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異世界で自助努力に徹してます。  作者: 極楽とんぼ
日常生活へ

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次は主食(7)

「あ、ジュナイドさん。

 今度、温室栽培で野菜を作るのをもっと効果的にやって、旬じゃない野菜をもう少しお手頃な値段で食べられるようにしたいと思っているんです。現在温室栽培をやっている農家か、その分野に参入したい農家を農業ギルド(農協)から紹介して貰いたいんだけど、可能かしら?」

 昨晩は夕食に現れなかったジュナイドだったが、幸いにも今日の朝食にいたのでアポを取ろうと声をかけた。


「温室栽培を??」

 ジュナイドが首を傾げながら聞き返してきた。


「私の故郷では効果的な魔道具を使って大々的に温室栽培をやっていたから、普通の一般市民でも一年中新鮮な野菜が食べられたの。

 完全にそれを再現するのは無理でも、少なくとも今の販売価格よりは安く出来る程度に栽培効率は上げられると思うわ」

 と言うか、先進国じゃあどの野菜の旬がいつなのか、知らない人も多かったんじゃないかな?

 新じゃがとか新玉ねぎみたいに、露骨に名前に旬の始め!とアピールするような名前で売り出してないと、分からない人が多い気がする。


 少なくとも、私はニンジンやキャベツの旬がいつかは知らない。スーパーであれらが売ってない時期なんてなかった。

 値段は多分変動したんだろうけど、年間のいつに安くなっているかは意識してないから覚えてない。

 なんか晴れ過ぎだとか雨が多すぎだとか、はたまたインフレで〜って感じでちょくちょく値段が上がってるってニュースには出ていたから、値が下がっても旬で安くなったのか良い感じに雨が降ったからなのかも分からなかったし。


「魔道具自体が高いのも温室栽培の費用が高騰する原因の一つなんですが、そう言えば最近は魔術師ではなく職人が作れる魔道具も出てきたと聞いています。

 そう言った物が温室栽培に活用できるならば、確かに素晴らしいことですね。

 ちょっと温室栽培農家に確認しますので、数日待って貰えますか?」

 もぐもぐとパンを噛みながら考え込んでいたジュナイドが、パンを飲み込んでから言った。


「ええ、勿論」

 早ければ早いほど良いけどね。

 明日の朝に進展を聞けると期待してるよ?


 ◆◆◆◆


 ちょっと試食のことも考えて朝食は少なめにしたとは言え、流石に食べ終わって直ぐに試食をしても美味しく感じられないだろうと暫くビニールシートの作成に勤しんでみた。


「錬金」

 家でテーブルに敷いていたビニールシートのカバーのような物を念頭に浮かべながら、手に持った薪を錬金で変える。


 なんか茶色いベロっとした形状になったが、ボコボコだし透明度も足りないし、何よりも硬い。

 硬いのはアクリル板っぽく使うなら構わないかもしれないが、透明度が必要だ。

 う〜ん。

 木からビニールシートって素材が違い過ぎるかなぁ?

 でも、ビニールシートって大元は合成樹脂から作られている筈。

 安上がりにするために石油から合成してるけど、樹脂って木の脂でしょ?

 しかも石油だって元は植物だったものが年月をかけて変質した残滓の汁なんだし。


 出来る筈!

 と言う事で、『樹脂に変質させて、それを透明なシートに! 茶色い部分は邪魔だったら別のゴミとして出ても良いから!』と強く考えながらもう一度錬金。


 今度はそれなりに透明なシートになった。

 机の上に焦茶色の粉みたいのも落ちている。

 こっちはグラファイトとかそっちっぽい感じだね〜。

 後で鉛筆の芯でも作るのに使えるかも。


 とは言え、シートがまだボコボコなので、今度はもっと平らで一様なシートを!と考えながらもう一度錬金。

 何度か試行錯誤したものの、最終的にはそれなりに日本で見た事があるビニールシートっぽくなった。満足。


 だけど。

 これって私以外の人が錬金出来るかはちょっと心配だね。

 それに。そもそも、魔術師じゃないと作れないとなると高くつくだろう。


 何か魔道具でビニールシートか合成樹脂を作れるように研究してみるかなぁ。

『合成樹脂を作る術』って言うのは存在しないんだけど。


 まだ砂とかを溶かしてガラスにする術の方が存在していた。

 ガラスを作る魔道具の開発の方が楽かも?

 ガラス職人の収入を潰してしまいそうで、心配だが。


 でも、物理的に温室を作るのが高くなり過ぎるのは困るんだよねぇ。

 取り敢えず、温室を物理的に設置するのが温室栽培の初期投資としてどのくらい重いのか、農家に聞いてみよう。


◆◆◆◆


 という事で、昼前にビニールシート作成をひと段落させて、私は台所に現れた。


 4つほど鍋を並べて、蒸し器に小麦、大麦、よく分からない穀物2種類をそれぞれ入れて、火にかける。

 取り敢えずは30分中火で蒸した後、火を止めてさらに15分蒸してから試食する予定だ。

 お米を鍋で炊くときは蓋を開けるなって話なので、今回は途中で出来上がっているかは確認しない予定だ。

 炊くんじゃなくて蒸して調理するのでも途中で蓋を開けちゃいけないのか、不明だけどね。

 まあ、昨日は何度も火が通っているか確認しようと竹串で刺しすぎて失敗したと思ったので、今日はその反省も踏まえて開けずに蒸すのだ!


 と言う事で45分後。

 毒探知で一応確認した後、まずは白かった米っぽい穀物を一口食べてみる。


 あまり味はない。

 と言うか、白米も大して味はないよね。

 私は朝食をお米と納豆およびお味噌汁で食べていたし、夕食なんかで米を食べるときは基本的に丼物を食べていた。

 だからお米って味よりも食感重視なんだなと、試食を初めて気づいた。


 そんでもって食感としては……微妙?

 乾いていないのに、ちょっとパサパサ感があると言うか。

 暫く噛んでいた後、諦めて飲み込む。

 これ単体で食べるのは、ないな〜。


 次はピンク色の穀物を口に入れる。

 ねちゃ。

 蒸したので、水分が多過ぎになるのは防げて筈なんだけど、ねちゃと言うか、べちゃと言うか。

 これと最初のを混ぜるとちょうど良いかも?


 と言う事で、両方を混ぜて食べてみた。

 うん。

 これなら結構食べられる感じだね。


 大麦と小麦を蒸したのも食べてみたが、やはり食感は微妙。

 リゾットとかにして食べればご飯を食べた感は得られるかもだけど、そのままじゃあダメだね。

 考えてみたら日本で食べた押し麦も、リゾットだったからこそ、そこそこ美味しく食べられたのだろう。


 最後に、全部混ぜて食べてみた。

 より深みとか出るかな〜と思ったのだが、イマイチ。


 う〜ん、最初の白いのと、ピンクのを混ぜて食べるのが一番マシそう。

 後はどのくらいの比率で混ぜるかを試行錯誤していこう。

 そこそこ美味しくなったら具でも入れて、おにぎりにしても良いかも。


 取り敢えず。スイーツも米もそれなりな物が手に入る様になった。あとは野菜をもう少し一年中食べられる様になれば、満足かな。







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