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ボロロボ  作者: りの
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出会い

 世界には人間と同じように生活している機械がいる。それらは通称「新型ロボット」と言われていた。


 新型ロボットは、全て共通の電脳を持ち、国が提供する共通のソフトウェアをインストールしていれば、人間と同じように1人の国民として認められる。



 西暦2024年、東京に帝国ができた。


 その年、東京は謎の集団による大空襲を受け、多くの国民や建物が犠牲になり全ての権力者は死亡した。


 国民は復興を進めていたが、謎の集団は権力者のいない東京の中心に帝国庁と大きな壁を建てて日本に新しい国が創られた。


 日本は後にエンペリウムという国になった。


 エンペリウムに住む国民は名も知らない王様による独裁政治で行動を制限されていた。独裁政治に耐えられない国民は度々反乱を起こっていたものの、帝国に傷ひとつつけることすらできない程エンペリウムは強力だった。


 時は流れ西暦2043年12月31日の深夜、全世界に住むロボットのAIが不自然な誤作動を起こし全人類の抹殺のプログラムが組み込まれた。


 ロボットによる人間の大量虐殺は始まり、西暦2044年1月7日に人類は滅亡した。


 地球に残っているのは一部の動物と自我を持つロボットのみとなった。


 西暦2044年2月25日、帝国庁はロボット庁という名前に変わり、新たな秩序が作られ、機械は人間らしい生活をしていくのであった……



 しかし、約2年後……

 

 

 西暦2046年4月1日に事は起きた。絶滅したと思われていた人間が目撃されたのだ。


 その人間は小学生くらいの少女だった。


 勿論、世間は大混乱した。


「人間の少女を見つけ次第、直ちに帝国へ通報して下さい。」


 ニュース番組は常に少女の顔写真と通信番号が表示されている状態だった。


 以降、少女の目撃情報は数件報道された。

 

 西暦2046年4月7日、初の少女目撃情報から1週間が経過したが、未だに確保されないままであった。


 その日、ペストマスクが特徴のとあるサイボーグは仕事関係のとある用事を終えて、帰宅している最中だった。


「なんだこれは……?」


自宅近くまで来た時、ふと視界に入ったものを見て呟いた。


 それは血のような赤い液体だった。まるで道しるべのように自宅の庭へと続いていた。


 気になったサイボーグは庭を恐る恐る覗いた。


 そこには血だらけの少女が座っていた。


 少女はニュース番組で嫌になる程見た顔写真と全く一緒だった。


(目が合ってしまった…)

 

「あ……」

 

 少女とサイボーグは互いに混乱していた。


 「キミ、ニュースに出てきた子だよね…?」


 「お願い!殺さないで!」


 少女は涙を流し、必死にお願いした。


「いや、私は君を殺すために来たのではない。ここは私の家だからだ。」


その言葉を聞いた少女は安心したようだった。

 

「……外は危険だ。とりあえず私の家に案内する。…立てるか?」


 サイボーグは心配そうに少女に話しかけた。


「ありがとう」


 少女は嬉しそうに立とうとした。しかし、少女の両腕は無くなっており、左脚も無くなっている状態だったため、普通に歩くことは困難だった。


「仕方ない。私が運んでやる。」


 サイボーグは少女を抱えて家に入った。


 早速、救急箱と義手の部品を取り出した。


「両腕と片脚を失っているのによくここまで辿り着くことができたな……。」


「不便は不便だけど、痛くはないよ。」


 少女は大量に出血しているが、なんともないようだった。


「しかし、なぜ生きているんだ?大反乱を無事でいられる人間なんて普通はいないはずだ。」


「……()()()ってなに?」


 少女の答えに唖然とした。


 (西暦2043年に起きたシンギュラリティで機械により人間は大量虐殺されたのに、少女は何も覚えていないのか?)


 (……生きていたとしても、なぜ今になって人間が現れた?人間滅亡後初めての発見だぞ。仮に現れるとしても滅亡後の数日後、遅くても半年以内には発見されてもおかしくはないはず)


 (しかし、そんなことを考えている場合ではない。今は少女の止血が優先だ。)


 少女は下着姿になり、包帯で止血をしてもらった。


「止血はしておいた。あとは神経義手*をつけるだけだ。かなり痛いかもしれないが我慢してくれ。」

*西暦2036年にエンペリウムアダムによって発表された神経糸を用いて本当の手のように動かすことができる義手。取り付け手術には特殊義肢装具士になる必要がある。

 

 義手を取り付ける手術が始まった。


 5時間後…


 手術の際のボルトなどで腕は血だらけになっているものの、なんとか少女の腕に神経義手を取り付けることができた。


「とりあえず終わったぞ…申し訳ない、麻酔なしでかなり痛かっただろう。」


 サイボーグは機械の身体の癖に少女の姿を見て痛々しく感じていた。


 しかし、少女は全く痛みを感じている様子はなかった。


「大丈夫、全然痛くないよ。」


 少女は機械のように痛みに鈍感であった。


「脚は部品がないから違う日に作ってやる、それまでは待っててくれ。」


 少女は自身の神経義手を動かした。


「…わぁ、この手ちゃんと動く!」


「元気そうでなにより。」


「そういえば、お名前はなんて言うの?」


 少女は笑顔で質問した。


「私の名前はシアンだ。」


「少女よ、キミの名前はなんで言うんだい?」


「私の名前はくるみ!」


「これからよろしく」


 これから、サイボーグのシアンと少女のくるみのドタバタな生活が待っているのであった。

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