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40.チーム名と社名

 怜の言葉を聞き、思わず固まってしまう雫。雫としては、伝えるという決意をした直後であったこともあって、まるで心の中を読まれたかのような気持ちになっていた。


「…はっ、行きます!その話をしたいと思って帰ってきました!」

「そうか!じゃあ今のうちに近場のマンション押さえておくぞ!学校が建てられているのはダンジョンの近くだから今は地価は東京とは思えないほど下がっているが、学園都市になるかもしれないからきっと高くなるだろう。安いうちに抑えておいて損はないからな」

「え、あ…は、はい!」


 ポカーンとした表情で雫が立っている。トントン拍子で話が進みすぎて追いつけていないようだ。まさに先ほどの先生と同じような状況に陥っていた。しかし、思考が追いついてくるとだんだんと嬉しさが溢れてくる。


 冒険者学校は、探索科、魔法科、商業科、魔導具科、スキル研究科の5つの科に分かれており、一つの区ほどの大きさが使われるようだ。ダンジョンが発生した日に崩壊した区画を国が買い取ったという話だったが、教育から研究まで幅広く行えるエリアを作るためだったようだ。


 東京に4つある初級ダンジョンのうち1つを囲っており、実戦を経験させるための準備と教育設備も用意されている。ダンジョン関係に関してはトップクラスの施設になると考えられるため、これから地価はダンジョン発生前よりも上がることだろう。


「兄さん!ついでに昨日は決まらなかったパーティ名とか色々決めましょう!みんなも呼んで!」

「んー、参考にならないと思うが呼ぶか…じゃあ先に茶の間に行っていてくれ」

「はい、分かりました!」


☆★☆


「怜~?何の話し合いをする為に呼んだの?まぁ、エリアの戦士を読み終わったところだから良いんだけど」

「ぬしさまが私たちを呼ぶとは珍しいの!」

「最近はずっと部屋に居たさかい、良い機会やと思います」


 電子書籍より紙本派のラビリスと想像より史実派のカンナ、そして萌えアニメ信者のかなり訛りが抜けてきたコフィンの3人が怜によばれて部屋から出てきた。もちろん、呼んだ理由はパーティ名に関してだ。


「雫からパーティ名とかいろいろ考えるのを手伝って欲しいって頼まれて、その時にお前達も呼ぼうって話になったわけ。だから一応考えてみてくれ」

「それでは、まずは1つずつ出してみましょう」

「「「りょうかい(です)(なの)」」」


「はい!じゃあまずはわたしから!バッテリー!」

「野球で言うところの最高の組み合わせ!それは私と兄さんみたいでとてもいいと思います!」

「でしょでしょ!怜はどうなのよ?」

「バッテリーは2人だが、ラビリス達の要素も入れたいから却下だな」

「そ、そう言う事なら仕方ないわね…」


 雫は全力で肯定をしめしたが、ラビリスは自分たちも入れたいことを聞かされて照れながらも簡単に引き下がった。それはそれとしてラビリスはスポーツマンガを読みすぎだと思い始めてきた。最近は常に部屋に居るが、部屋に置いてある棚だけでは足りなくなってきて、最近ではブックカバー型のマジックバッグ?という無駄に高性能なものを作成していた。1シリーズにつき1つ作られており、正直なところ能力の無駄遣いだと思っている。


「はい!新撰組がいいと思うの!」

「いや歴史に興味持ちすぎ!」

「私たちの装備は特務部隊ですし…新撰組というのは…ちょっと…」


 怜達の装備はすぐに変わると思うから、新撰組という名前は少し違う感じがする。


「あーん…新撰組は好きだけど新撰組は敵より味方を殺した数の方が多いからなぁ…」

「え!?そうなの!?なら辞めるの!」


 最終的には自らも取りやめて、カンナの案も却下になってしまった。ラビリスもだが、カンナも趣味に引っ張られている気がする。


「うらからは、主様たちは神崎、うらたちは神さんと神獣でラビリス様は金髪で、主様が変身したジークムント様も金髪さかい、金というイメージがあると思います。だから、金髪モザイクがい「却下!」」

「パクリだ!モザイクはいらん!」

「金髪要素ラビリス様しかいませんからね」

「私より酷いと思うの」

「…だらぶち」


 残るは雫と怜だが、雫のセンスはこの前の一件で少しばかり信用ができないかもしれない。しかし怜は、自分のネーミングがありえないほどセンスが無いと思ったため、一旦雫の案を聞いてみようと思い案を出すように促してみた。


「えーっと、では私は風神乱舞というのはどうでしょう?」

「へー!その理由は?」

「えっと、まず疾風迅雷の固有スキルを持つ風のカンナちゃんと風の上位属性魔法である雷をよく使う私と兄さん、神様のラビリス様、妖術で舞うコフィンちゃんで、迅はみなさんスピードタイプなので…」

「ほわああ…良いと思うの!」

「うらもいいと思います」

「これで決まりでいいか?」


 この前の暴走センスはなんだったのだと言いたくなるような、とても良い感じのパーティ名が出たためそれで決定しようとした怜に、雫が待ったをかける。


「待ってください!まだ兄さんの考えたパーティ名を聞いていません!」

「そういえばそうね?」

「い、いや、雫の意見で良くないか?」

「主様の意見も聞きたいの!」

「…の……ん」

「主様、なんて?」

「金の弾丸だよ!却下!雫のに決定だ!」

「あー、疾風迅雷でいいわね」

「わ、私は兄さんの意見もいいと思いますよ!意志を貫くって感じで!」

「そ、そうなの!銀の弾丸はヴァンパイアに効くから金の弾丸は最強って感じするの!」

「ぬ、主様、幻術で記憶を消します…?」

「ええい!次だ次!会社名を考えるぞ!」

「そ、そうしましょう!」


 無理やり話を切る怜だが、みんなはそれに乗って会社名を考える方へと思考をシフトしてくれた。


☆★☆

「よし!ここは俺の案のArtで決まりでいいな?」

「「「はい…」」」


 魔装学院、神崎幕府、Ultimate Magic Item Creatorに勝利し、Artifact recreating teamの頭文字とArtifactのArtが一緒ということでArtというシンプルな名前で決定した。実際の名称としてはCo.Artとなるが、その名の通りアーティファクトを蘇らせる会社にするのだからこれからが大変だ。


 アーティファクト、魔導具は怜にしか作れないのではなく、付与できるのが怜しかいないだけだ。そして、付与は魔物素材のほうがやりやすい。だから硬く頑丈な魔物素材を加工できる工場を作る必要があるが、そのような準備メインでするのは雫だ。

 幸い、スタンピードで知名度は跳ね上がっている。入手できる素材で加工できる設備と人材を集めるのはそう難しくないだろう。

このような素晴らしい会社名は私が考えました!ということはありえませんね…。


Twitterで『ドデン』様の意見を参考にさせていただきました!

高評価とTwitterのフォローのほうもよろしくお願いします!

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