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異世界で自助努力に徹してます。  作者: 極楽とんぼ
日常生活へ

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帳簿の付け方(2)


 欠伸をしつつシャルノの後をついて行ったら、オープンマーケット的な広場に出てきた。

 あれ、ここって昼間は屋台が沢山出ている場所なんだけど。早朝は近隣からの食材を農家が売りにきているのか。


「基本的に買い付ける農家は何軒か決まっているんだけど、彼らも収穫次第だから毎日来る訳じゃないし、新しい農家が来ることもあるから、ざっと見て回ってから必要な物を買い付けるのよ」

 シャルノがそう説明しながら素早く広場を動き回り、値段や物の詳細を聞きつつ時折何かを買っている。

 流石にここではちょっと目を引きそうなので、私は絨毯から降りて歩きながら彼女の後を追う。

 収納ブレスレットに買った食材を入れてあげても良いんだけど、流石に宰相にすら家宝レベルだと認識されている魔道具を街の喫茶店の店主に持たせる訳にもいかないし、今日だけ楽になってもしょうがないから荷物は私がちょっと手伝って持ってあげる程度で済ましている。


 収納ブレスレットに冷却機能もつけたら、こういう買い出しの時にすごく便利そうなんだけどなぁ。

 でも、私にしか作れない便利な物を迂闊に広めるのはヤバそうだからね。

 魔法陣を研究して一般的な職人でも作れるようにするのは、ちょっとリスクが高過ぎる気がするし。

 第一、このブレスレットは私が身に付けているから魔力の補充が出来ていて動力源が要らないのだ。

 マジックバッグ的に単体のモノに収納機能を付けようと思ったら、かなり強力な魔石と素材が必要になりそう。


 それでも目が飛び出るほど高かろうと欲しいって人は多いだろうが……日本で無かったモノをこちらで広げた時の影響が分からないから、手間暇かけて開発する気にはなれないんだよねぇ。

 密輸とか、暗殺用の道具入れとか、戦争時の補給とか、ヤバそうな使い道が幾らでも思いつくし。目が飛び出るほど高くなったら庶民の生活を便利にするのではなく、そう言うヤバい使い方優先になるだろうし。

 まあ、戦争は魔族のお陰でほぼ無いんだろうけど。暗殺と密輸は無くならない。山賊とかも人殺しの頻度と数を抑えれば魔族の襲撃はそうそう無いらしいし。

 そう考えると、これは製造方法の失われた家宝って事にして私にしか使えない、私だけの持ち物ってしておく方が無難だよね。


 そんな事を考えている間に市場での買い物は終わったのか、そこから別の方向に向かう。何やら良い匂いがしてきたと思ったらパン屋(ベーカリー)にたどり着いた。

「サンドイッチ用のパンは毎朝ここで買ってるのよ。

 余ったら私の夕食と翌朝の食事になるけど。

 それでも食べきれないぐらい余ったら孤児院にでも寄付しようと思っているけど、幸いにも今のところそんな羽目にはなってないのよね」

 シャルノが中に入りながら教えてくれた。

「オーブンがあるんだからミズバンが焼いているのかと思ってた」

 菓子パンも売ってたよね、彼?


「サンドイッチ用のパンは菓子パンとは違うからね。

 使う小麦粉とかバターの量とかも変えなきゃいけないから、面倒すぎて嫌だって断られたし、こっちの方が美味しいのよ」

 シャルノが笑いながら教えてくれた。

 そっかぁ。

 食パンと菓子パンって形が違うだけなのかと思ったが、小麦粉まで違うのか。

 ちょっとびっくり。


 市場やこのパン屋での買い物で払った金額を日付と名前を書いたリストの横にメモっておいた。

「そう言えば、ケーキやシュークリームは注文があったら随時ミズバンのところから取ってくるの?」

 今まではあまりバックヤード()(?)での動きには注意を払っていなかった。

 態々壁をぶち抜いて繋いだんだから、それもありだろうけど人の行き来が多かったら幾つ売ったのかとかの記録も無くなっちゃいそう。

 ミズバンは確実にどんぶり勘定で、売った数もしっかり把握してなそうだし、ミズバンとシャルノの間での支払いがどうなっているのかも聞いていない。


「最初はそうやっていたんだけどね〜。

 なんか収集が付かなくなったし、小型な冷蔵庫の試作品も来たから、人気なシュークリームとその日のオススメケーキだけは10個ずつ纏めて受け取って喫茶店の方の冷蔵庫に入れて、それが無くなったら向こうに受け取りに行ってるの。

 それ以外のケーキの場合はミズバンのところで買ってきて、喫茶店でお茶かコーヒーを頼んだらお皿とフォークを提供する形にしてるわ」

 シャルノが言った。

 なるほど。

 喫茶店的にはシュークリームと本日のおすすめ以外のケーキは別払いって感じなんだね。

 人気なシュークリームと、喫茶店の方にフラッと入ってその日のオススメを頼む人はケーキとドリンクをセットで買ってお金を払うが、ミズバンのところでその日にあるケーキをショーケースで見て選ぶ人はあっちでケーキは買って、喫茶店はそれを食べる席と食器プラス飲み物を提供している感じなのか。

 まあ、全種類のケーキを揃えおいても売れなければ無駄だし、見て選びたい人にはどうせミズバンの店に行って選んで貰うんだから、それが一番効率的そうだよね。

 店員が毎日全種類のケーキの説明を覚えなくて済むし。


「ミズバンとのお金のやり取りはどうしているの?」

「その日の終わりに集計して渡しているわ。

 私の方はちゃんと毎日の売り上げを書いて記録しているけど、アイツはいい加減だからね〜。

 何日分かを纏めたりしたら収拾つかなくなるんで、毎日どれだけ疲れていようと1日の終わりにやってるの」

 シャルノが言った。


 どうやらミズバンの『美味いものを作れば店は儲かる。金の計算なんて暇になったらでいい』と言うスタンスは相変わらずなようだね〜。

 あそこも、そのうち経理士っぽい人を雇うといいんじゃ無いかな。


 と言う事で、朝の仕入れを終わって店に戻った。

 残念ながら私にちょくちょく説明していたせいか普段より多少時間が余分に掛かったらしく、結構開店時間ギリギリになってしまったので開店前に仕入れの仕訳の仕方を説明する時間は無かった。

 まあ、先に綺麗に仕訳しておいて、夜に説明する方が試行錯誤的な混乱が無くて良いか。







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― 新着の感想 ―
最初から読み返さないとストーリーを思い出せないだけど……(笑)
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