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窓際クランの成り上がり〜チートは使えないけど、仲間と一緒に頑張ります〜  作者: 砂糖 多労
第五章

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窓際クランとトレイン2

 四人の探索者は五匹のマッドフィッシュを引っ張ってきたようだ。

 それをみて、ユーリは顔をしかめた。


「マッドフィッシュか。シャレにならんな」


 ユーリの様子を不思議そうな顔でアルティナは見た。

 ユーリはアルティナの様子を気にせずに手早く自分の持っている地図を取り出して、周りの地形を確認した。


「マッドフィッシュだよ?ビッククラブより倒しやすくないかい?」


 ユーリは地面に地図を広げてコンパスのようなものも使いながら真剣に地図を読んでいた。

 その様子を怪訝に思い、アルティナはユーリにそう聞いた。

 ユーリは手を止めずにアルティナに答えた。


「戦闘状態のマッドフィッシュは仲間を呼ぶんだ」


 マッドフィッシュは仲間を呼ぶ特性がある。それがあるため、ユーリたちはマッドフィッシュを釣り戦法の対象から外したのだ。

 しかし、そのことはあまり知られていない。その原因はモンスターの数と誘引範囲の関係にある。


「誘引範囲は数が増えるごとに伸びる。一匹二匹なら大したことないけど、五匹にもなるとかなりの距離になる」


 普段探索者が戦う一匹や二匹では誘引範囲が狭く、ほかのモンスターを呼ぶことは稀だ。

 しかし、数が増えると誘引範囲が広がり、五匹で最大となりその距離は約100メートルに及ぶらしい。

 ユーリも本で読んだだけで、実際実験したわけではないが、『紅の獅子』の書庫にある資料はかなり正確なので、まず間違いはないだろう。


 ユーリは地図に現在地を基準に半径百メートル円をコンパスで書く。すると、その中に赤いバツがついた部屋が四つあった。


「くそ。範囲内にマッドフィッシュのモンスターハウスが四つある!」

「本当かい!?」

「あぁ。おそらくこの後200匹のマッドフィッシュが来る。下手をしたらもっとくるかもしれない」


 アルティナの顔から笑みが消えた。

 流石のアルティナもその数は厳しいのだろう。そして、アルティナの決断は早かった。


「みんなは先に逃げて」


 アルティナは三人娘に向かっていった。

 一人が怯えたような表情でアルティナに向かって言った。


「あ、アルティナ様は?」


 アルティナは彼女にニコリと笑い返した。

 そして、レイピアを抜きながら自信満々に言った。


「全部倒すさ」

「じゃ、じゃあ、ここにいても」

「取りこぼしが出るかもしれないから、君たちは先に行って欲しい」


 アルティナは頬をかきながら三人を振り返って言った。


「君たちのことが心配なんだ」

「「「!はい!わかりました!!!」


 三人はそういうと、仲良く駆け出していった。

 ユーリはその背中を見ながら荷物を降ろしていた。


「なかなかの人心掌握術だな」

「ユーリ君も行ってくれ。荷物はそこにおいていってくれていい」


 盾と槍を持って立ち上がったユーリにも逃げるように言ったが、ユーリは肩をすくめるようにしていった。


「すまんが、俺の大盾が重くてな。彼女たちにはついていけないんだ。大盾を捨てて丸腰で五階層は流石にきついしな」


 アルティナは苦々しそうな顔をした。

 彼の意見は一理あったからだ。

 諦めるように息を吐くと、アルティナはレイピアを構えた。


「・・・ここにいても守りきれないよ」

「アルティナが倒してくれるなら、守りはこなして見せるさ。なんたって、大盾持ちで、土属性だからな」


 ユーリは大盾を持ってアルティナの隣に立った。

 アルティナはユーリを一瞥した。


「・・・出来るだけ早く終わらせるよ」

「そう願いたいね」


 そうこうしているうちに、探索者たちがアルティナたちのいるところまでやってきた。


「ここは僕に任せて先に行ってください」


 アルティナがそういうと、探索者たちは口々に礼を言いながら通り過ぎていった。


「やったー」

「ありがてぇ!」

「助かった」

「アルティナ様!アルティナ様ああー!!」


 探索者たちはそう言って駆け抜けていった。

 そして、その直後に五匹のマッドフィッシュはが近づいてきた。


「はっ!」


 アルティナはそれを一刀の元に切り捨てた。

 五匹を一撃である。もはや神業といっていいかもしれない。

 ユーリはその様子を見て、拍手をしながら賞賛した。


「おー!さすがアルティナ!すげぇな!!」

「ありがとう。でも、僕なんてまだまだだよ」


 男性からの純粋な称賛は珍しく、アルティナは恥かしそうに頬をかいた。

 そして、アルティナはユーリのそばまで戻ると、剣を構え直した。まだ終わっていないことがわかっていたからだ。


 マッドフィッシュを倒しても地響きのような音が辺りに響いていた。

 その地響きはどんどん大きくなってきている。


「どうやら次が来たみたいだな」

「そうみたいだね」


 ユーリとアルティナは通路の奥へと目を向けた。

 そこからは10匹のマッドフィッシュが近づいてきていた。

 ユーリはしっかりと盾を握り直した。

 ユーリたちに戦いはまだ始まったばかりだった。

続きます。

まだ終わりません。


誤字報告をいただきました。

本当にありがとうございます。

誤字が多いようなので、この土日にちょっと全文のスペルチェックをかけてみます。

誤字を拾う方法を考えます。

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