表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/108

第107話 影に潜む紋章

神界の朝は静かで、太陽の光が白亜の柱を照らしているはずだった。

でも、私の胸には昨日から消えないざわつきが残っていた。


訓練場に足を踏み入れると、目の前には鎧をまとった天使たちが整列していた。

整列した姿は完璧で、動きは機械のようにまっすぐ。表情には一片の感情もない。

その胸に刻まれた、見慣れない紋章に、私は思わず視線を止めた。


(……この紋章……何か……妙な感じ……)


じっと観察していると、紋章が微かに光を放ち、その光は血管のように鎧の表面を脈動しながら走っていた。

まるで生き物のように、鎧そのものが呼吸しているかのようだった。

周囲の空気も少しずつ重く変わり、心がざわつく。


自室に戻り、文献を調べると、鳥肌が立つような情報が飛び込んできた。


(……これ……自我を蝕むもの……!?)


胸がひりつく。こんなものをまとったままでは、本当に天使だとしても、この紋章が長い間身体を蝕めば――もうただの兵器。

自我が確実に、ゆっくりと薄れていく――。


手を伸ばして鎧に触れようとしたその瞬間、背後で先代最高神の気配を感じ、慌てて手を引く。

その気配は、声よりも先に、心の奥へ鋭く突き刺さる。

胸の奥の怒りと恐怖は、抑えきれない。


(……私は……絶対に、この正体を突き止める……!)


表向きは従順に振る舞い、天使たちの整列に従う。

でも、その目は隅々まで巡らせ、鎧の秘密、紋章の正体を、誰にも知られないよう探る。


(……やっぱり……神兵化計画は止まってない……この天使達は……彼らは神兵化計画の犠牲者だ……)


胸がきゅっと締めつけられる。

整列する天使たちの中に、かつての仲間や守るべき者がいるかもしれない――そのことを考えるだけで、震えが止まらない。


――そして、私はまだ分からない。

この静かな訓練場の奥で、恐ろしい未来が確実に動き始めていることを。

整列した天使たちは、ただの兵士ではない。

これから起こる神界の変化、その最前線に立つ存在――その現実を、私はこれから目の当たりにすることになるのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ