次は主食(5)
最初の店で大体王都に入荷する穀物と芋類ゲット出来たので、ランチ前に家に帰れた。
まあ、店の人間が『当店は王都に流通するほぼ全ての穀物と芋類を網羅しています』と言ったところで、それが本当であるとは限らないけど。ただまあ、現実としてサンプルの種類を増やしすぎても確認に時間がかかり過ぎるからね。
取り敢えず。芋類は全部蒸すのと、茹でた後に潰してマッシュポテトっぽいのを作ってみて味を確認する事にした。
という事で薪から錬金で作った蒸し器に、適当に切った芋を各種突っ込んで下の台所を借りて蒸させて貰っている。
茹でるのは流石に種類が違うのを一緒に茹でたら変な感じに味が混ざりかねないので、小さめな鍋を借りて順番に茹でている。
ハシャーナは用事があると私に台所の使用を許可して鍋の場所などを教えたら姿を消した。
「さて。
芋を待っている間に、精米よね」
多数並んでいる色んな穀物を見ながら呟く。
小麦や大麦は米じゃ無いのは確定しているだけど、レトルトの押し麦みたいに米っぽく食べられる物もあるかも知れないので、穀物は全種類買ってきた。
長粒米だったら米であろうと押し麦より私的には米っぽく無いと感じるかもだし。
異世界で日本人に馴染みがある粘り気のあるジャポニカ米が見つかる可能性はかなり低いだろうなぁ。
それこそ、下手したら戦国時代の日本にタイムリープしても品種改良前の米に満足できなかった可能性も高いと思うから、異世界で満足できる米が普通に見つかる可能性は限りなく低いと覚悟している。
大麦はあるので、餅米っぽいのか、もち麦と押し麦を混ぜて食べれば満足出来る食感になるかもと期待はしている。
流石に玄米を日本から入手したとしても、それを育てる気力はないからねぇ。
畑で普通に育てられるならまだしも、水田なんて言う特殊な生育方法が必要となると、人に委託するのも難しそうだし。
取り敢えずは各種穀物の準備だ。
魔法を脳裏で検索してみるが、流石に『精米』と言う術はなかった。
「じゃあ、研磨かな?」
『指の先に研磨フィールドを纏わせて武器の刃を研ぐ術』
『手の平に研磨フィールドを纏わせて原石の母岩を削り磨く術』
『研磨フィールドに複数の半貴石を入れて滑らかにする術』
幾つか他にも出てきたが、この最後のが一番欲しいのに近そうだ。
削る効果を弱くして、穀物の外皮部分だけを削り取る感じに調整出来ると期待しよう。
取り敢えず、まずは全ての穀物を半合ずつぐらい洗って個別の容器で水に付けておく。
精米(精麦?)しないで炊いたり蒸したりするとどうなるか、確認用のサンプルね。
それとは別に1割増しぐらいの量の小麦を取り分け、砂から錬金して作った透明なガラスのフラスコもどきに入れて、極々弱い研磨の術を掛けてみる。
ザザガガガ!
一気に小麦が茶色い粉になった。
半貴石とは言え、石を削る術は小麦には強すぎたらしい。
魔力を10分の1にして、もう一度。
ザザザザ!
もう少し実が残ったが、まだやり過ぎなのか、どこぞのエキゾチック料理なクスクスみたいなサイズになってしまった。
クスクスって最小サイズなパスタって話らしいけど、噛みごごたえが足りないと言うか、食感が好きじゃ無かったんだよねぇ。
小麦の実だけのこれって実質クスクスに近いかもだけど、これじゃあダメだね。
無駄も多すぎるし。
と言うことで、魔力を20分の1に。
今度こそ上手くいって欲しいねぇ。
シャカシャカシャカ〜。
中身をかき混ぜる効果も術の一部らしく、フラスコの中でシャカシャカと音を立てながら小麦の色が薄くなり、下の方に粉っぽい何かが溜まり始める。
おお〜。
良い感じでに、外側が削られている感じじゃない!
どれだけ削れば良いのか微妙に不明だけど……かなり白くなったら多分食べる実の部分が剥き出しになっているんだよね?
何度も止めて、実の状態を確認しながら削っていき、皮っぽい部分が多分無くなって白くなってきたところで終了として、中身をざるの上に出してみて揺すってみる。
手に取ってみたらかなり粉っぽい。指で擦ってみたら白い実が出れ来たので、多分皮が無くなっている…んだと思う。
これも洗って吸水させておかなきゃダメだけど、どのくらい水に浸けておくべきなのかな?
まあ、流石に水に浸けすぎても溶けてなくなるって事はないだろう。
精米した白米だって、冬は前の晩に研いで適量の水と一緒に炊飯器に入れてタイマーで朝に炊いていたのだ。
蛇口から水を出しながらざるの上にある小麦の粒を洗い、下の鍋に溜まる水がほんのり白い程度になったところで止める。
米も、完全に白い汚れ(?)がなくなるまで洗うのは研ぎ過ぎだって聞いた気がするし、実際に家でお米を炊いた時もそこまでやってなかったからね。
これで炊いたり蒸したりした後に舌触りが悪かったら、次回修正していこう。
取り敢えず洗い終わった小麦を水に浸けておく。
他のも同じような感じにやっていかないとだね。
と言う事で他の穀物類もガンガン研磨して白くなるまで削った。
種類によっては皮の剥きやすさに違いがあり、30分の1にしないとダメなのとか、20分の1だとかなり時間がかかるのとかもあった。
更に一種類、中までピンクなのがあってそれはいくらやっても白くならないので、最初の一回はまだかな〜と削り続けている間にうっかり殆ど粉状態になりまで削ってしまい、やり直す羽目になった。
取り敢えず。
これで良いいね!
後は明日の朝にまずは蒸してみようか。
蒸すんだったら時間さえ掛ければ最終的には水分が行き渡ってちょうど良いぐらいに出来上がるよね?
炊くのは水分量の調整を間違えるとべちょべちょか芯が硬いかになりそうだから、最初の一回は時間が掛かろうが比較的食べられる状態で出来上がると期待してる蒸そう。どんな味になるか、楽しみだ。
まあ、明日の朝まで吸水するので味見はまだだけど。
待っている間に芋の試食だ!




