第22章 \(ブーイングの声々)/
「ドウモ。オハヨウゴザイマス。チョウショクノオジカンデス。」
聴き慣れた声で、ルイは眼を覚ます。
「 」
ルイは呟きながら、取り出し口を見る。この無機質的な空間によく合った、化学的な色をした液体がいつもの様に置いてあった。ルイはそれを手元に持ってきて、口に運ぶ。
「オクチニアイマスデショウカ。ココノゴハンハマズイトマエイタニンゲンハイッテ...」
( )
ルイは思いながら、液体をたいらげた。
「...デシタカラ...ナノデス。ソシテ...」
モンクの話が長々と続く。ルイはモンクの機械音を背にただ動かずにいた。
「70ネンマエノセンソウゴ、ドームガイニニゲタモノモイマシタ。」
( )
ルイが思っている時突然天井から大きな音が聞こえる。モンクはすかさず振り向いた。しかし、遅かった。
巨大なグレーの塊がモンクを天井ごと潰した。ルイの足元でバチバチと鉄クズが音を立てる。どうやら牢屋の入り口が開いた様だ。ルイは牢屋を出た。建物内の人間は居なくなっていた。外に逃げたのかはたまた助けに行ったのか、地面に散らばるプリント類は語った。
( )
ルイは奪われていた装備一式を取り返すと、外へ出た。
〜〜〜〜〜地下センターストリート2番〜〜〜〜〜
「なに...あれ...」
ミューが唖然としながらも見る先には、筋肉が肥大化し、体中から炎を吹く怪物がいた。
「何故 此処に?」
Bは呟く。そして、ミューの方を振り向く。しかし、美里がいない。
「美里くん?」
Bは声を張り上げるしかし、返事は無い。その時、またもやコンクリート片がB達の頭を目掛けて飛んでくる。
「行くぞ!」
Bはミューの手を掴むと、怪物に向かって走り出した。
「美里さんは?」
ミューが荒々しい息と共に尋ねる。
「先にあれを殺りに行ったのだろう。」
Bは急に方向を変え、路地裏に行く。
「ミューくん。すまないが此処で待っていてくれ。」
Bがミューの手を話すと、風を切りあっという間に消えてしまった。
ミューはその場で体育座りでうずくまった。すると、少し遠くから声が聞こえた。
「ミッション完了。今から帰還するから、怪物をどかして。」
ミューにとっては何処かで聞いたことのある声だった。ミューは気になりゆっくりと、声の主を探す。
「Daーとはどう?...そう。分かった。」
ゴミ箱の裏、一人。ホログラムキーボードを出しながら喋る人間。見たことのある服。美里だ。
「Daーとには次から感情的にならない様伝えて。うん。じぁね☆。」
美里はホログラムを消すとミューを見た。
「あーあ。聞いちゃった。」
美里がゆっくりと、此方に歩いて来る。
「君は良い子にしてたから殺さないつもりだったのに。」
美里はまるで人が変わったかの様な口調で喋りながら、銃を向ける。
「何で...なんで?」
ミューは怯え、後ろめながら尋ねる。
「何で?ふふっ 何でって。私達、最初から味方であるつもり無かったし。ふふっ まあ確かに、君にとっては"味方"だったかもね。」
美里が笑いながら言う。ミューは転けてしまい、後ろに手をつく。ミューは過去の記憶を思い出した。
美里が近づき、ミューは壁に追い詰められる。
「まぁ、死ねるだけマシなんじゃ無い?政府に歯向かうなんて馬鹿馬鹿し。」
美里が引き金を引こうとした瞬間、美里は沢山の光線を浴びる。
ミューは背中にしまってあったサブマシンガンを構え、呆然としていた。
(死んだ...殺しちゃった...。)
銃を握ったミューの手が震え出す。
(どうしよう。)
ミューの鼓動が早く鳴る。ミューは突然走り出し、路地裏を駆け抜て行った。
地下のカルチャー繁栄について
地上で、ファッションやアートを抑制し過ぎたせいか、殆どの芸術家は地下へと消えてしまった。お陰で、地下は色とりどりのアートに溢れている。特に、政府は電子機器類によって芸術を抑止する為、電子機器で絵などを売る事は難しい。よって、地下は印刷技術が栄えたのであった。しかし、木を得る為の手段は未だ謎である。
地下のファッション雑誌の一部