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【完結】 武田義信は謀略で天下取りを始めるようです ~信玄「今川攻めを命じたはずの義信が、勝手に徳川を攻めてるんだが???」~  作者: 田島はる
織田攻略編

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惣無事令

朝倉家を討伐し畿内に平穏が訪れると、義信は足利義昭を通じて全国の大名に惣無事令と上洛を命じた。


これは、大名の妻子を京に在住させることで事実上の人質とし、足利家への従属を確固たるものとする狙いがあった。


そして上洛しない大名に対しては、武田軍を主力とした討伐軍を興すことで、武田の武威と乱世の終焉を告げた。


こうして武田家の武力を背景に天下泰平が実現したのだった。


「お館様が天下の副将軍とは……感慨深いものですなぁ……」


義信の側近にして家老の長坂昌国がつぶやく。


新たに建築した京屋敷に拠点を移すと、義信は室町幕府の副将軍として日夜政権運営に携わっていた。


「よもや、この目で戦乱の世のを終わりを見られるとは……」


「感慨深いものがありますなあ……」


曽根虎盛と馬場信春が頷く。


彼らもまた、義信の副将軍職を手伝うべく、京に滞在していた。


「いや、乱世は終わらないさ」


義信がちらりと御所を見やる。


「見ろ」


義信の指す先。


御所の執務室では、足利義昭が幕臣たちと土地争いの調停をしていた。


「畿内の寺社より、武士に荘園を横領されたとの訴えが出ております」


「……しかし、この者は幕府の縁者。ことを大きくしたくはないな……」


義昭がううむと考え込む。


「我慢、してもらうわけにはいかぬかな……?」


「では、そのように取り計らいましょう」


義昭の言質をとると、そそくさと幕臣がその場を後にする。


その様子を、隣の部屋で武田家臣たちが聞き耳を立てていた。


「なっ……」


「ご自身の配下の肩ばかり持つのですか!?」


「これでは、幕府に叛意を抱く者が現れるぞ……」


長坂昌国や馬場信春、曽根虎盛が口々に不満を顕にする。


「私も何度か口を出しているのだが、一向に良くなる兆しが見えない。それどころか、最近は公方様に避けられる有様だ」


義信が肩をすくめた。


応仁の乱以降、全国に有力大名が現れたことで、義信以外にも政権運営に携わる大名は少なくなかった。


中でも、上杉や毛利は重臣の直江景綱や小早川隆景を京に置き、幕府の運営を手助けしてきた。


だが──


「直江殿や小早川殿が諫言するも、公方様はまるで意に介されぬ。……あれでは公方様から人心が離れるのも時間の問題だ」


「遅かれ早かれ、幕府内で争いが起きよう。応仁の乱の二の舞いとなるか、はたまたもっと早く決着がつくのか……」


長坂昌国と曽根虎盛がつぶやく。


「されど、この戦に勝てば、我らが武田家が天下を獲るのも夢ではございませぬな」


馬場信春の言葉に、義信が頷いた。


「幕府という沈みゆく船に乗ったのはこのためよ。幕府を牛耳るか、権力争いを優位に進めるか。……日ノ本一の国力を持つ武田であれば、どちらも造作もないことよ」


既に、毛利や島津、長宗我部といった西国の有力大名と知己を結んだ。


あとはこれらの人脈を駆使して、幕府を傀儡にするなり、天下を目指せばいい。


「征くぞ。私の天下取りはこれから始まるのだ」

ここまで読んでいただきありがとうございました。


これにて本作は完結です。


本作を完走できたのは、ここまで応援してくださった読者の皆様のおかげです。


本当にありがとうございました。


面白かったと思ったら、ブクマや評価をして頂けると励みになります。


また、詳しいあとがきを活動報告に載せようと思っています。お気に入りユーザー登録をして頂ければホーム画面から活動報告に飛べるようになりますので、そちらもお願いします。


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― 新着の感想 ―
[一言] なかなか面白いお話でした。 しかし現実の武田家の駿河侵攻は「終わりの始まり」のような気がします。 今川40万石の内駿河は15万石、徳川が侵攻した遠江は25万石。 仮想敵国の徳川との石高差は却…
[良い点] 完結おめでとうございます。 読めて幸せでした。 なるほど。 足利義昭じゃ、将軍の器じゃないから、いずれ天下は揺れますね。 納得です。 [気になる点] この後の歴史の流れくらいは知りたい…
[気になる点] 武田家の天下はこれからか!
感想一覧
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