プランC
勇者と巫女来訪からの冤罪事件の翌日早朝。
各々の部屋で朝食を食べ終えてから、私たちは再び応接室に集まった。
出席者は私を含む巫女3人と勇者2人と2Pカラーとぼろ雑巾。
ぼろ雑巾はモッさんのことである。
昨日は一晩中絞られたようだ。
本来は入浴のあとに反攻戦略の件での話し合いを持つ予定だったのだが、2Pカラーの有無を言わせない雰囲気により議論は翌日に持ち越し。
私が純潔を散らしたモッさんの寝所にモッさんと2Pカラーが消えていった。
1時間後くらいに部屋に入ったときにはすでにぼろ雑巾状態のモッさんと目がハート状態でモッさんにまたがる2Pカラーの姿。
2Pカラーは「あぁ、これが世界。これが、幸福」とかよくわからないことを言いながら腰を振っていた。お楽しみのようでなにより。
丁度良いのでバフ更新用に2Pカラーにモッさんを掃除させたのち、出そうな限界まで責めさせて出る直前でバトンタッチする実験では普通にバフ更新ができた。
やったね。
翌朝である今日の朝にモッさんの寝室に入ったときにミイラになっているモッさんを見た時は胸がすくような思いだった。
この想いは何だろう?ざまあ?
転生直後からモッさんに好き放題されてたから性方面でモッさんがぼろ雑巾になってるのが楽しかったのかもしれない。
うん、モッさんは今日から毎日2Pカラーに絞ってもらおう。
あ、ちなみに2Pカラーの名前は正式に2Pとなった。
モッさんはダークエルフの都市だったからニザヴェッリルからとってリルって名前を提示したが亜人由来の名前は断固拒否ということで2Pとなった。
どんだけ亜人嫌いなんお前……。
ちなみに私は2Pだけだとなんとなくおさまりが悪いので私は2Pカラー呼ばわりする。
だって私の2Pカラーだし。
なお、昨日私に出した後、モッさんは「ケテ……タスケテ」とか言っていたが「種付けおじさんなんだから頑張れ」と言ったら「そうだ!種付けおじさんとしてセックスで負けっぱなしの訳にはいかんのじゃぁ!今夜は2Pちゃんがギブアップするようになるまでがんばるんじゃぁ!!!」と奮起してた。
そこに誇りがあるのか。すごいな。
でも結局負けてミイラなんだなぁ。
朝食食ったらぼろ雑巾にアップグレードしてたからモッさんの回復力も大概なもんだが。
まあそんな経緯で持ち越しになっていた議論。
ようやく現状把握開始ということで、今回主導するのは政治担当のケイさんとのこと。
「じゃあ、改めて対魔王軍反攻作戦プランCについての話を……初めていいかな?」
モッさんを一瞥して一瞬ドン引きしたのち、ケイさんが各自を見回して確認する。
特に異論がある人はおらず話が開始される。
「じゃあまずプランCの確認ね。今のプランCは数日前にモッさんからもらった情報をもとに作ったものだから今回のブリーフィングで適宜修正していくよ」
そう補足してケイさんは続ける。
ケイさんが説明する内容はこうだ。
まず、プランCはプランAとプランBとは大きく変わって、基本西部戦線を無視するやり方になる。
プランCは一言で言うならば『全力斬首作戦』。
具体的には、侵攻作戦開始前にアーコロジー管理権で亜人連合を恫喝することによりそもそも西部戦線を発生させないようにし、空いた勇者・巫女リソースすべてを魔王城攻略に投入する作戦。
プランAプランBでは最低でも勇者二人が軍を率いる想定だがそれもなし。
全力少数精鋭で魔王をとにかく早期に無力化して一般戦力は通常軍に任せる方法。
ここまではいい?とケイさんが皆を見回す。
特に疑問も出なかったのでそのままケイさんは続ける。
「弱点としては亜人連合に宣戦されたら一瞬で詰むことだけど、そこは亜人連合も主要アーコロジーの崩壊させてまでーーつまり自らの即滅亡を天秤にかけてまでこちらを攻めてはこないと自分は見ている」
「根拠は?向こうにとっては民族浄化は1世代前の出来事でしょう?そんな相手が破壊手段を持っているのに予防戦争を行わないの?」
翔太さんが亜人連合無視に関する部分に確認を入れる。
「正確には、行えないが正しい。勘違いしがちだけど彼らは僕らから見ると復讐者に見えるかもしれないけど、国を動かしているのはただの僕らに深い恨みを持っているだけの理性的な施政者だ。そもそもプランAとプランBで亜人連合が確定で宣戦してくると見ているのは、原作イベントってこと以外にもそれで彼らが『勝つ見込みがある』つまりリスクとリターンが見合っていると考えていると推測できるからだ。一方でダンジョン攻略前時点の情報でもアーコロジー管理権を奪える前提のプランCでは、彼らは人類に喧嘩を売った瞬間にアーコロジー崩壊のリスクという特大のコストを払う羽目になる。たとえ彼らが勝って人類という不倶戴天の敵を倒せたとして残るのは崩壊した自国の国土と不穏分子はびこる旧人類領での終わりの見えない民族浄化作業。とてもじゃないけど国家として実行なんてできやしない」
「でも、原作では感情のままに進行して大惨事になってるじゃん?」
ケイさんの説明に追加の疑問を投げかける翔太さん。
たしかに、いくら国家が理性に基づいて動くとしても、その中身である上層部の感情というのは無視できない。
前世の世界だって理性で考えれば発生しない戦争なのに、なぜか発生しているなんてことはごまんとある。
「本当に復讐心だけで動いてるなら、自分ら転生者が転生してくる少し前の魔族大侵攻で人類領になだれ込んでるよ。それをしなかったのは僕らの先代の勇者の覚醒が原因だけど、この事実そのものが彼らがまだ国益と感情のバランスが取れていることを表していると自分は思う」
「プロローグでナレ死してた彼らか。確かに……プロローグのあれも大概ひどい状況だったしね……そう考えると納得できるね」
ケイさんの補足で翔太さんは納得した様子。
しかしプロローグからなんかひどい状態なんかこのゲーム。ナレ死て。
「プロローグのあれってね、前世で言うところのスターリングラード戦からバクラチオン作戦みたいなのがあったのよ」
疑問に思っている私をみたリバさんが補足してくれる。
あぁそういえばモッさんも今の現状を1944年夏のドイツとか言ってたな。
ほんと末期。
「じゃあ、プランCの概要を確認できたところで前提戦力の再確認をするよ。みんな、ステータスを開示して」
「「「「「「ステータスオープン」」」」」」
ケイさんが促し、それに応じるように私たちはそれぞれステータスの開示を行った。




