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クーマーの流れ星

作者: 梅 子

大きい山ともう一つ大きい山の間には、小さい山がありました。

その山には二頭のクマが暮らしています。

母熊のクーと子熊のマーです。

二頭のおうちはさらさらと流れる川のほとりにあります。

マーはその川で遊ぶのがとっても大好きで、天気の良い日はいつもそこで遊んでいました。

いつものように遊んでいると、たぬきのターがやってきていいました。

「マー。一緒に遊ぼう。」

マーはにこにこして言いました。

「いいよ。こっちにきなよ」

ターもにこにこしながら川の石をふみふみマーのところまで行きました。

マーはいいました。

「今ね、みて。僕の足もとにお魚がいるんだ。キラキラ光っていてね、すごく綺麗なんだ。僕が動くとどこかにいってしまうから動けないのさ」

ターは静かに川に座り込んであるマーのお腹にのぼり、川の中にあるマーの足元を見ました。

「本当!すごいね、綺麗だね。」

マーの足元で泳ぐ魚はマーの足とは思っていないようで、ずっと足のそばを泳いでいます。

ですので、ターもしばらくじっとして、マーの足の上で静かに見ていました。

しばらくすると林を駆け抜ける葉の擦れる音がしてきました。

タタタタタタタタタタタタタ

バサッ!!

「マーヤン覚悟しなさい!とおーーー」

マーとトーがいる川の前には小さな崖があります。

その上から、キツネのフーがマーめがけて飛び降りてきました。

「わぁぁぁぁ!だめだよーー」

ばしゃーん。

フーがマーのお腹に飛び込んできてので、マーは仰向けになってしまいました。

「あーあ。フーのせいで魚が逃げちゃったじゃないか。」

ターは衝撃でマーの足もとに転がりながら

ちょっとむくれていいました。

「あそこからのジャンプは本当に気持ちがいいぞ。マーがふわふわで大きいからできるワザだな。て、どうしたの?」

マーはがっかりしていました。

そして、一瞬青空を見てからフーを見ていいました。

「僕の足もとにずっと魚がいて泳いでいたんだよぅ。可愛くて綺麗だったんだから」

フーはそれを聞いて少し申し訳なくおもってしまいました。

そしてうつむきながらいいました。

「そっか、ごめんよ。僕が飛んできたせいで魚いなくなっちゃったみたいだけど。。。それなら僕も見たかったなぁ!!」

最初うつむいていたかと思ったら、突然上を向いて大きな声で見たかったと叫んだので、足もとに転がってしまったターはそれを聞いて、ひとつ大きなため息をつきました。

「ねぇ、今度は木登りしようよ。誰が早く登れるか競争しよう」

マーはお腹の上のフーと足もとにいるターをそれぞれ両手でつかみ上げると大きな木に向かって走り始めました。

小さな山の木々たちも同じ仲間です。

マーが傷つかないようによけてあげています。

「マー!!楽しいよ!早い!はやいねぇ!」


右腕に抱えられているターも左腕にかかえられてるフーもきゃっきゃっと喜んでいます。

林を抜けて岩を越え、笹の林を抜けたあとに

「はぁはぁ、ついたよ」

そこそこ背丈のある小さな草原の中に、大きな一本の木がそこにあらわれました。

太く大きなその木は、マーの何倍も太く太く、とっても太いのです。

「ボクこっちとったぁ」フーは右側に。

「じゃあ、ボクはこっち登るね」ターは左側に。

「ここ、登りにくそうだなぁ」正面をマー。

「マーは大きいからハンデだよ」とターが話すと、フーがスタートの声を上げました。

「よーーーーーい!どん!」

フーもターも体は小さいけれど、とてもひょいひょい登っていく。

マーも負けずに大きな手と爪で、どんどん登っていきます。

誰が1番早いんでしょうか?

幹も枝もとても太く、数があります。

葉もたくさんあり、みんながどこにいったしまったのかわかりません。マーもフーもターもどこにいってしまったのでしょうか?

てっぺんに太い尻尾が見えます。

「ヤッタァ!!」

ターが1番だったようです。

「早いなぁターは。ボク枝の間を通れなかったよ」

2番はマーです。

「あれ?フーは?」マーがフーがいないことに気がつきました。

「ぼくはここだよぉ。ここだよぉぉぉ」

フーの声がします。

ターとマーはすぐ声の方に降りて行きました。

すると枝と枝の間にフーが挟まってしまっています。

「大丈夫!フー!」ターはすぐそばに行きました。

枝に挟まれてしまったフーは、動けずそこでじっとしていました。

マーはすぐフーを助けました。

「えーん。1番になれなかったよぉ〜」

フーは泣いてしまいました。

「また今度やろうよ。何回も何回もできるんだから。ね。」

マーは優しくいいました。

「うん」とフーが返事をすると

「下におりよう。」と、ターが言いました。

空は青く、雲が重そうに流れて行きます。

「ねえ、草の上に寝転んでみよ」

マーがいいました。

「そうだね」とフーが返事をすると

「そうだね」とターも言いました。

みんなは草の上に空を見るように寝転びました。

するとマーがいいました。

「木の上から見た空はいつもの空だけど、こうやって見る空は僕たちを吸い込んでしまうようだね」

「ボク目がなんだかなれないよ。チカチカする」とフーが言うと

ターはなんとなく体が持ち上がっていました。そして

「ボクは体が持ち上がりそう。でも、なんだかとっても気持ちがいいよ」と言うと、(そうだね)と聞こえたふうな気がしたマーとターとフーはいつの間にかうとうとして眠ってしまいました。

どのくらいだったのでしょうか。

なんだかとてもいい匂いがします。

その匂いにマーもフーもターもお腹が鳴って起きました。

目を覚ますと、そこは明るく暖かくていい匂いのするマーの家でした。

「あら、みんな起きたのね。スープを作ったのよ。起きてみんなで飲みましょう」

マーのお母さんのクーです。

お母さんはなかなかマーたちが帰ってこないので、心配して探していたのです。

「あなた達があの木のところにいるだろうとは思っていたけれど、まさか草の中で寝ているとは思わなかったわ。見つかったのはいいけれど、なかなか起きそうにないし、とっても気持ちよさそうに寝ているから、起こすのが可哀想になってしまったのね。上手にここにみんなを連れてこられてよかったわ」

先にターが起き上がり、スープが用意されたテーブルにつきました。

尻尾で顔を拭きながらフーが立ち上がってテーブルにつきました。

最後はマーです。

前足をベッドにつき、体を起き上がらせるとベッドからおりて

席につきました。

みんな席に着きました。

マーのお母さんは、自分のスープを持ってくると、皆と一緒にテーブルにつきました。

「さあ、頂きましょう」

みんなでスープをうんうんと飲むと

「あーおいしい」

と、フーが。

「ほく、おうちに帰りたくなっちゃった。」

と、ターが。

「そうね、もうお日様も沈んできたから、みんなまた明日にしましょう」

お母さんクーがいいました。

「また明日遊ぼうね」

と、ターが。

「明日も木登り競争しようね!」

と、フーが。

「じゃあみんなまた明日」

昼間たくさん遊んだターも、フーもお家に帰って行きました。

ターとフーが帰ってしまう姿を洞穴の前で見ていると、マーはちょっと寂しくなりました。

でも、また明日も会えると思ったら、寂しく無くなって楽しみになりました。

「さっ、マー。ご飯食べちゃいましょう。今日もきっととってもいい夜のお空が見えるわよ。」

「うん!そうだね」

クーとマーは夜の支度を早く終わりにする為に家の中に入りました。

マーはお母さんと見る夜のお空がとても大好きでした。

お母さんのクーと、天気のいい夜空の日は必ず、空を眺めているのです。

でも、それはなぜなのでしょうか。

それは、お母さんのクーもとても星が大好きだからです。

でも本当は、マーのお父さんが、夜のお空のことを教えたくれたからでした。


マーのお父さんは、マーが小さい時、病気で死んでしまったのでしす。

マーにはお父さんの記憶があまりありません。

「マー。ここに座ってお空を見ましょう」

お母さんのクーが洞穴の上に足をかけて座りました。

それを見てマーも一緒に、お母さんの隣に座ります。

「お母さん、あそこ!ほらっ鳥の星があるよ。あそこにはカエルもいた。すこいなぁ今日もたくさんお星様があるね」

お母さんクーは、マーがとても楽しそうに星を探している姿を嬉しそうにじっと見ていました。

「本当ね。マーがいう通り。今日もたくさんの星だわ」

座っていたマーはいつのまにか星を指差しながら、立っていました。

「小さい星と大きい星がたっくさんだよ。あの大きい星は物凄い大きいクマだったのかなぁ。あの小さいのは赤ちゃんなのかも。きっとそうだよね、お母さん」

マーはたくさんの星を見ながらお母さんマーに聞きました。

「そうね、きっとそうだわ。死んでしまった生き物たちは星になるんだって、お父さん言っていたものね。」

するとマーが星を見ながら叫びました。

「おかあさんっ!流れ星だよ!!」

マーが指差す方向に顔を向けると、一筋の素早く流れる輝く光がありました。

「まぁ!きれい。あの流れ星にはどんな生き物の赤ちゃんが乗っているのかしらね」

お母さんクーがそういうと、マーは答えました。

「死んじゃうと星になって、僕のお父さんみたいに、僕たちを見守っていてくれる。生まれてくるときは、急いで会う為に流れ星になって降りてくる。そうだよね。お母さん」

お母さんクーはうなずきました。

「僕のおとうさんはどれかなぁ。どの星なのかなぁ。」

マーは背伸びしながらじっと星を眺めました。

夜空に輝く星たちは、その命を終えて、新たな輝きへと変わります。そして流れ星は新しい命を運んできてくれる星としてあのように美しく流れてくるのです。

お母さんはそう教えてくれたお父さんの言葉を思い出し、少し涙を流していました。

もう、夜も深まり始めた頃です。

マーが声を上げました。

「お母さん!!みて!ほらっ!流れ星がたくさんになったよ!すごいね。すごいねぇ」

そっと涙を拭いながら、頭を上げ空を見ました。

「わぁ、本当に。マー?!今日はたくさんの命が生まれる夜だったのね。」満点の空に、たくさんの流れ星が流れています。

お母さんのクーと子熊のマーはその流れる星をずーっとずっと見ていました。

しばらくするとマーがいいました。

「明日、ターとフーが遊びに来たら教えてあげるんだ。今日の、この夜の星のことを」

するとお母さんのクーは優しく微笑みながら言いました。

「そうね。きっととっても驚くでしょうね」

お母さんのクーは、そういうとたち上がり、マーの背中に優しく手を置いていいました。

「マー。もう遅いからおうちに入りましょう。」

「うん。明日もターとフーとたくさん遊ぶんだ。」

マーは元気に言うと、お母さんとおうちに戻りました。

そうして、お母さんと一緒に明日をまた楽しみに眠りにつきました。

夜空の星たちは、眠るみんなを遠くから輝いてみまもってくれています。やがてくる朝日が昇るまで。

世界を優しくつつんでいるのです。

おやすみなさい。また明日。

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― 新着の感想 ―
[一言] 流れ星が命の始まり。 素敵ですね。
2023/04/23 18:30 退会済み
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