第二十一章 恨み
〜〜〜〜〜美里らの家〜〜〜〜〜
ジュー
香ばしい匂いと共にミューは目を覚ます。美里が濁った色のベーコンを焼いていた。
「おはよう。ミューちゃん。」
美里が一瞬振り返りウィンクする。ミューにとって、ウィンクより素顔を晒す人間の方がずっと新鮮だっただろう。
「う...ん...。」
ミューはあくび混ざりに返事をする。
「どう?Bさんから聞いた?」
美里がベーコンをひっくり返す。跳ねる油から、ベーコンの塩っぱい匂いが流れてくる。
「はい...。これ...。」
ミューは忙しなく起き上がり、美里の黒いジーンズにメモリーカードを詰め込んだ。
「ありがとう♪」
美里の明るい声がダイニングに響く。一瞬、外から聞こえる雨音が止んだ。
「信用...してる...。」
ミューはそう言うと、またソファーに戻り寝転んだ。
美里はベーコンを皿に乗せながらハイドファーの代わりに、腕時計の様な何かをいじる。原子工学技術で作られた食事も何故か美しい味がする様に見えた。
「できたよー。」
美里が皆を呼ぶ。Daーとが別の部屋から出てきた。しかし、Bの気配が無い。
「B...何処...?」
ミューは皿を運ぶ美里に聞く。
「ん?知らないよ?」
美里が首を傾げる。
(Bさん。どこ。)
ミューは走り出す。すぐさま二階に登るもBは見当たらない。
(どこ?どこ?どこ?どこ?どこ?、、、)
ミューは家中を駆け回る。ベーコンから出る煙が、強く横に揺れた。美里やDaーとがミューを見て、ひそひそと喋る。しかしミューは気にせずひたすら駆け回るった。ミューが地下を探そうと扉に手を掛けた瞬間、誰かがミューの肩を触る。
「どうしたんだい?ミュー?」
Bが立っていた。Bは平然とダイニングに歩いて行った。もうベーコンは冷めていた。
「で?今日はどうするんだ?」
Bは椅子に座り、美里に話す。
「地図。貰ったよ。だから排水管エリアを通って地下に行く。少し危ないけど、これしか無いから。ok?」
ミュー以外皆頷いた。
〜〜〜〜〜排水管エリア〜〜〜〜〜
オレンジ色の光が、パイプの間から漏れる。臭い匂いと共に蒸し暑さと狭い空間が一行を襲う。
「いつになったら着くんだ?いい加減広いとこに...」
Daーとが愚痴を吐く。ハイドファーをつけた美里らは、素顔の時よりピリピリして見えた。
「もう少しだから。我慢、我慢。」
美里がDaーとをフォローする。しかし、美里の声からも疲労がうかがえた。
一行は一歩また一歩と、着実に進んでいった。所々、パイプから液体が漏れ、水溜りを作っていた。ボイラーが擦り寄って来た時の様な暑さが4人の体力を少しずつ削っていった。
数分後、開けた場所に出る。人が立てる程の高さが長く続いていた。そして、足元に走るパイプ管の隙間から地下世界が僅かに見えた。皆、立って腰を伸ばそうとした瞬間。
「あー!クッそう!」
Daーとがいきなり声を張り上げ、ミューの首を持つ。
「!!」
「何をやって居る!放せ!」
Bは突然の出来事に動揺しながらも、Daーとを怒鳴る。すると、DaーとがBに銃を向ける。
「もうどうだっていい。オレは、世界の、クソどもを、世界から、消す為に、政府側に、なったんだ!」
Daーとが叫び、引き金を引こうとする。
「待って!さ、、、」
「うるせー!二人共此処で死ね!!」
Daーとが引き金を引こうとした瞬間、Bが Daーとの左肩を撃つ。
「クソっ!ぬぁー!」
Daーとが、ミューを放し、走り去ろうとする。しかしBは逃すまいと、背を向けたDaーとに照準を合わせる。
「ダメ!!」
美里がBの銃を押す。
「!!」
照準はズレ、背中から大きくずれたパイプ管に当たった。
「ダメ。ダメだよ。そんなの。」
美里が息を荒げながら、Bに言う。
「しかし彼は、、、」
「殺しは無し。ダメ…。」
美里がよろよろっと、倒れ込んだ。
「スパイ…。だったんだ…。私やっちゃった…。」
美里が暗い声で言う。
「...。」
「…。」
Bもミューも何も言えずにいた。
「まただ…。ごめんね?二人共。せっかく手伝ってくれたのに。」
「いや。…。出口は地下へはもう少しだ。行こう。」
Bは倒れ込んだ美里に手を差し伸べた。美里はBの手を取った。3人は腕時計の破片などが散らばるパイプ管の上を歩き出した。
2人は、広い地下にあっけを取られていた。
「スゴイ...。」
「.........。」
美里は無言で、あまりの感動に視線を地面に向けていた。
二人が感動に浸る中、Bが口を開く。
「そうか。ミューは来たことが無かったか。」
ミューはまだ当たりの風景に見惚れていた。
「ところで、これから、、、」
ドーン!!
近くから大きな音が聞こえた。コンクリートが崩れる様な音が。
「!!」
「!!」
「...!」
3人は音の方へ振り向いた。
大きなコンクリートの破片が当たりに降り注いで来た。破片は留置所や商店などの建物を破壊していった。
2.6 1.6 4.0 8.3 6.0 60 0.3 0.6 6.6 6.0
AからAに①②
AからBに①
BからTに②
"へ"は下線
"く"に後最
①と②は足して遺産
①と②はひいて後