第五章 束の間の休息
上階からの騒音のせいか定かではでは無いがルイは目を覚ます。睡魔に駆られてから1、2時間程しか経っていない様だ。リビングに一人取り残されたルイは物音が気になったのか、ソファーから這い出る。闇を吸い込む階段、そこからは何故か、恐ろしく且つ妖艶な雰囲気を漂わせている様だ。ルイは恐る恐る階段を登る。足音をできる限り殺して。ルイが階段を半分程登ると、騒音が液体が物体を打つ音だと気づく。ルイは前にも増して素早くそして慎重に階段を上がる。階段の途中から二階を見渡す。二階もまた一階同様、窓明かりで僅かに照らされている。そして唯一その空間から抗う様に、右側にあるドアから光が漏れている。ルイはその光の正体が気になり、ドアに恐る恐る近く。近くたび、騒音もしだいに大きくなる。途端に騒音が止み、ドア越しに誰かが近づいて来る音が聞こえる。しかし途中で、また止む。ルイは好奇心か、はたまた今宵の不安か、ドアを開く。
「誰?」
そこには既に麻袋を被りタオルを巻いたミューが、立っていた。
「は?!新人?!何で?!」
ルイは答える。
「 」
「は? うるさい!そんなの聞いてない!さっさと出てって!」
青年は猛ダッシュで階段を駆け降りソファーにうずくまる。そのまままた睡魔身を委ねようとしたが、一向に眠らない。すると、階段を誰かが下りる音が聞こえる。青年は、余計うずくまる。足音がピークに達した時、ミューの声が聞こえる。
「バカ...」
「 」
ルイは意を決した様にミューを見る。しかし、ルイの目の前には、ミューの姿は無かった。ミューはキッチンで、お湯を沸かしていた。水がくつくつとだけ鳴り響く無言の時間が流れる。そして、ミューはカップ麺に卵とお湯を入れルイから離れて座る。またしても沈黙の時間。しかし、一人の時に比べ格段に暖かかく感る様な気がする。ミューカップ麺の蓋を開け、箸で膨れあがった卵を突く。中から黄金色の液体が麺へ流れ込む。すると、ルイの腹が鳴る。
「 」
ミューが無言は立ち上がると自分のカップ麺を持ち、またキッチンへ戻る。そしてカップ麺を作り、また元いた場所に戻る。
「はい...これ...」
ミューは強めにカップ麺を置く。
「 」
すると、
「変な気起こさないで...私のBさんだから...」
と、小声だが刺す様に言う。
そしてミューは、上階のカップ麺を持って階段を駆け上がっていった。
〜〜〜数分後〜〜〜
ルイがカップ麺を開ける。黄金色の玉が乗っているカップ麺、とても美味しそうだ。二日程何も口にしていない、しかも、以前の家で怪我を負っていた青年にとってはカップ麺の湯気すら身体を癒す様に感じられた。
ルイは箸で膨れあがった卵を突つく。中から黄身が溢れ出る。ルイは黄金色の液体を麺に絡めて口へ流れ込む。カップ麺の温かさが、たった一人の空間を包んだ。
ルイはカップ麺を食べ終わると、深い眠りについた。
静けさと温かさが部屋を包んだ。
◆ミューのカップ麺の作り方
●材料
、カッ○ヌードル
、卵(一個)
、味噌(好みに応じて)
、キャベツ一枚半(好みに応じて)
●作り方
1.カップ麺の中に卵を入れる
2.卵の上から沸騰したお湯を線まで入れる
3.3分待つ
4.美味しく出来上がり
ミューのps.
1の工程に味噌とキャベツを適量お好みで。