未亡人の覚悟と頭のおかしいアイテム
あの後、私はデコイ希望の未亡人たちと面談を行った。
今回の希望者は約20人、面談は淡々と進んだ。
デコイ希望者の未亡人たち一人ひとりと向き合い、彼女たちの覚悟を確かめる。
どの女性も状態の差はあれ、一見救いようのない状態に見えた。
いや、決死の覚悟という言い方が適切だろう。
愛する家族を一刻も早く取り戻すための、強い意志がそこにあった。
しかし一度2Pカラーをマジチン100%でズタボロのアヘ雑巾にし、その様子を目の前で見せて『これよりひどい状態になる覚悟はあるのか?』と再度問うたところ、半分に怯えの表情。
残った半分の内の8人も恐怖を無理やり抑えているように見えたので、モッさんのメンタルを考慮し除外。
最後の2人?
……ガンギマリでした。
『これだけの対価を払うのです。この無力な私でもようやく娘たちを救う力が手に入る』とか。
『意識は最後まで残るので?あぁ残ってそうですわね♪なら最期魔族に突進するときに愉悦できそうですわ★』とか。
完全に自分自身駒にしてあわよくばデコイとして自爆するときの想像とかで焦点の定まらない目でうっとりしてた。
思わず「あの、尊厳とかそういうのは良いんです?」って突っ込んだよ。
頭にクエッションマークを浮かべた後に2人そろって同じコメントだった。
「「それ、囚われの娘たちより優先するものです?」」
完全に『手に入れたい成果>>>>>>自分自身の命を含めた尊厳諸々』になってる部類の人だった。
ついでに自領で散った旦那の復讐ができれば万々歳。
あとはもう知らんといった奴。
結局、モッさんにデコイにしてもらう未亡人はこの2人となった。
鬱イベ発生タイミングを知っているモッさんにとって一刻も早く魔王城凸を敢行したい現在、もし20人全員デコイにするとなったら、三日三晩嬌声と悲鳴が上がり続けることになっただろう。
そんな状況になっていたらモッさんの体力はともかくとして、私とモッさんのメンタルが持たなかっただろう。
そう考えると少数に絞れたことはむしろ良かったともいえる。
そして絞り込んだ2人は順番にモッさんに抱かれていった。
2人ともモッさんへの敬意なのか、きらびやかに、それでいて扇情的な脱がしやすそうなデザインのドレスに身を包み、汗だくになっても化粧が崩れないようにか、抑え目の化粧で部屋を訪れてきた。
行為は淡々としていた。
モッさんは何も考えないようにしてたんだろう。
淡々とマジチンLv3出力100%を2人にぶつけ続けていた。
そして、3時間も経つ頃には2人のステータスの状態異常画面には『デコイ化廃人(回復不可)』の文字が表示された。
それと時を同じくして2人の末路を私と一緒に見守っていた2Pカラーの手の上に2つのアイテムが生成されていた。
アイテムを確認する前に、外から彼女たちの従者を呼び寄せる。
原作ではデコイ化の時の壊れた様そのままで敵にぶつけられていたがそんなことを私が許すわけがない。
すぐさま浴室に運ばれ、身を清められ、バスローブでくるまれた後に車いすに乗せられ退出していく。
全身性感帯と化しているので従者に触れられるたびにびくびくと震えながら嬌声を上げる姿は、ゲームなどで思い入れのないキャラクターとしてみるのであれば「うわえっろ」とか言えるのだろうが、こんなクソ世界で覚悟を見せられた後の末路の姿としてみると胸糞でしかない。
従者にも慕われていた人なのだろう、主人がそう震えて声を上げるたびに自らの手を血がにじむほどにきつく握る人や嗚咽する人もいる始末。
あぁ、貴重なまとも枠の人だったろうに……私たちが壊してしまった。
やっぱり元老院のアレどもを代わりにデコイにすればよかったんじゃないかという思いが芽生えるが、いくら自分たちと利害関係が対立する人間だからと言って、それをやってしまったら私の良心が終わる程度の分別はまだあったので、頭を振って誘惑を退散させる。
そうだ、モッさんの待つ寝室に戻る前に、アイテムの確認をしておこう。
思考をリセットするためにアイテムに意識をそらす。
テーブルの上に置かれた生成されたアイテムは『おもちゃの電車のようなもの』と『メロンパンくらいの大きさの赤い押しボタン』。
2Pカラーが生成したアイテムだからか、2Pカラーが手に持つとステータス画面で内容が確認できるようだった。
「アイテムのステータス見せて」
「わかりましたわ~~ステータス、アイテム♪」
2Pカラーが表示させたステータス画面をのぞき込む。
アイテム名:痴漢専用車両(特別快速)
効果:
使用すると快速特急電車が現れる。使用者のレベル未満の敵対者を電車内に連れ込める。
電車内に連れ込んだ相手は攻撃ができなくなる。ドアが閉まるといつの間にか満員になってるよ。
使用者も攻撃できないが痴漢行為は可能。仲間も8名まで共犯者として同乗可能。
使用中は特別快速程度の速度で最大120分移動も可能。痴漢せずに5分が経過すると効果が消滅。
アイテム名:アクメスイッチ
効果:
対象を選択(目視)しボタンを押すと使用者のHPステータスの1.5倍の相手までなら問答無用で相手をアクメさせられる。
連続使用は5回で新品の電池が切れるので注意。
単二電池2本。初回限定特典で電池封入済み。
JIS規格非対応注意。
「空気よめよクソ世界がよぉ」
相変わらず頭のいかれたアイテムに思わず悪態が出る。
やばい時の一時撤退に使えそうな良アイテムなのに、アイテム名と見た目と使用することで発生する絵面に悪意しか感じない設計にイラつく。
これ絶対使用者がモッさんってわかっててアイテム生成してるよな?
アイテム生成システム的な奴に人格がある気がする。絶対ある。
で、どーせ翔太さんとかケイさんが使う想定のシチュエーションだとそれ相応のモノが出てくるんだろ?
「……おF*ck!!――――――(放送禁止用語)!!――――――(放送禁止用語)!!!」
「お、お姉さま!?どうしましたの!?」
悲壮感バリバリのシリアスシチュのあとのこのアイテムという現実にキチゲ開放する私。
いきなりキチゲ解消した私に取り乱す2Pカラー。
「ふー……ふー……」
「お、お姉さま?お加減がよろしくないようでしたらお休みになられては……?」
怯え半分、心配半分といった表情で見てくる2Pカラー。
お前そんな表情できたのね。
2Pカラーが人間らしいリアクションをしたことにより、一周回って落ち着いてきた。
「いや、大丈夫だ……」
そうだ、すでにこの世界が末法が天国に見えるゲロカスゴミカス基準ってことはわかってたじゃないか。
落ち着こう私。
優先すべきことがあるはずだ。
そう、モッさんとか。
そうだモッさんだ。
世界のあんぽんたんな仕様とかどうでもいいわ。
ダメージを受けてるであろうモッさんの様子を見に行かねば。
きっとひどい状態になっているに違いない。
そう私は切り替え、2Pカラーを連れて寝室に入る。
ベットの上では体液まみれのモッさんがうずくまってズビズビと号泣をしていた。
そばで見ていた私でさえ罪悪感で胸が痛いんだ。
実行犯たるモッさんの心境は私は推し量れない。
巨体を縮ませ、丸くなりながら「ごめん、ごめんよ、ごめんなさい」と設定ミスった音楽アプリの様に繰り返すモッさん。
2Pカラーと顔を見合わせて、ゆっくりと2人でベットに乗り込む。
のそり、と顔を上げ鼻水と涙まみれのモッさん。
何かを言おうとしたその口を2Pカラーの唇でふさがせ、私はモッさんの耳元でつぶやく。
「大丈夫だモッさん。お前は悪くない。これは私の決断だ。これは、私の罪だ」
なにも全部背負う必要はないぞ。
そういうのを背負うのも巫女の仕事だ。
いや、むしろ背負いすぎるな。
そういうのは私の方が背負いやすいんだ。
お前につぶれられると困るんだ。だから私のせいにしてしまえ、全部私に投げちまえ。
お前はバカエロの何も考えない種付けおじさんでいい。
そうだろ?




