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ゆるい短編

そらをとぶの

作者: 閑古鳥

 私は時々空を飛びます。それは竜の翼だったり鳥の羽だったり、無重力のように浮いたりするものもあります。

 翼や羽で飛ぶ時は背中がぐうと持ち上げられるようになります。そうしてばさばさと羽ばたいた風が腕に当たって少し冷たいなと感じます。背中にある翼だけで空を飛んでいるので足や腕はぶらんとしています。代わりに背中はぐぐうと翼に持ち上げられて、すこうし猫背になるのです。飛び始める時には軽く足で地面を蹴るのです。そうした方が勢いよく空に進めるのです。時には風に乗ったり羽を畳んで一気に飛び落ちてみたりもします。そうして私は翼や羽で空を飛ぶのです。

 無重力のように浮く時は宙を蹴ってどんどん上へと昇って行きます。どこまでも行けるような気がして途中で宙返りなんかもしてしまいます。ぷかぷかと風船のように空を浮いて飛ぶのです。ぐっと力を込めて足で空気を蹴ると少しだけその先へ進めるのです。体が軽くなって空気の中を泳ぐのです。息ができない水の中よりもっともっと自由に空は泳げるのです。

 けれどほんとうの体はちっとも飛べなくて、どうして私は飛べないのか不思議なのです。私は空を飛んでいても私の体は空を飛べないのです。ふわふわと意識と感覚だけが高い高い空を飛んでいくのです。時々無性に空が恋しくなるのはそのせいなのかもしれません。私は空がとても好きなのです。

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