7.宝箱と詳細鑑定
全階層、全ボスを書くときりがないので巻いていきます。
目の前にあるのは宝箱、それもとてつもなく豪華な。推測としてはボス討伐は宝箱が確定、もしくは初回のみ確定。
何はともあれ、トレジャーハンターのスキルの効果で罠の心配はない怜の中には、ここで開けないという選択肢は存在しない。
「ここらで運とかいう折角一番ポイントを使った、確率の壁を超える変数に仕事してもらいたいね。…おおおお!?」
中に入っていたのは、剣、鎧、盾、ローブ、杖、アクセサリー数種類、ポーション瓶が3つであった。
ここで怜は気づいた。あ、このダンジョン3人用推奨だ、と。
思い出してみれば、今倒したフロアボスも三体だったし、他の階層のミノタウロスも三体で行動していた。加えて、ポーションとアクセサリーも3つ入っている。
…実際のところ、旧世界ではこのダンジョンの推奨人数は最低3人だったが、その場合は出現モンスターと同じかそれ以上のレベルで3人というかなり厳しい条件だ。そもそもダンジョンそのものに挑むにあたって最も推奨されていたのは、適性レベル6人が役割を持ってパーティを組んで攻略することだった。
尤も、1時間外にいるだけでモンスターの数が元に戻るような、常に数が飽和状態であるこのダンジョンには、そもそも挑戦する人自体ほとんどいなかった。せいぜい時間の流れを利用して入口付近で研究や魔法の開発、鍛錬に利用されていた程度だ。
時空のダンジョンは全100層からなる最上級ダンジョン。最上級ダンジョン自体攻略するとしたら国家事業並だった。外と時間のズレがあり、アニメや漫画でよくある階層転移装置も存在しない。常にモンスターに挑み続けなければいけない事が更に人を遠ざける原因となっていた。
しかしスタンピードが存在する限り、ダンジョンに一切手を出さないという選択肢は存在しない。外で1時間待つだけで中では6ヶ月経過している。それによって何が起きるか、魔物の高速的な増殖だ。
そのため、通常のダンジョンであれば放置し続けても3年に1回程度しか溢れないダンジョンが、このダンジョンでは6時間に1回ほどモンスターが溢れてくる。6時間に1回モンスターが溢れてくる最上級ダンジョンなど悪夢でしかない。幸いだったのは飛行するモンスターが出てくることが少なかったことか…。そのため、旧世界では時空のダンジョンは常に精鋭に包囲された状況にあったのだ。
その事を考慮したのか、はたまたただの偶然か、旧世界と新世界合わせても唯一ともいえるこのダンジョンを攻略できる可能性を持つ怜をラビリスは送り込んだ。もしこの時空のダンジョンを攻略できたらそれだけで人類に対する脅威はグッと減るだろう。
【閑話休題】
「この刀から確認しようかな?っていうか昔も刀あったんだな…。よし!まずは『鑑定』」
——スキル:鑑定のレベルが上昇しました——
——スキル:鑑定のレベルが上昇しました——
——スキルレベルが最大となりました。スキル:詳細鑑定と進化します——
霊刀護反:神霊樹が寿命と共にその力を凝縮し、産み出したとされる刀。実体が無く、精神を切り気絶させることで護ることに特化した刀。魔力を通すと性質が反転し実体を持ち、通した属性と同じ属性の刃になる。
スキル:不壊 斬鉄
レア度:伝説級
「うわ!不壊に斬鉄?これはチート武器ってやつが出たんじゃないか!?このダンジョンやばすぎだろ!レア度伝説級って…やばくね?…というか、霊刀護反…冷凍ご飯……ふっ……。……次行こ…」
怜の鑑定が詳細鑑定に上がったことでスキルとレア度まで見えるようになった。ちなみに鑑定のレベルが上がったことから分かるようになったレア度の中で、伝説級はやばい。どのくらいやばいかというと、上から2番目くらいにやばい。上にはもう神話級しかない。
ちなみに、国宝級までは人の手で製作可能とされている。
伝説級はダンジョンで発見するか、伝説と謳われるほどの実力者が永きにわたって使うことで魔力が染み込み変異することで生まれる。そこから上のレア度の物はダンジョンで見つけるか、神やそれに連なる実力の者が、生涯で1つだけ作製可能だ。
「ってことはこっちの鎧とかも…『鑑定』」
天帝の聖鎧:龍を従え、天を駆けたと言われる天帝が使っていたとされる鎧。聖属性が宿っている。
スキル:自動修復 清浄 自動調節
レア度:国宝級
「龍ってドラゴンだよな!テイムして雫を乗せてやりたい…!」
まだ10階層なため龍など見かけてもいないが、もし意思疎通ができるのならばテイムなり従えるなりしたいと考えた。怜が雫のことを優先して考えることは、怜にとってもはや基本中の基本になっていた。
隠密神のローブ:影が薄すぎて何もしていないのに魔力掌握にも気配掌握にも反応せず、ついに視認すらされなくなった時ある男が危機感を感じ、その特性を移行したもの。(特性移行後は時々忘れられる程度になった)
スキル:無音 無臭 光学迷彩 認識阻害 意識誘導
レア度:神話級
「神話級かよ!というか悲惨!すごくかわいそう!神話級の影の薄さかよ!なんなんだこの説明は!でも認識されるようになってよかったね!?」
怜は思わずと言った感じで鑑定に対して突っ込んでいた。鑑定が進化して詳細鑑定になってからツッコミの腕が磨かれている気がする怜だが、娯楽も何もないダンジョンで笑わせてくれる文章には内心感謝していた。
そして、目の前にはまだ鑑定していないものが残っている。気持ちを切り替えて次を鑑定する。
吸魔の盾:旧世界で、強大な魔法を操り、1000年生き続けていると言われ、最凶と呼ばれたエルダーリッチのアヴィスに対抗するために作られた盾。物理攻撃は貫通するが、魔法を受けると魔力を吸収する効果がある。吸収した魔力は溜めることが可能。
スキル:魔吸収
レア度:国宝級
「出た!エルダーリッチ!というか、これに余裕ある時に魔法をぶつけておけば魔力切れの時に役立つんじゃないか…?」
実際、この装備はエルダーリッチのアヴィスを倒した後は国の結界の核として使われていた。物理攻撃が貫通するため、核として使うには破格の性能と安全性を誇っており、魔法専用の盾にでも、魔力電池としても使用することができる。
仕込み杖:旧世界で不治の病にかかった天才魔道具職人が作り上げた杖。これ1本で魔道具の歴史が100年進んだと言われている。キーワードを唱えると形状変化し、杖状の剣に変わる。キーワードは【我が意思に従い、真の姿を現せ!杖剣ヴェルセルクヴァースト!】
スキル:形状変化 自動修復
レア度:国宝級
「不治の病って中二病じゃねーか!才能の無駄遣い!ベをヴェって言うな!バをヴァって言うな!杖が剣に変わるだけで真の姿気取ってんじゃねえええよ!はぁはぁ…突っ込みすぎた…。…後は…ポーションとアクセサリーか…」
余談だが、個人で国宝級を作成することができる職人など、一握りしかいなかった。無駄な才能と、残念なことに高性能な武器。必ず入る形状変化のキーワードがあったとしても愛用者は多く、むしろ使用した者を病気にしていたため、黒歴史の職人ということで、黒歴史量産機と呼ばれていた。
「よーし!ここまで来たらあれしかない!このポーションは一択だ!『鑑定』」
エリクサー:欠損、病気に関わらず完治させるポーション。死してなければ全てが治る。
品質:最高級
「予想も当たったし、普通驚くと思うけどなんか1番マシに見えてきた…物語では秘薬とか霊薬って言われるのに…」
もちろんエリクサーはレアだ。超激レアだ。売れば一攫千金と言われるほどに。むしろ、死んでなければ治せるポーションがレアじゃないはずがない。
エリクサーは上級ダンジョンの攻略特典、最上級ダンジョンのボス初討伐特典、最上級ダンジョンの50層以降のレアドロップ、最上級ダンジョンの宝箱、製薬の5種類しか手に入れる方法がない。
しかし、製薬するにしても既にレシピは失われている上に、そもそも製薬に必要な素材は最上級ダンジョンか、上級ダンジョンの深層にしかないため製薬はほぼ不可能だ。
「最後はアクセサリーか。首飾り3つに指輪2つか…首飾りはミノタウロスから直接ドロップした物だから清浄の首飾りかな?指輪は…『鑑定』」
身代わりの指輪:死に瀕した時、ダメージを指輪が肩代わりし健康状態に戻す。欠損は戻るが体力と魔力は戻らない。
レア度:伝説級
「定番だけどこれが欲しかった!よし、帰ったら雫にあげよう。1個は俺がつけるか…」
身代わりの指輪は人に作成できるものではなく、ダンジョンで発見するか、戦闘に送り出すときに親しいものから贈られた指輪がいつの間にか変化することによって生まれる。即ち、〇〇が守ってくれた。とリアルに言える人がいたのだ。
「後はステータスを調整してから休もう…お、レベルもめちゃくちゃ上がってるな。密偵の次は暗殺者一択か…物騒だな…魔法使いも一択か。研究者は…ふむ、やはり分野ごとに分かれているのか…」
怜は、我を失ってミノタウロス狩りをしたことに加えて、格上であるミノタウロスキングを倒したことにより大幅にレベルアップを果たしていた。
名前:神崎 怜 職業:(密偵→暗殺者:Lv.1 魔法使い→魔導士:Lv.1 研究者→錬成師:Lv.1)
種族:人間
Lv:433
HP:51765/51765
MP:84190/84190
筋 力:B-
防 御:C+
魔 防:C+
知 力:A+
精神力:C+
生命力:C+
速 度:S
器 用:B-
会 心:C+
運:A+
CP:129318
SP:128005
固有スキル:完全記憶 早熟 マップ 超越 トレジャーハンター 勇者
職業スキル:忍び足→NEW無音:Lv.7 魔力操作:Lv.6 サーチ→NEW広域探査:Lv.1 NEW不意打ち:Lv.1
スキル:言語理解:Lv. MAX ルーン言語:Lv. MAX 限界突破:Lv.3
アイテムボックス:Lv. MAX 鑑定→詳細鑑定:Lv.1 並列思考Lv.6
武術の才能:Lv. MAX 魔法の才能:Lv. MAX 鍛冶の才能:Lv. MAX 錬金の才能:Lv. MAX
筋力上昇:Lv.1→Lv.7 防御力上昇:Lv.1→Lv.7 魔法防御上昇:Lv.1→Lv.6 知力上昇: Lv.3→Lv.8 精神力上昇: Lv.3→Lv.8 生命力上昇:Lv.1→Lv.7 速度上昇:Lv.1→Lv.7 器用上昇:Lv.1→Lv.6 会心上昇:Lv.1→Lv.7 運上昇:Lv.1→Lv.5
変装:Lv.1 偽装:Lv.1
気配遮断Lv.7 魔力遮断Lv.7 気配感知: Lv.3 魔力感知: Lv.2
剣術→剣豪:Lv.3 投擲:Lv.1→Lv.2
火魔法:Lv. MAX 水魔法:Lv. MAX 風魔法:Lv. MAX 土魔法:Lv. MAX 光魔法:Lv. MAX 闇魔法:Lv. MAX 神聖魔法:Lv. MAX 雷魔法:Lv.5 回復魔法:Lv.5 自己再生:Lv.1
逃げ足:Lv.1→Lv.7
付与:Lv.1→Lv.5 合成:Lv.5 魔法陣:Lv.1→Lv.9
称号:開拓者 ジャイアントキリング 超越者
怜は次の日から、11階層に進んだ。
11階層は今までと同じく洞窟のような場所だった。しかし、今までとは全く違うことがあった。それは、隠密神のローブにより敵にばれることなく倒すことができることだ。
チート性能としか思えないほどの効果を実感するとともに、この効果を纏っていた過去の人の気持ちを考え、悲しい気持ちになった。
徐々に得られる技術が無くなっていったことに加えて、時間短縮を図るために、隠密からの急所という攻撃が基本になっていった。しかし、敵のレベルはあまり上昇しないがステータスは階層が深くなるにつれて上がっていき、同時に攻撃が通りにくくなったため、怜も徐々にステータスを上げていた。そしてついに全ステータスを人間としての限界値までTPを振ってしまった。
そんな怜に変化が起きたのは、33階層でラミアを倒した時だった。
——レベル上限に達しました。種族進化を行います。安全な地帯に移動してください——
読んでくださりありがとうございます。