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3人と1体の物語  作者: 端くれのぬん
第1章「前置き」
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記憶と声 後日談

俺は上京だとか、海外だとかはどうでもよかった。なぜなら生まれも育ちも都会だからだ。田舎の良さとかは知らないが、中学時代の友人からは田舎は良いところだと知らされていた。まぁ今その友人は田舎の変な風習のせいで悩まされているんだがな。


何があったかは俺があまり関わってないから軽くしか説明できないが、どうやら存在しない村扱いされている村に封印されてた変な奴が取り憑いてるらしい。「らしい」、俺はちゃんと2回言ったぞ。


俺は実に興味深いが、どう足掻いても俺には無関係の出来事なので好き放題やらせてもらった。市役所やらなんやら色々回って有益な情報を手に入れたくらいは好き放題やらせてもらったよ。その後は友人がその情報を頼りに解決したらしいが、詳しいことは教えてくれなかった。本当にケチなやつだ。


まぁそんな事は今はどうでもいい。問題は俺が実際にそういう出来事に巻き込まれたいって事だ。だって興味深い所の話じゃないじゃないか、気になるよこんなの。俺だって体験してみたいよ。百聞は一見にしかずって言うじゃん。


って事で俺の最近の趣味は旅行だ。ぶっちゃけ飽きた。だって全然何も起きないもん。墓荒そうとしても管理主に止められるし、なんかの石碑壊そうとしても絶対誰かしらいるから止められるし。自分から行こうとしてるのが悪いんかな。


そんなこんなでここで記念すべき50件目、そろそろ本気で飽きてくるから早く出くわしたいと思った矢先。俺はとても嬉しい知らせを聞いた。どうやらこの村は裏で胡散臭い宗教を信仰していて、いや、狂信していて、その風習は生贄やら御札やら祝福やら祈りやら色々噂があるらしい。とても気になる。とてもな。


俺はアクセル全開で向かってやったよ。なのに結構時間かかったから結構遠いんだろうな。こういう村は排他的だったりしそうだから歓迎されなかったらどうしようか。


とりあえず着いた。だが村は意外と俺を歓迎してくれた。ガキ共も結構楽しそうだし、一応俺は村長に会いに行こうと道を聞いた。どうやらこの坂を登れば村長の家に着くらしい。もしかしたら宗教についても教えてくれるかもしれんな。


村長の家はやはり他の家と違ってデカイし豪華だな。家が左右対称だし。もちろん都会には全く及ばないが、俺がインターホンとかあるのか探していると、なんか明らかにやばそうなアクセサリーをつけた老人が俺に話しかけてきた。どうやらこいつが村長らしいな。俺は単刀直入に宗教について聞いたが、なんか返事を濁されてしまったよ。教えてくれてもいいのになー。


とりあえず俺は宿に泊まることにした。やっぱ宿ってあるんだなーと思いながら入ったが、ほう、なかなか綺麗じゃないか。50箇所も巡った俺から言わせてもらうならここは15位くらいだな。とりあえず監視カメラやらはないようだ。安心。


俺はとりあえず日が暮れてきたので1泊し、その後村で宗教について聞きまわる事にした。まずガキに聞いてみたが、何も知らないようだな。役に立たないなーほんと。大人共に聞いても「特に宗教は信仰してない」の一点張り、こうなったら散策してやるよ。


俺は村の周辺を歩いてみたが、特にそれっぽいものは見つからなかった。友人の話によると村から離れたところにそういうのはあるらしいが、どうやら無いようだな。そういえば村長の家って何かしらありそうだよな。不法侵入ってダメかな。ダメだよな。やりづらい世の中だよ。


こうなったら仕方ない、村長に白状してもらおう。と思い坂を登っていると、村から出て森に行く人が見えた。手には山菜を取る道具等では無く、何か変な物だった。そういえば村長も変な物を持って坂を登って来てたな。……行くしかないじゃん。


俺は急いでアイツらの後を追った。森を走っていると光が見えた。多分開けた土地があるんだろう。そこには謎の小屋があった。そこにアイツらは入っていく。どうやら鍵はかかっていないようだ。俺はアイツらが出てくるまで待ち伏せし、出ていった後に小屋に入った。中は薄暗く、明かりは正面の変な石像?みたいなものにしか無かった。俺はとりあえず周りにある棚を漁り情報を得た。


どうやらここは大昔に悪魔が居たらしいな。この石像はその時の悪魔を彫ったんだろう。奴は日本を転々としていて、腹が減っては人を襲っていたらしい。その習性を利用して、この小屋に罪人を入れ、食わせていたらしいが、いつの間にかそれは権力者の脅し文句になってしまい、平民はビクビクしているとの事、アイツらお偉いさんだったのか。


たしかにそんな事を正直に俺に言えば社会に言いふらしてしまうに決まっている。自他共に認める口が軽さだからな。でも恐らくだが、その悪魔は多分今頃ここには居ないで、また別の所にいるんじゃないかな。共通点が友人から聞いた悪魔に結構あるんだよ。ってことは今は必要のない恐怖を感じて、必要のない信仰をしているって事か。えー何それめちゃくちゃ無意味無意義の無駄な行為じゃん。


とりあえず俺は次にやりたいことを決めた。とりあえず夜になるまで待とう。


俺は夜にこっそり宿を抜け出し、坂を登り、あるデカイ家に訪問した。中からは村長が出てきたので単刀直入にバットを振りかざしたよ。痛みに悶えてるのはポイント高いけど老人だから逆にマイナスだな。不合格。俺はとりあえずやれるだけの力でバットを振りかざし、トドメを刺した。


俺はそのまま車に乗り、村を出た。この村はどうなるかなんて俺は知ったこっちゃない、俺は俺のやりたかった事ができたから満足だよ。村長の血で「私はもうここに留まるつもりは無い」って書いてみたけど、あれをどう受け取るんだろうか。とりあえず今日は満足だ。明日からは何をしたくなって何をするんだろうか。


あの日からもうだいぶ経ったけど、何も起きないし大丈夫かな、俺はいつも通り出勤し、同じ部署の女と挨拶し、ノルマをこなし、家に帰って挨拶して寝るだけ。平凡だけど、とても楽しいと思える人生を歩めている満足感がある。


さて明日は何をしようか。

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