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48.四勇士

「おぉ、怜くん雫くんよく来てくれた! 2人は東京所属冒険者になったのだね」

「こんにちは、菅原隊長。ご存じの通り雫が冒険者学校に通うことになっているので東京に所属ですね」

「そうだな。…もしかしたら2人が驚くようなことが起こるかもしれないな」

「驚くこと…ですか?」

「あぁそうだ。もっとも、私自身驚いたことでもあるのだがな…」


 菅原隊長が驚くことがいまいち想像できない怜と雫だったが、今日来た目的はただの顔合わせなのであって、ダンジョンに潜るわけでもなく、ただ東京で一度菅原隊長に会っておこうと考えただけなのだ。


「そういえば、受付嬢さんたちが凄くギラギラした目で私たちを見ていたのですが、私達、何か」しましたか…?」

「あー、確かに言っちゃあ悪いが獲物を狙う狩人のような目つきで見られていた気がしたな」

「あぁ、それは…」

「それは?」

「あ、あれだ。そう、貢献度1位の2人を担当したいと言っている人は沢山いるということだ」


 1位を担当したいということもあるが、実際はもちろん担当することによって得られるものを狙ってのことだ。もちろん、担当受付嬢がすでに決まった愛莉から変わることなど滅多にないが、冒険者のほうから希望を出したのなら変更が可能だ。


 受付嬢たちは、雫をというよりは怜の目に留まることで気に入られるというほんの小さな可能性を狙っているのだ。

 …もっとも、怜がシスコンという噂が流れていることに加えて実際に怜が雫をどれだけ大事にしているかを見てしまえば諦めそうなのだが。


 そのような雑談のようなことをしていたら表の方から軽い歓声が聞こえてきた。気になったため表に出てみることにした。


「ん?おおお!疾風迅雷じゃねぇか!」

「馬鹿ね、あの2人は風神乱舞よ?」

「久しぶり!雫ちゃん!」

「…おう」


 東京のダンジョン会館で歓声が上がる出来事など限られている。そう、例えば有名な冒険者が戻ってきたなど。

 案の定、居たのは四勇士というパーティ名が付いた大学生4人ぶりである順番に武田隆介、三沢彩香、佐藤灯里、石澤海斗だ。怜とは全く関りがないのだが、雫と灯里は、ダンジョン会館の場所を雫が灯里に教えただけだが面識がある。


 どちらも有名になっているため、一方的に知っている状況であり直接会ったのはほぼ初めてだったのだ。


「初めまして、風神乱舞の神崎怜です」

「こんにちは、四勇士の皆さん。灯里さん久しぶりです」

「初めまして神崎怜さん。私は佐藤灯里、よろしくね!」

「風神乱舞…か。店はいつ頃始める予定なのだ?今は魔導具を購入することができるように資金をためているのだが…」

「はい、店舗名や建物の確保も住んでいるのですが、今は肝心の在庫がまだまだ足りない状況です。ですので、まずは専門の技術士を集めなければいけません」

「…そうか」


 怜が見たところ、4人のレベルはマジックバッグ無しで行ける場所で上げられる最大レベルまで上がっており、その実力があって留まってしまっているのはもったいなく感じた。しかし、そのまま簡単にマジックバッグを与えてしまうと、自分もだと言い出すものがたくさん現れてしまう。


 雫のほうを向いてみれば、レベルを見る能力である鑑定を持っていなくても同じようなことを感じ取ったらしく、少しだけ予定外だが会社の利益にしつつも4人の手助けをすることにした。


「せっかくなので、どこかでゆっくりと話をしませんか?私たちもこれからは東京に所属することになりましたし」

「なに!?それは本当か!?」

「はい。俺は違いますが、雫が春から冒険者学校にに通うことになっているのでその関係上、こちらに住むことにしました」

「冒険者学校か…。そういえば俺たちに戦闘実技の講師のオファーが来ていた気がする」

「えぇ…私たちが雫さんに教えることができることなんてあるのかしら?」

「私が通う予定なのは商業科なので大丈夫だと思いますよ。…そろそろ昼時ですし、立ち話も何なのでどこかへ移動しませんか?」

「そうだね。少し邪魔になっている気がする…」


☆★☆


「そうですね…今のところオークとミノタウロスくらいしか肉を落としませんが、オークよりもミノタウロスのほうが美味いきがします」

「へぇ!やっぱりミノタウロスの肉はうまいのか!食材系ドロップは嵩張るくせに安上がりだからほとんど放置しているからなぁ」


 この言葉を待っていた雫と怜。すぐに考えていた提案をする。


「もし、マジックバッグを所持していたとしたらドロップアイテムはすべて持ち帰ってくるのですか?」

「…それは当然だよ。買取価格が安くても食材系ドロップの量自体はかなり多いからね」

「まぁ今まで捨てた分だけでも多分かなりの金額になると思うわ。あ、でも無料で貰おうとかは考えていないわよ?購入できるようにお金を貯めているわけだし、私たちは梓さんのような事情もないただの冒険者だもの」


 話の流れからか貰えると予想したのか、彩香が否定の言葉を先に言ってくる。そんなただ助けられるような施しを受けるつもりはないようだが、残念ながら怜と雫がするのは奉仕ではなくビジネスだ。


「マジックバッグを貸し出すので、持ってきた食材アイテムを私たちに売りませんか?マジックバッグを貸し出す対価に買取金額はギルドよりも少し低い値段にさせていただきますが、もちろんマジックバッグは他の使用方法をしていただいてもかまいません。これは取引です」

「それは願ってもないことだけど、肉程度ならあなた達が取ってきた量で充分じゃないのかしら?それに、私たちが潜っているダンジョンに現れるもんすモンスターからとれる食材系ドロップアイテムも変らないわよ」


 今のところArtは武具と魔導具を扱う店という認識なのだからそう考えてしまうのも仕方がないだろう。しかし、宣伝用とはいえArtは料理店も出すことになっているのだ。


 需要は溢れかえっているが供給が全く足りていない状況で日本トップクラスの冒険者パーティのドロップしたアイテムが手に入るのならば、需要と供給の差がグッと縮まってくれるだろう。


「私たちは、レストラン街としてモンスターからドロップした食材を使用した料理店を出すことを考えています。だから、食材は個人的な頼みなのではなく。商談と考えてくださっても大丈夫です」

「そうね…だけど借りるとはいえ無料というのは…」


 硬直してしまった話を動かしたのは、灯里だった。


「そういうことなら受けてもいいんじゃないのかな?」

「…灯里?」

「私たちはドロップした食材をこっちに卸すっていうひと手間だけでマジックバッグを借りることができて、雫ちゃんたちは必要なドロップアイテムを手に入れることができる。どっちにも損はないと思うよ?」

「…んー、でも…」

「それに、もう潜れる範囲でレベルが上がる気配はないし。私たちが断れば他の冒険者に話が流れるだけだと思うよ? だよね?」

「そうですね。既に神奈川県ダンジョンのほうに潜ってくれる心当たりがある人とはアポイントを取る予定もしています」

「ほら、受けようよ!」

「…そうね。私も賛成するわ。男2人はどう?」

「俺は良いと思う」

「…俺もいいぞ」

「よし!じゃあお願いしてもいいかな?」

「はい!ぜひお願いします!」


 神奈川県では一応信頼できそうな2人組の冒険者にすでにギルドを通して会う予定をしている。開発用ならば、自分たちとその2人が取ってくる分で足りると思っていたが、多いに越したことはない。


 本格的な買取は開店してからの予定だが、結果的に安く仕入れることができるからいい取引をしたと判断した。

四人しかいないのに五勇士って書いていた。いつの間にか増えることとなったパーティ…。


こちらの作品で初のレビューをもらいました!ありがとうございます!


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