【暗黒盗賊団 戦闘員クロ 前編(クロの過去編)】
タイトル:記憶力が良いと、人生はつまらない。 ハイパーサイメシア(超記憶症候群)
【暗黒盗賊団 戦闘員クロ 前編(クロの過去編)】
オレ、クロ。暗黒盗賊団の戦闘員だ。
勝手に自分のことを語るよ。
子供の頃の話だ。
オレが異常な記憶力を持っていることに気づいた親は、とある日村々を渡り大きく発展された村に連れ出した。
その村の児童相談所へ連れられ、知能検査を行った。
何処の国でも異常なものは白い目で見られる。
家族はオレの才能を周りに言いふらし自慢するような人ではなかった。
家族はオレの良き理解者だった。
異常なIQをたたき出したオレを受け入れてくれた。
オレの住む村に図書館はなく、村の質素な本屋にあるすべての本をぱらぱらめくってすべて暗記してしまった。
知識とは資産だ。
ある一定レベルの知識をつけるなら村の小さな本屋でいいが専門的な分野になると話は変わる。
うちは一般的な家庭で、家庭教師をつけるお金などはなかったが、
家族が、なけなしの金でオレの教育投資をしてくれた。
いくら、脳がよくても学ぶ機会がなければ宝の持ち腐れだ。
別の村に入館するだけでバカ高い図書館があることを知った家族が1度だけ連れていってくれた。
その大図書館に入館するためのカナタンを組み、返済を続けていた。
当時インプットは楽しかった。
知識の海にとびこんで、手当たり次第飲みこんでいたがいまでは逆に新しい情報を極力いれたくないと思ったんだ。
■
幼馴染に4つ年上の男がいた。名をシロという。
シロ以外にも村にはオレと近い子供がいたが他の者は馬鹿で敵わなかった。
つまらないどころか付き合うだけで疲弊した。
シロが一番同年代の子供の中で一番マシだった。
シロはなんでも一生懸命で真面目な賢い男だ。
あんなに勤勉に励んでも、覚えられることは100%ではない。
1度見ただけで覚えられるオレとは違うのだと人は平等ではないということをシロを見ていてオレはつねづね感じた。
ある日の事。一番の理解者である家族が死んだ。
その後、オレは親戚に預けられて奴隷のような生活を送った。
大図書館に入館したときの返済がまだ残って残ってたから、それを口実にひどいこともたくさんされた。
家族が言いふらさなかったおかげで、オレの異常性は親戚にばれておらず、ただの子供としてこき使われただけだった。
親には感謝しかない。
馬鹿な親だったらオレは今頃どこかの施設で実験動物にされていただろう。
■
カナタは本をよく読む。
その中には、オレが知らない知識もあるだろうがいまさら本を読んで知識を深めようとは思わない。
なぜなら、文献からはの情報よりも今まで知りえた情報だけで十分だからだ。
オレはサングラスを普段からかけている。
サングラスは、視界を遮断することができる。
視力が必要ないときはサングラスの内側で目をつぶり、視界を閉ざしていることが多い。
みなくていいものは見ない、聞かない。知らないほうが幸せなことなど山ほどある。
視覚から得られる情報量の割合は約87%だと言われている。
視界を遮断すると一気に情報量は減り、楽になる。
必要ないときは考えない、見ないを徹底して生きてきた。
そんなオレでも好きなことがある……と思う。
それは、冒険だ。
幼き頃に知識を詰め込みすぎたのに、冒険は新しい発見があり楽しいような気がするのだ。
文献で読んだことのある出来事は初見ほどの感動はない。知ってしまうとつまらない。
本は初見以降、同じ感動は2度とない。
100文は一見にしかずということわざが通り、冒険はまさにそれだ。
体験から得る知識は、文献から得られぬ感動が無限大に詰まっている。
一歩後ろに下がり、予定外の冒険として受け入れれば寛大な心で進む事もできる。
腦に情報を入れたい時、入れたくない時を見定めオレはオレなりに冒険を楽しんでいるんだと思う。
■
仲間が困っているとき、アドバイスをすることがある。
それは、バカがただ当てずっぽうで言った思いつきの言葉だと思われるように演じ続けた。
ある日のことだ。迷いの森に迷い込んじゃって出れなくなったことがある。
初めは、仲間の後ろにただついていくだけだった。
カナタを筆頭に目印をつけながら進んでいたが、なぜか同じ場所に到着してしまう。
オレたちはループし続けた。
迷いの森は自身がまっすぐ歩いているように見えて、曲がってしまう。
オレはそれを知ってた。だから論理的に体が曲がる道を解析し、上手く誘導し、無事脱出することが出来た。
でもだんだん頭が痛くなってぐるぐるして良くわからなくなった。
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