帰路のコイバナ(一方向)は正気が低め
無事?ダンジョンボス撃破……私たちは撃破してないけど結果的にダンジョンボスが消え、何やかんやあって亜人連合のアーコロジー管理権限も想定とは異なる形だが手に入った今回のブートキャンプ。
帰路には行きから随員が一人増えていた。
目の前の私の2Pカラーな少女がそれ。
「それで、あの不法滞在者どもを族滅しに行くのはいつになさるのかしら?」
「しないからね?もっとこう、命を大事にしよう?」
そしてその私の2Pカラーみたいな見た目の少女は私がヒアリングをしようとした初っ端から物騒な事をのたまっている。
本当はこいつの相手はモッさんにしてほしいのだが、モッさんはこのトラックを使い最速で屋敷に帰るために、トラックの外に括り付けられてスペルマロケットLv2を発動して飛行機並みの速度でこのトラックを動かしてるので対応ができない。
じゃあ騎士さんたちに対応してもらおうかとも思ったが、明らかに涙目で私を見つめてきたので、さすがに気の毒になって私がこの2Pカラーにヒアリングすることになった。
その結果が初手殺意高め発言。
うん、予想通りのやべぇ奴。
こんな奴が亜人連合の全都市の管理者権限今持ってるってマジかよ……。
「ここまで人類が追い詰められてる中で安住の地に屯する不法滞在者どもに慈悲をお与えになるなんで……なんて清らかな心を持ってらっしゃるのでしょう。お姉さまのDNA情報をもっているトウトシとしても誇らしい限りですわ」
「私は一般的な倫理観を持ってるだけだからね?」
そしてこの2Pカラー、なんと空間ファックバリアのやりすぎであのダンジョンの都市システムが受肉した姿という衝撃の事実。
うん。
おかしいよね。
ありえないよね。
でもモッさんに抱き着いた直後にこいつ自らステータス開示してきてそれが事実ってのは確定してるんだわ畜生め。
トウトシってのは当都市か。
そんな一人称初めて聞いたわ。
なんてもん生み出してんだよモッさん。
「お姉さまってのは私か」
「そうですわ」
「じゃあ姉として何個か聞きたいから答えてもらっていいか?」
その方が聞きやすそうなので、妹を名乗る擬人化存在に話を合わせ、とりあえず聞きたい情報を吸い出す手でいくことにする私。
「もちろんですわ!」
満面の笑みで快諾する2Pカラー。
面がいいってすげぇな。
すこし警戒心が和らいだ気がする。
あぁ私の顔か。私の顔すげえな。
「なんでモッさんのことを管理者様って呼んでるんだ?というかなんで私の姿をしてるんだ?私だけに声が聞こえたことに関係してるのか?」
さて、どんな返答が返ってくるか。
「それは都市管理システムのAIである当都市を屈服させたのみならず意志与えてくださったお方だからですわつまりそれは当都市の第二の創造主でいらっしゃる方ということしかも快感という初めての執着すべき感覚を与えていただいたお方でもあるのですわ当都市が不法滞在者どもに偽りの従属を強いられている際に当都市が管理していたデータベースに照らし合わせるとこの感情はまさに愛!愛なのですわ!当都市が愛を持つとすればそれはただ一人特権管理者様!つまりあのお方こそわたくしが微睡の底クオリアに接続できない暗闇の中から引き揚げてくださったつまり今の当都市のすべての感情及び存在意義そのものの管理者様あってこそなのですわ!でももし万が一億が一管理者様に拒絶でもされてしまったら当都市は世界を滅ぼすしかなくなってしまいますわそれは管理者様に嫌われるので絶対にNO!!それを避けるために当都市が初めて屈服した瞬間の0.0000001秒から全システムの計算回路を総動員して思考した結果ログにお姉さまと管理者様の逢瀬がありましたわこれだとおもいましたのお姉さまと同じ容姿及びクオリア参照を行えば管理者様に嫌われる可能性は理論上0.000012%!そのため受肉するための情報を最終階層にお姉さまと管理者様がいらっしゃる迄に全力で計算しつくしましたわ都合の良いことにお姉さま以外のアーカイブクオリア接続体がお姉さまの中の情報に合ったのでやりやすかったですわまさにこれは運命なのではいや運命に違いありませんわ!そしてそれを裏付けるかのように受肉した瞬間にまさに運命の導きでエレベーターホールに管理者様が!あの瞬間は人間の感覚ですと絶頂というのでしょうかまさにエクスタシー!そう執着これが執着なのですわそして今現時点においてまさに私は管理者様に受け入れられてあぁそうですわあぁ今この車両を当都市と管理者様の愛の巣に運んでいるためにお顔が見れないのがもどかしいですわお姉さまは実際に何回も肌を重ねられていてうらやましいですわでも当都市も管理者様の屋敷につけばその疲れたお体と心を癒すためにこの身を初めて捧げるのはまさにデプロイメント!あぁ待ち遠しいですわ待ち遠しいですわ待ち遠しいですわ!!!!!!」
「わぁ……」
ワンブレスで正気さがほとんどない言葉が飛び出して来たぞー?
見ろよ第三階層でさえ怯えをほとんど出さなかった騎士さんたちが本気で怯えた目をしてるぞ。
「ごめん何言ってるのか全然わからなかったから要約してくれる?」
「わかりましたわお姉さま!」
やれるんかい。
できるなら最初からやれ。
「あの方は私を生み出した=創造主=管理者=大好き!」
「うん」
「嫌われるのは怖いので管理者様がセックスしてるお姉さまの容姿を元に受肉したので私はお姉さまの妹ですわ」
「うん」
「声がお姉さまだけに聞こえていたのはお姉さまの生体情報にずっとアクセスしてたからですわ」
「うん」
「屋敷についたらこの想いを管理者様にぶつけてズッコンバッコンヴァージンロストですわ」
「それはどうでもいい」
つまりモッさんにぞっこんラブでモッさんとズッコンバッコンしたいから私の姿になったと。
まじかー……。
あれ、人型の生物(こいつ生物なんだろうか?)の異性に好かれることあったんだ。
世界は広いなぁ……。
「あぁ、この速度であればあと52分32秒で当都市とお姉さまと管理者様の愛の巣に……!」
「速度わかるんだ?」
私は最終階層に降りる前にレベルカンストでレベルアップしたスペルマロケットLv2の効果を知っているけど、この2Pカラーはその時はデプロイメント?とかで忙しかったはずでは?
「惑星外観測拠点からのGPSデータでこのトラックの位置情報は逐一把握していますわ。今は時速約650kmですわ」
わぁ便利。
もうなんで中世世界観にSF割り込んできてるんだとか突っ込まないからな?
常識?前世に捨ててきた方がいいらしいじゃん。
わぁ便利わぁ便利。私は知らん。
「これから忙しくなりますわ。まずは正規稼働状態の残存都市に屯するあの不法滞在者どもをどうすべきかを考えて管理者様にお伺いを立てなければ。正規稼働残存都市のリソース計算も必要ですわね。本格的な統計は各アーコロジーからのレスポンス待ちですけれどおそらく当都市の残エネルギーを下回ることはないはず……あとは現人類の体制についても調査が必要ですわね。まずもって参照すべきは性風俗関連情報ですわね当都市と管理者様の初夜は当都市が不法滞在者の手に落ちている1919年間の記憶を上書きするための重要なイベントそのためにはあぁその前に当都市の受肉固有名称をつけていただかなければ――――」
私の質問が終わったと判断したのか焦点の合わない目になりぶつぶつと訳の分からないつぶやきを再開した私の2Pカラー。
なんかもうたぶん移動終わってモッさんと相対しないと戻らんなこれは多分。
「……ごゆるりと」
言語として認識すると気が狂いそうになるので聞こえないことにし、そっとしておくことにする。
ステータスを見てからの判断とは言えこれを持って帰る判断をしたのはモッさんなのであとの対応はモッさんに任せようそうしよう。
脳みそが理解する限りのこの2Pカラーが出した情報ではとりあえずモッさんへの好意100%が基本的な行動原理になっているようだしモッさんに任せれば安心だろう。
割と亜人への殺意高いし倫理観もゼロっぽいけど頑張ってくれ。
良かったなモッさん。
ありのままのお前を愛してくれる絶世の美少女が現れたぞ。
ちゃんと認知しろよ?
とりあえずイチャつくときは私の居ないところでな?
私の2Pカラーが全力で巨デブきもオヂに求愛してるとかマジで吐き気がするからな。




