第n×i²+1章(nは負の整数) おやすみ
走る、走る、でもどこへ向かえばいいのかわからない。最後にヤツは「近いうちにここに来るはず」とだけ言った。だからここで待っていれば来るかもしれない。でも待っていてもボクを見つけてくれる保証はどこにもない、ならば見やすい場所を探すだけだ。
「ここならいいか」
荒廃した市街地のような場所で、いい具合の場所を見つけた。元は公園かなにかなのだろう、少し周りより高くなっている。ここならすぐに見つけられるだろう。
「テントになるものでも探してくるか」
何か雨風を凌げるものがあればそれでいい。それだけで寝るのは楽になる。
「…」
そう思ったら目の前に化け物が佇んでいるんだから驚きだ。人生ってやつは何とも不条理で、最低なものらしい。
「クソッタレ」
銃剣を抜いて左手に持った、右手にはM712を。
目の前のやつは、何を目的に戦うのだろうか。
…
…
…
ただひたすらに撃った。何発撃ったかもう分からない、そう思った時に奴は腹を貫いた。
「…」
言葉が出ない。
やっぱり、運が悪いらしい。
すまん、任務を果たせなかった。
ボクは負けた
おやすみ
試製1式光学拳銃
製造:国立銃器研究所
製造責任者:ティD博士、▉▉上席研究員
概要:ガリアガムを利用し、超高出力レーザーを照射可能。ほぼ無限に発砲可能だが、30発周期で排熱の必要あり。排熱は蓄積した熱エネルギーを利用して排熱板を解放することによって行う。
▉▉上席研究員「これ、まともに兵器として使えるものじゃありませんよね…30発全部撃ち込んでようやく殺せるレベルですよ?」
ティD博士「そう言うな、お上は満足している。まぁ俺も戦争に行くならごく普通の拳銃の方がよっぽどマシだけどな」
▉▉上席研究員「そりゃそうですよ、ショーシャとか62式とかと違って弾は出るけど何発も当てないと行けないんですから。あいつらは弾が出ないことが大半ですけど出れば殺せますからね…こんなんじゃ後世で笑い者ですよ」
ティD博士「まだ試作品だから良いだろ。ともかく、高橋のやつには感謝しねぇとな」
▉▉上席研究員「あの人がガリアガムをくれなかったら作れなかったんですしね」