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異世界で自助努力に徹してます。  作者: 極楽とんぼ
日常生活へ

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野菜も大事

 ジュナイドが連絡を取ってくれた温室栽培の農家は王都に近く、思っていたよりも小さかった。

 サッカーフィールド大の土地半分が休耕中、残りにバスケコート弱ぐらいなサイズの温室が二つ並んでいるだけ。

 日本で見た様な半円筒形なビニールハウスではなく、ガラスで出来た平屋みたいな形だ。ちょっと違和感があるが、ビニールシートが開発される前の温室ってこんな感じだったのかな?


「こちらが王都の一般販売用の温室です。

 隣は複数の貴族が出資して自分が好きな野菜を育てさせている温室です」

 フィルスビと紹介された温室栽培の農家のおじさんが説明しながら私らを一般販売用の温室へ案内してくれた。


 やっぱ貴族が自分用のを確保しているんだね〜。

 まあ、出来たのを根こそぎ買い占めるんではなく、出資して自分が欲しいのを育てている方が良心的だし合理的かな。


「……うわぁ。

 これってどれだけ魔術師の力を使っているんです?」

 案内された温室の中に入って、思わず一瞬絶句した。

 ぎっしりと、かなり細い通路以外のところは土になって、そこに踏み場もないぐらいきゅうりやほうれん草やトマトや。その他色々な野菜がひしめいて収穫を待っている。


 これだけ育てようと思ったら肥料だけでなく植物を育てる魔術も掛けまくってるでしょう。

 温室の中を温める、場合によっては照明で日照時間を調整するって言うだけの世界じゃないよね、これ??


 温室栽培の定義が私の思っていたのと違ったわ〜。

 流石異世界(ファンタジー)な現実。


「温室を大きくすると初期投資が高くなる上に嵐などでガラスが割れる数が増えるので、温室設備の費用と魔術師の費用との兼ね合いになるんです。

 現時点ではこれが一番効率的な比率なんですよ」

 フィルスビが苦笑しながら唖然としている私に説明してくれた。

 農家として、この不自然な野菜の育ち具合はちょっとないわ〜と言う思いは彼にもあるらしい。


 とは言え。

 ビニールシートなり、安いガラス板と防御結界なりを提供して温室設備をもっと経済的に使える様にしたら、今これを育てている魔術師の収入源を断ち切る形になっちゃう??


 出来るだけ敵を作らずに快適に生きていこうと思っている私のポリシーからちょっとずれそうだなぁ。

「温室をもっと安上がりに設置・維持できる様にした場合、雇っている魔術師の人は仕事が無くなっちゃう訳ですか?

 それとも、需要と供給的に魔術師の余力が需要に全然追いついていない感じ?」

 魔石充填で生活費なら稼げる筈だし、なんだったら植物栽培関連の魔道具を登録して売りに出せば何とかなるんじゃないかと言う気もするが、誰もが魔法陣の作成や発明が得意とは限らない。ここで働く魔術師はどうなんだろう?


「元々、冬にも新鮮な野菜を食べたいって言う貴族様の要請で嫌々こちらに来て協力してやっているんだと毎日の様に恩着せがましく言われているので、温室栽培を彼の助けなしで経営できるようになったら大喜びなのでは?」

 口元を少し歪めながらファルスビが応じた。


 おやま。

 何やらちょっと険悪な感じ?

 でも、偉そうに恩義せがましくしている相手が本当にその仕事なしで稼いでいけるかは不明だからねぇ。

 と言うか。


 他で敵を作りすぎる役立たずだから、温室栽培で役に立てとここに追いやられた可能性もそれなりにありそう。

 そんな敵を作りまくるような魔術師に気を遣って、バカ高い温室栽培の現状を変えないでおく謂れはないね!


「う〜ん、もしもこの二つの温室と同じサイズの温室を比較的安く作れて、温度調整とかの魔道具も提供された場合、現在の温室栽培経営に大きく影響します?

 例えば野菜の値段が下がって魔術師に育てさせてるのが売れなくなるとか」

 植物栽培の術を使って無理やり育てないなら、野菜の収穫にかかる期間が大分と伸びるとは思うが。


「現時点で季節外れな野菜を欲しがる人は数多くいるので、安く作れるようになってもあまり値下げは出来ないと思います。だから暫くは極端に影響はないかも?」

 ちょっと自信なさげに首を傾げながらファルスビが応じる。


「旬以外でも野菜を一般庶民が食べられるようにガンガン温室栽培を増やさせるのが私の最終目的だと言ったら。

 貴方はどうする?」

 王都全部の旬以外の野菜の需要をファルスビのところだけでカバーするのは無理だろう。

 そうなると、他の農家にも温室栽培へ参入させて、供給をガッツリ増やして相場を下げる必要がある。


 そうなった場合にファルスビへの経済的影響はどのくらいあるんだろう?

 自分の売上が減ると思ったら協力するどころか妨害してくる可能性もありそう。


「そうそう上手くいくかは分からないけど、お貴族様相手の野菜販売を誰か別の人間がやってくれるなら、ちょっとぐらい収入が下がってもいいかな〜」

 苦笑いしながらこっそり声を下げて言われた。


 どうやら貴族相手の商売というのは農家にとってはかなり苦痛らしい。


「取り敢えず。

 私の故郷でやっていた温室栽培の設備を試しに整備してみましょうか。

 上手くいくかどうかをまず試してみましょう」

 ビニールシートの製作をどうするかって問題はまだ解決されてないからねぇ。

 ガラスの方が色々と製造用の術があるんで融通がきくんだけどなぁ。


 ガラス職人って美術品系なガラス製造に転向できる人って板ガラス職人のうちの何割ぐらいになるんだろ?


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