51 首都観光①
「着いたー!」
私は馬車から降り、空気をすぅっと吸い込んだ。
いろんな食べ物のにおいや、人のにおいに土のにおい、とにかくいろんなにおいが、一息分の空気につまっていた。
「ありがとうございました」
「はは、なんのなんの」
「王子をよろしく頼みます」
馬たちにお礼を言い、全員が降りたことを確認する。
馬たちは帰りにキッドを乗せるため、馬車の停留所で待機するらしい。
「さて、予定を確認するっす。まず食べ物買って、魔道具屋、武具屋に行くっす」
「まだ食べるの? 志織ちゃん太らないようにね?」
「なんで私なんだよ」
「え、提案したの志織ちゃんでしょ?」
「違います」
私ってそんなに食い意地張ってるんだろうか。
「提案した者はさぞ腹が減っておるのでしょうな! 先程食べたばかりだというのに、食い意地の張った奴ですな」
「ほう? もっかい言ってみんね? ちっくと聞きにくかったのう」
ツァナがカイリュウに笑いかけ……あ、目が笑ってない。
「ん? ああ、我は『先程食ったばかりなのに食い意地の張った奴ですな』と言」
「何か悪いか、ああ?」
ツァナが、笑みを深めながらそう言う。
……ヤクザの素質あるな。
カイリュウも真面目に答えなくていいのに。竜とか龍ってKY多いのかな?
「まぁそれはおいといて、他の六人はなんか希望あるっすか?」
「ソルナちゃんと一緒ならどこでも!」
「キモい」
ばさっと切り捨てる。
「ラウザンくん、次があるよ!」
ラウザンが神様になぐさめられている。
……ま、私次も断る気満々だけどね!
「特にないっすね、大丈夫っすね。それじゃ食べ物探しに行くっす」
「わーい食べ物じゃ!」
首都観光スタート!
まずは食べ物か。