第24章 兄妹と信用
「やったか?」
怪物は真っ黒になりその場から動かなくなった。滴るインクが混ざり合い、黒色を作っている。ミューが、倒れていたルイに手を差し伸べる。
「本...物...?」
「 」
と、ルイは言い体を起こした。遠くからサイレンの音が聞こて来る。
「すまないが、土産話は後だ。」
Bが会話を遮ると二人の手を掴み、窓を破り颯爽と駆けて行った。
〜〜〜〜〜地下世界のレストラン〜〜〜〜〜
「よかった。本物に良かった。」
Bが涙混じりの声でルイに言う。相反して、ミューはゲーム機を片手に俯いている。
「で。君は何故生きて帰ったんだ?」
相変わらず声から熱が抜けていない様子だ。
「 」
「そうか...。」
Bは一瞬黙った後言う。ハイドファーで余計に感情が読めなかった。
「すまがなった...。」
急にBの声のトーンが下がった。
「本物に…すまなかった。」
Bはまた涙の味を変えて泣き出した。
「私が悪かった。許してれ。」
周りの客の視線が集まる。
「静かに…。」
ミューのつん裂く声で、Bが我にかえる。
「はぁはぁ。すまない。こっちも色々あってね。」
Bが少し深呼吸をする。三人のテーブル席の外から賑やかな声が聞こえる。三人はそのまま、来た料理を平げ、店を出た。
この三人の無言を最初に破ったのはミューだった。
「で…これから…どうする…?」
「そうだったな。当てがある。少し信用ならないが…今は彼らしかいないんだ。」
「 」
ルイは言う。ミューはBから視線を逸らし、無言でいた。
「まず、一旦は宿に泊まろう。地下は広いから、着くまでかなりかかるだろう。しかも、弾丸も切れてしまったしな。」
Bは喋る中、ルイはスプレー缶に手をやる。軽くなっているのがよくわかった。そして、歩き出したBについて行った。ルイの足取りもミューの足取りも少し鈍さが見られた。
ホテル内、買い物は終わり皆それぞれ作業をしていた。ミューはパソコンを叩き、Bは金属をいじっていた。付けっぱなしのテレビでは、見た事も無い競技が実況されている。Bがマガジンをコートの中に詰めている最中突然、ドアからノックする音が聞こえた。
「B!いるんだろ?!開けろ!」
聞き慣れない男の声だ。すると、Bは慌てて荷物をまとめ始める。
「バレた!早く行くぞ!」
いきなりBが急ぐもので、ミューも飛び上がり支度をした。
「何?なんで?」
「 」
二人共Bを責め立てる。
「説明している暇は無い!」
Bは支度の終わった三人の手を取ると、ノックの聞こえるドアを勢いよく開けた。ドアを開けた衝撃で、ノックしていたと思われる人がドアに挟まれる。Bは階段を駆け降り、フロントドアを蹴破るった。
「捕まえろーー!」
後ろから声が聞こえる。ルイはスプレー缶にてをかけると。
「それはいい。」
Bは正面を向きながら言った。ルイはミューと顔を見合わせた。三人は大通りを人混みをかき分けながら逃げた。
〜〜〜〜〜地下居住区の片隅〜〜〜〜〜
「ぬぁーーー!!」
ハイドファーも被らぬ青年が機械を力強く殴る。
ボコッ
機械の表面は凹むも機械は動き続ける。
「逃げろーーーー!!」
青年は上から降ってきた巨大なチェーンに真っ二つにされた。怪物は必死に走った。
市民方は143年間ドーム内で生活している。その為か、季節感が皆無だ。しかし、143年前まではドーム外で生活していた様だ。様々な合併や戦争を繰り返し今の形に至る。7つあるドームが出来た当初は大変だった様だ。金が無い市民は入れなかった為、違法移住が後をたたなかったとか。話が変わるが、戦争以前の世界の時計は60進法と12進法のハイブリッドだったらしい、今の420進法の方が便利なのだが…