51.専属冒険者 後編
気が向いたら前編と合わせたいと思います。
「2人はスタンピードの時も活躍していたし、それでいて安全志向だから安心できる。最初はアルバイト扱いでないと無理だと思うが、高校卒業後に正規にすることも可能だ。どうだ?」
「ちょちょちょっと待って!専属?詳しく説明してくれない!?」
茜さんが焦ったように言うが、確かに俺もそう思うし実際その通りだ。俺が呆気にとられていた間に言ってくれたことはまさに代弁だった。そもそも冒険者なら神崎くん達2人の方が強いしもう少し説明がないと理解ができない。
しかし、まだ話を詳しく聞いていないとはいえ、将来的に一流企業となることが約束されてると言っても過言ではないここに卒業後に正社員となれるのは少しというかかなり魅力的だ。
「俺たちより強い神崎くん達が頼む理由とかそのアルバイトの内容を教えてもらえるかな?それと、できれば選ばれた理由も」
「はい、そこからは資料と共に私に説明をさせてください。順を追って説明させていただきますね」
この子は確か雫ちゃん、神崎くんの義理の妹だったはず。って、今の今まで忘れていたけれどこの会社の代表は雫ちゃんの方だったはずだ…。
「はい、机の上の資料の最初のページをご覧ください。我が社で行う予定の事業を大まかに書かせていただきました。まずは通常販売部門、ここでは初心者冒険者向けの剣や盾、防具を販売します」
「現在売られているものは、盾ですら警察や自衛隊で採用されている防弾式のものではなくただの金属製のものです。全ての装備は供給量を満たすための量産品であり、正直品質は最悪です。しかし、スキルを使用した製作を行うことで、一定以上の強度と切れ味を持った剣や装備を大量生産することが可能です」
「確か、北海道解放を目指している梓さんにスタンピードの時渡していたものだったかな?確かにあれはいい商品だと思う」
「その通りです。防具の方は、モンスターからドロップした皮を使用することで頑丈性と軽量化に成功しています」
正直言ってここまででも既に凄い。これ1つでやっていけそうなくらいなのに、部門はまだ分かれている。それに、俺たちを呼んだ理由もまだ出てきていない。
「次に、製品開発部門です。こちらは、その次と纏めて説明させていただきます」
その次…これか、魔導具販売部門。この会社の売りはマジックバッグなどの魔導具にあったはずだ。
「その次というのは魔導具販売部門です。こちらも大きく分けて一般用と冒険者用の2つになっています。製品開発部門で開発した製品を試用、テストを行うことで安全性、利便性、必要魔力を確かめて販売部門で売り出します」
「一般部門では、現在は残念ながら電化製品と同等のものしか作れていませんが、魔力式防犯装置や投げると回復できる使い捨てアイテム、回復玉などがあります」
「冒険者部門では、ご存知のマジックバッグや認識阻害のローブ、そしてポーションですね」
今挙げられたものは、発表後大反響を呼んだものばかりだが、その希少価値は計り知れない。
今あげられたアイテムの中でもポーションは冒険者部門に入っているが、一般で販売されることが確定した途端、オークションでも高くても50万円以内に落札されるようになったが、それでも50万円かける人がいるほど需要が高い。
つまり一般と冒険者部門の兼用と言ってもいいだろう。
「そして、次がお2人にも関係する料理部門です。現在のダンジョン会館での購入価格より高値で食材アイテムを買い取ることで食材を集め、ダンジョン食材を使用した店を多数展開する予定です。しかし、最大の問題が食材アイテムの量です」
「あー、分かったわ。要は食材アイテムを集めることがバイト内容なのね?でも、買い取りで必要量が集まると思うのだけれど、どうしてわざわざ雇うのかしら?」
確かに、茜さんが言うことは一理ある。よくよく考えてみたら俺たちよりも圧倒的に強い神崎くんたちに雇われる意味は無さそうだけれど…でもこの内容なら俺は受けたいな…。
「現在野菜系アイテムがある階層は26階層以降です。お2人には、装備で底上げした力でそこまで取ってきてもらいたいのです」
あーーー、そう言うことか。いや、俺たちが選ばれたのは信用できると言う意味もあったのだろう。
だって26階層以降に行くには絶対に食料が足りないし、解決するにはアイテムボックスかマジックバッグが必要だ。
それにそのまま就職できるというのも魅力的だ。両親の許可が出たらしたいな…。
茜さんはどうするのだろうと見てみると、同じくこちらを見ていた。
「俺自身はしたいけれど、一応両親の許可を取りたいから…また明日時間あるかな?」
「私も親に聞いてみないと分からないけれどやれるならしたいわ」
「そうですか!では、こちらをお持ち帰りください。明日1枚は家に置いてきてください」
受けたいと考えていると答えたら雫ちゃんから紙を二枚渡された。ただの白紙のように見えるが…と思っていたら神崎くんが今日一番のとんでもないことを突然言った。
「それは使い捨て転移魔法陣、転移魔法紙だ。それに魔力を通すと対となる紙のところに転移をする仕組みだ。2人とも高校の時は自転車通学していたからここからも近いとは思うが、説得の一手だと思ってくれていいぞ」
「「…は?」」




