒を続けている。

淡い光が一鉄さんの体を包み、血の流れを少しずつ止めていた。

呼吸も少しずつ安定してるように見えた。


(まだ……まだ終わらせない!!)


私は刀を握り直そうとした。

── しかし、指先に力が入らない。

能力使用の反動で、腕が痺れ、焼けるような痛みが走る。

それでも私は震える指に必死で力を込めた。

(動け……っ……握れ……!)

血で滑りそうになる柄を、感覚の無い指で掴み直す。


これまでで一番、強く。

迷いも、恐怖も、全部この刀に乗せる。


赤黒い瞳と視線が交わる。

その瞳に、怒りと覚悟だけを宿して⸺。


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