表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/10

10 火山の魔術師

一応、〆です(笑)

敵の指揮官の周囲にいた魔人は異変が起こると一部が応援に散り、残ったのは十数体だった。



敵本陣間近-

騎馬から飛び降りてユミンが両手に持った諸刃の短剣で目前の敵に斬りかかる。

同時に桜太夫がその横の巨大な魔人へ殴りかかった!


「!」


決して鈍い攻撃ではなかったはずだが、敵の反撃にふたりはあっという間にふっ飛ばされた。

呪文を唱えた老師匠の手から数枚の紙片が舞うと、みるみる鋭い牙をもった大きな獣に化身して魔人どもへ襲いかかった。


「いまじゃ!タクっ!」


魔人と獣が組み合った瞬時の隙をかいくぐり、タクは抜き身の長剣を持ったまま騎馬で敵指揮官へ肉迫して行った!



一方、右手に呪符を持ち左手に握ったオーラをまとった杖を振るって彩姫も魔人の中へ突き進んだ。

後に続くハルニーナと戦鼓隊が叩き出す勇壮な太鼓の響き。

それは波動の刃となって魔人を倒し、叩く調子が変化すると厚い防壁となって魔人の反撃を跳ね返した。

戦鼓の響きが彩姫の杖のオーラと共鳴して灼熱を発した!



彩姫の視界にも敵の指揮官が見えた。

天蓋付の神輿のようなものの四方に簾が下りている。

四方を魔人が数体ずつでこれを担いでいる。


(あいつや!)


そして、それを守る魔人と戦うタクの背を見つけた。



神輿を至近にとらえ、タクは目標を定めた。


(あれが指揮官!黒の魔術師ドーマか!)


とはいえまだその姿は簾の中にある。

あと一歩。

周囲の魔人に阻まれ、刃は届かない。


「助太刀っ!」


果敢な声とともに疾風がタクの脇をすり抜け、阻む魔人を胴切りに真っ二つにした。

瞠目するタクの視界に、ショーモン軍の鎧と神皇国の紋章が飛び込んできた。


「今です!」


あの戦場の夢でタクを救った女性騎士だった。


「応っ!」


タクが鋭く踏み込み、神輿へ斬りかかる!

担ぐ魔人が鋭く反応して神輿を反転させたが、一気に二体の魔人をタクは切り捨て神輿は転倒した。


天蓋が外れ、簾が吹っ飛び、乗っていた指揮官の姿が遂に白日の下にさらされた。

端整な白皙の美丈夫が、片頬を歪ませて笑う。

タクを見据える視線が強圧な殺気を放つ。


「貴様が黒の魔術師ドーマか!」

「……」


タクの声を無視し、男は神輿を捨てて再び巨大な体躯の数人の魔人たちの輪の中に隠れた。




戦場の中にあって、タクの動向を目で追っていた彩姫。


(タク!今助けんで!)


彼女はこれまでの戦闘魔法の呪符を支援魔法のそれにもちかえ、一心に新たな呪文を唱え始めた。

戦闘魔法に比べ支援魔法は呪文が長い。

そのすきを逃さず、魔人が彼女に殺到した!


「彩姫のバカ!」


ハルニーナは悪態をつきつつも、バチを握る手に力をこめる。

彼女の叩き出す太鼓から発せられた波動が、彩姫に向かった魔人を空気を震わせなぎ倒す。




ドーマと思しき敵指揮官を至近距離に捕らえたタクは視界の隅に彩姫の姿を認めた。


(彩姫っ!)


その彼女が呪符を持ち代えるのも見た。


(あ!無茶な!)


敵の本陣に近く、敵の真っ只中で戦闘を放棄した彼女にタクは驚きに目を見開いて、一瞬太刀を止めてしまった。




ぐあっ!




背に鋭い痛みが走る。

さらに追い討ちをかけてくる敵を女性騎士と迎え撃ったとき、太鼓の波動がそいつらを弾き飛ばした。

彩姫の無事な姿に安堵しつつ、彼は再び敵指揮官を視界に入れた。

彩姫からタクに輝くオーラが届けられる。背の痛みがやわらぎ力が満ちてくる。




戦鼓隊と【万感の太鼓】の打ち出す波動が阿鼻叫喚の戦場に響き渡る。




タクが敵の輪を崩し指揮官に迫り、彩姫の呪文がタクを守る。




追いついてきた桜太夫の鉄拳が魔人を叩き潰す。

ユミンの諸刃のナイフが敵を切り裂く。

アーネの絶え間ない発砲は正確に醜い敵を撃つ。

老師の体術と呪術は次々にそいつらにとどめを刺した。



「てぇええええいいいっ!」


タクの気合一発!


「はあああぁぁぁぁっ!」


彩姫が放った火山弾のように燃えるオーラの力を、さらに自分のオーラとあわせて太刀に込めて一気に指揮官を真っ向切り割った。




ぐあぁぁぁぁぁぁああああああああんん




火山がそこで噴火しかのような強烈な熱波と衝撃波!

戦場全体をぐわらぐわらと投げ合うように大きく震わせた!




瞬く間、戦場は静寂で満たされた。

魔人も魔物も灰のうように崩れ、荒野を洗い流す太鼓の調べに乗って粉々に…宙に舞って消え果て行った。



「!」



指揮官のいた場所から強烈な気が放射され、なにかが天へ飛び去った。

あの美丈夫の左胸にぽっかりと穴が開いていた…


「あっ!」


気の飛び去った方角へ走り出そうとするタクを強い力が押しとどめた。


「?!」


彼の腕にしがみつくように彩姫がそこにいた。


「彩姫」

「タク、あかん」

「だ、だけど」

「見てや」


彼女の視線の先には疲れ果てて座り込んでいる仲間たちがいた。傷つきうめく多くの兵士がいた。

血と魔界の瘴気が充満するそこに、これ以上動けるだけの活力は残されていなかった。


すでにこの地での戦いは収束していた。

誰一人、これ以上は立っていることすらできないほど疲労が極限まで達しているようだった。


タクは腕にしがみつく彩姫を改めて確認すると、大きく吐息をひとつ…

そして崩れるように座り込む彼を支えながら、彩姫もぺたりと腰を落とした。


「やっと逢えたんやね」

「やっと逢えたな」


ふたりの視線がまじりあい、想いが溶けあってひとつになった。


「もうあかん、動けへんし」

「うん、確かにな」

「もう歳なんやから、無理したらあかん」

「大きなお世話だ」


互いの軽口が嬉しい。


薫風と太鼓の奏でる音の波は戦場をゆっくりと穏やかに清めて行く。



「あれは…黒の魔術師ドーマじゃなかったな…」

「黒の魔術師…が敵なんやね」


彩姫は空を見上げて、悔しそうにつぶやいた。


「はじまったばかっりやね」

「ああ。これからは一緒に戦って行こう」


タクは彩姫の前髪にキスをした。


「うん。がんばろな」


透き通る白い頬をかすかに紅に染め、彩姫はタクの顔をまぶしそうにみあげて微笑んだ。



(うちは火山の魔術師や!誰にも負けへん!)



【了】

未完の完www

ずるずる書けますが、飽きるのでキリの良いところで終了です。


回収しきれないドーマの正体やら、諸々は…また20年後に回収しましょう(笑)

てか、20年後に俺はまだ書けるのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ