表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/71

8.種族進化と神界

433レベルに10階層でたどり着いたのに、レベル500になったのが33階層だった理由がわかります。

「え?え、ちょっと待ってえ安全地帯?ちょっ!セーーーフッ!」

 怜はドロップも回収せずに走った。わざわざ安全地帯に行けなどと言われるのは初めてであったし、わざわざ言う位なのだから、何かが起きるのだろうと。

「ッ!?くっ、そういう感じか…」


 実際は、安全地帯に着くまでは、進化の処理はされないシステムであり、焦る必要など一切なかったのだが、そんなことを一切知らない怜は、ここでもし気を失いでもしたら絶対に死ぬ、と分かっていたため、全力で安全地帯に飛び込んだ。安全地帯であることを認識した事により、進化の処理が開始され、眠気ではない不思議な感覚に包まれながら、そのまま気を失った。


☆★☆


「で、なんで俺はまたここにきたんだ?ラビリス様」


 意識を失った怜が居たのはラビリスが管理する神界であった。前回は精神世界で時間変動は皆無だったが、今回は神界に来たため、時は動いているのだろう。


「いや~、わずか1時間でレベルを人類限界点である500まで上げて、種族進化までたどり着くとはね!」


 1時間というのはもちろんダンジョンの外での経過時間だろう。ラビリスは、ダンジョンの外と中の時間の進みは圧倒的に違うということを知っているのに、わざとそのような言い方をしていた。

 ラビリスは怜を茶化すために1時間といったが、実際のところ1年でレベル500に到達すること自体異様であり、圧倒的な偉業だ。太古では、レベル500に届く人物すら世界中で一握りであり、成長が早い者でも10年は必要としていた。

 怜がここまで早く成長することが可能であった要因は、称号の効果もあるが、常に格上と戦闘を続けてきたからだろう。


 ここで経験値の取得条件に付いて細かく説明しよう。

 経験値は格上を倒すと圧倒的な量、格下を倒すと微々たる量しか取得できない。それは、レベルに関係なく、例えば、自分がレベル300で剣術:Lv.1であったとして、レベル150で剣神:Lv. MAXと戦った時、もし負けたとしても、相手の圧倒的な剣術との対戦経験値だけで剣術のスキルレベルは大幅に上がる。


 逆に、一般的に養殖と言われる行為であるラストアタックだけをさせたり、レベルだけが高くて、技術が一切身についていない敵を殺したとしても、ほとんど経験値を得ることができない。メタルス〇イムは存在しないのだ。


 つまり、ステータスをほとんど変化させずに、圧倒的格上であったミノタウロスを殺した結果、怜のレベルは100以上あがったが、もし戦闘前に莫大なステータスポイントを全て振り切っていたとすれば、怜とミノタウロスのレベルの差は大きくとも、ミノタウロスは戦力的に格下になってしまうため、怜のレベルはほとんど変動しなかっただろう。即ち、怜が取った方法は最も効率が良く、最も技術が磨かれる方法であった。

 それはともかく、怜の反応はというと…


「1年だよ!確かに1時間だけど!1年かかってんだよ!というか敵のレベル高すぎだろ!」

「だって、旧世界で最高難易度ダンジョンだもん♪滅亡の一端はここにあったと言っても過言じゃない!」

「…は?」


 怜は、攻略を開始して1年経ち、一度レベルをカンストしてからやっと衝撃の真実を知り、少しフリーズした。確かに、最初に遭遇したのがファンタジーよろしくのモンスターであるゴブリンやスライムではなく、圧倒的格上のミノタウロスであったことには疑問を感じていた。


 最初のボスもレベル500という、桁を一つ間違えたとしか思えないレベルであったが、あえて考えないようにしていたのだ。だからこそ言わざるを得ない。


「なんでそんなとこ突っ込んだんだよ!」

「時間がゆっくり進む場所はあそこだけだったからね♪それに…」


 1ヶ月で1日のような時間のダンジョンもあるが、それでは怜が挑戦するための条件を満たしておらず、候補にならなかった。そしてラビリスは、もったいぶりながら、圧倒的な説得力を持つ1つの根拠を示す。


「…それになんだ…?」

「君の初期TPとSPはレベルカンストの人を余裕で超えてるよ♪死なないようにって感じにしか振ってないみたいだったけどね♪」

「ですよねええ!」


 薄々感じていたが、ステータスの上限は10000であり、項目は全部で10個だ。そして、初期ポイントが100175もあった怜は、最初からステータスをカンストにすることも可能だったのだ。

 しかし、怜はステータスに振り回されない戦闘技術を磨くために、必要最低限しかステータスを振っていなかった。それが高速なレベルアップにつながったから良かったとも言えるが…。


 しかし、今の怜はこの階層に来るまでに、既に人間の限界である全ステータス10000までステータスを振りきっていた。もちろん、称号にある超越の効果で限界を突破し、これ以上振ることもできるが…。

 人間のステータスという枠組みでは、わずか30階層にして防御力を突破するのが困難になってしまった。それほどまでに時空のダンジョンは、最上級ダンジョンは難易度が高かった。


「さて、せっかくレベル500になった記念だ。しかし、あんまり時間をかけても良くないから、君からの質問に3回だけはどんなことでも答えよう♪何か聞きたいことはあるかい?」


 何度か見せた真面目な雰囲気に変わり、どんな質問にも答えてくれるといい始めた。それならばとダンジョンに潜っているときに生じた疑問と、これまで行ってきた研究でも一切手掛かりが見つからなかった、自分では解き明かす方法がないことを質問することにした。


「じゃあ、1つ目。ダンジョンとは何だ?これは予想は立てられるが、その答えは俺には永久に見つからないし、見つけることができないだろう。」

「お!いい質問だね!ポイントあげたいくらいだよ♪」


 残念ながらポイントは上げられないけどね、なんて言いながら答えてくれる。やはり神であるラビリスは、ダンジョンの正体など知っていたのだろう。しかし、ダンジョンの正体とは、怜が予想していたものとは違うものだった。


「ダンジョンと言うのは世界の安定装置。発生した魔力の淀みを解消し、魔力を循環させるための装置、だったものだよ。そこに負の感情によって生まれた力が混ざってしまい、魔物を発生させ、性質を変え、成長したのがダンジョンさ。きっと負のエネルギーも、循環させることで解消させようとして…ばぐったのさ…」


 少し悲しげに答える。きっとダンジョンは、淀んだ魔力と共に、負のエネルギーを解消するために吸収することにしたのだろう。だから神々は、ダンジョンではなく魔力そのものを封印したのだろう。


 …この話題は終わりにして次の質問に行こう。例にとってはこっちの質問の方が重要だ。


「次の質問だ。種族進化とは何だ?進化して雫に未確認生物扱いされたり怖がられでもしたら、死ぬしかないんだが…」

「理由そっちか!いい質問だけどそういう理由か!」

「この世に雫以上に優先することがあるというのか!」


 怜は、まるでそれが世界の常識というかのように答える。ため息をつきながらラビリスは答えてくれるが、姿が変わるかもしれない案件など、怜にとっては死活問題なのだ。


「はぁ…わかってたけどさ…。んで、進化ね!安心して、君がなるのはハイヒューマンって言う見た目は完全に人だからね!」


 君がなる、つまりそう言うことだろう。他にも進化先は存在するということだ。


「他の候補と選ばれる条件は?」

「やっぱり気づいた?では、一つ一つ説明しよう!」


 ラビリスの説明によると、各種族はこうだった。


ハイヒューマン:オールラウンダー。全魔法、スキルを習得できるが全てにおいて努力が必要。条件はレベル500時に全ての能力に差がないこと。


ワービースト:パワー特化、低魔力。武術系スキルの成長と習得に補正がかかるが、魔法技能習得が困難になる。条件はレベル500時に筋力がS、知力B以下であること。


エルフ:魔法特化、紙装甲。条件はレベル500時に知力S、防御A以下、筋力C以下であること。


ドワーフ:製作に補正。条件は製作系スキル、職業第3進化到達、器用S、魔力操作獲得で任意で進化。



「おい待てラビリス…」

「な、なんだい?様まで消えちゃったけど…」

「筋力Sで知力B以下の時にレベル500にしたら雫に猫耳が生えるってことか!?」


 ラビリスは思わずずっこけそうになる。怜が、深刻そうな顔をしていたため、進化先として譲れない種族があったのかと思ったのだ。もしそうなら先に教えるべきだったか?とまで思った矢先にこれだ。


「猫獣人狙うなら俊敏もあげなきゃだけど…魔法をほとんど使えないけどいいのかい?」


 怜は、猫耳の雫と魔法を使う雫を想像した。猫耳は魔導具として作り出せるかもしれないが、魔法は本人が使うから意味がある。雫猫耳化計画は潰えた。


「…だあああ!ちくしょう!魔法少女雫とか、もはやグッズ出るレベルだ!猫耳は諦めるしかないかああ!」


 怜の計画は10秒で破綻し、魔法少女雫に思いを馳せた。雫はとても頭がいい。怜がルーン言語を教えれば習得できるレベルだと考えている。そう考えると、論理的に考えても本人が拒否しない限り、雫が魔法を使わない未来はないと考えた。


 怜は絶望から立ち上がり最後の質問を聞くことにした。これが最も重要な事だ。今後を左右すると言っても過言ではない。


「最後の質問だ…よく考えて答えてくれ…」

「ごくり…」

「このダンジョンで…」

「このダンジョンで…?」


「このダンジョンで雫が喜びそうなものベスト3を教えてくれ!」


 沈黙が続く。


「……はい?」


 沈黙を破ったのはラビリスだった。


「雫が喜びそうなものがレアドロップだったらどうするんだ!気づかずに通り過ぎてしまう可能性があるんだぞ!?情報を制する者は全てを制する!つまり雫の笑顔を制する!」

「あっはい。レアアイテムですね。はい。」


 言い切った!とでも言いたげな表情で佇む怜にとても冷ややかな顔を向けるラビリス。どこかの世界に需要がありそうな雰囲気だ。


「はい、時空のダンジョンで落ちるレアアイテムで最も人気なのは時戻しの秘薬ですね。一本で5年若返ります、はい。」


 ラビリスがとてつもなくそっけない態度になってしまったことを流石に感じ取った怜にできる行動は、ただ謝ることだけだった。


「ごめんなさい…謝るからさ…元に戻ってくれませんか…?」

「はぁ…。1番女性に人気なのは時戻しの秘薬のみよ、高く売れるのはエリクサーと身代わりの指輪よ。だから、あなたの妹が喜ぶドロップはわからないけれど森の階層を隅々まで探索しなさい。なるべく急げばいいことあるかもしれないわ」

「草原か…今いる階層付近だな…ありがとう!」

「いいわよ…じゃあそろそろ戻すね!」

「おう!」


 光に包まれ、無事に神界からダンジョンに戻ってきたようだった。


 起きると…何か変化があるわけでもなく、むしろ変化が全くなかったため、とりあえずステータスを開いた。


名前:神崎 怜 職業:(侍:Lv.6 賢者:Lv.25 錬金術師:Lv.28)暗殺者:Lv. MAX

 種族:ハイヒューマン

 Lv:1

 HP:68100/68100

 MP:73000/73000

 筋 力:C-(D)

 防 御:C-(D)

 魔 防:C-(D)

 知 力:C-(D)

 精神力:C-(D)

 生命力:C-(D)

 速 度:C-(D)

 器 用:C-(D)

 会 心:C-(D)

   運:C-(D)

 CP:98383

 SP:186585

固有スキル:完全記憶 早熟 マップ 超越 トレジャーハンター 勇者

職業スキル:無音Lv. MAX 魔力操作:Lv. MAX 広域探査:Lv.7 斬鉄:Lv.1

EXスキル:全能力上昇 超再生 身体制御

  スキル:言語理解:Lv. MAX ルーン言語:Lv. MAX 限界突破:Lv.3 

アイテムボックス:Lv. MAX 詳細鑑定: Lv.5 並列思考Lv.6

武術の才能:Lv. MAX 魔法の才能:Lv. MAX 鍛冶の才能:Lv. MAX 錬金の才能:Lv. MAX

変装:Lv.1 偽装:Lv.1 

気配断絶:Lv. MAX 魔力断絶:Lv. MAX 気配掌握: Lv.7 魔力掌握: Lv.7

剣聖:Lv.4 投擲:Lv. MAX

火魔法:Lv. MAX 水魔法:Lv. MAX 風魔法:Lv. MAX 土魔法:Lv. MAX 光魔法:Lv. MAX 闇魔法:Lv. MAX 神聖魔法Lv. MAX 影魔法:Lv.6 雷魔法:Lv. MAX 回復魔法:Lv. 7 


付与:Lv. MAX 合成:Lv.7 魔法陣:Lv. MAX 転写:Lv.1


称号:開拓者 ジャイアントキリング 超越者


「レベル1かよ!力が減った感じはしないから上限が上がったからSから落ちたのか?ともかく、森林エリアをくまなく探すか!」


 怜は草原エリアをくまなく探し始める。ラビリスが言っていた良いことを見つけるために。

読んでくださりありがとうございます。

次の更新は明日の20時です。

わんわんおーです。



恋愛ジャンルでぼちぼち投稿始めました、こちらがメインですが、ぜひ読んでみてください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ