5.職業進化と肉
怜は、様々聞こえた声の内容を整理することと、近接の練習に移るためにステータスの確認と調整をする。
「ん?職業の進化?と、職業をあと2つ選べるのか?」
職業:隠者Lv. MAX→暗器使い 密偵 工作員
(未選択)→魔法使い 剣士 策士 研究者
「隠者からの進化と未選択の職業を2つ選ぶのかな?」
職業も進化することを知ったため、今は弱い職業でも将来的に強い職業スキルを手に入れることができる可能性が出てきた。そのため、未選択のほうに魔法使いとあまり枠ということで一つの仮説を立てて研究者を選択する。
——職業スキル:魔力操作を取得しました——
——職業スキル:サーチを取得しました——
スキル:魔力操作
魔力を操作し、使用MP量を変えることによって魔法の威力を変える。精密度はレベルにより変化する。
スキル:サーチ
指定した条件に当てはまるものを探し出す。効果はレベルによって変化する。(探知範囲:現在10m)
「仮説通りなら研究者は俺に必須の職業になるな…」
怜は、自分の仮説が職業スキル的にはずれていないことにほくそ笑みながら、隠者から進化できる職業を鑑定する。
「『鑑定』」
暗器使い:敵から見つからずに攻撃するとき、威力上昇。
習得条件:隠者Lv. MAX
密偵:敵から見つかりにくくなる。
習得条件:隠者Lv. MAX 敵から視認されることなく撃破
工作員:罠の成功率上昇。
習得条件:隠者Lv. MAX 敵に触れることなく撃破
「ふむ…火力か隠密か罠かで選べか…デメリットは消えるようだな。威力は魔法で足りているし、飛ぶ敵がいたら罠は無意味になる。隠密一択だな。」
職業を密偵に決定したところでミノタウロスから魔石の他にもドロップアイテムが出ていたことを思い出す。
「倒すと消滅してドロップアイテムを落とすのか。さてさて、ドロップアイテムは…剣と石と…肉?随分と大量だな…。とりあえず、『鑑定』」
ミノタウロスの剣:ミノタウロスの角でできた剣。
「短っ!」
魔石:魔力凝縮された石。魔物の核であり、エネルギー源になる。
「これは…もしかして魔導具の動力源になるのか!」
ミノタウロスの肉:魔力が浸み込み、熟成され、焼いても煮ても何にでも合うであろう最高品質牛肉。確定ドロップ。おすすめは直焼き。食べたい。
「誰目線!?」
とりあえず、魔物を倒せば食べ物が手に入ることに安堵し、次の段階にステータスを上げることにした。ちなみに、最上級ダンジョンのモンスターだからほぼ確定でドロップアイテムが出ているが、通常ならば魔石のみしかドロップすることはない。
それと、軽く流したがミノタウロスの角といっても最上級ダンジョンのミノタウロスの角からできた剣だ。その硬さは計り知れない。
「次は剣を使っていきたいから筋力を他より上げよう。後は魔石の他にもドロップアイテムがあるなら、運だけは最大まで上げようかな…。いや、どれくらい変化するかも知りたいし運も段階を踏もう。」
剣士の職業は取得していないがスキルは持っているため、武器は先ほど手に入れたミノタウロスの剣を使うことに決めた。そして、CPを振る。
名前:神崎 怜 職業:(密偵Lv.1 魔法使いLv.1 研究者Lv.1)
種族:人間
Lv:127
HP:5115/5115
MP:6190/6190
筋 力:B-
防 御:C+
魔 防:C+
知 力:A+
精神力:C+
生命力:C+
速 度:S
器 用:B-
会 心:C+
運:A+
CP:95128
BP:101385
固有スキル:完全記憶 早熟 マップ 超越
職業スキル:忍び足:Lv.4 魔力操作:Lv.1 サーチ:Lv.1
スキル:言語理解:Lv. MAX ルーン言語:Lv. MAX 限界突破:Lv.3 勇者Lv.1
アイテムボックス:Lv. MAX 鑑定: Lv.5 並列思考Lv.6
武術の才能:Lv. MAX 魔法の才能:Lv. MAX 鍛冶の才能:Lv. MAX 錬金の才能:Lv. MAX
筋力上昇:Lv.1 防御力上昇:Lv.1 魔法防御上昇:Lv.1 知力上昇: Lv.3 精神力上昇: Lv.3 生命力上昇:Lv.1 速度上昇:Lv.1 器用上昇:Lv.1 会心上昇:Lv.1 運上昇:Lv.1
変装:Lv.1 偽装:Lv.1
気配遮断Lv.7 魔力遮断Lv.7 気配感知: Lv.3 魔力感知: Lv.2
剣術:Lv.1 投擲:Lv.1
火魔法:Lv. MAX 水魔法:Lv. MAX 風魔法:Lv. MAX 土魔法:Lv. MAX 光魔法:Lv. MAX 闇魔法:Lv. MAX 神聖魔法Lv. MAX 回復魔法:Lv.5 自己再生:Lv.1
逃げ足:Lv.1
付与:Lv.1 合成:Lv.5 魔法陣:Lv.3
称号:開拓者 ジャイアントキリング 超越者
体に漲る力を制御するために少し動く。今までの自分は何だったのだと言いたくなるような全能感。まるで、今まで罹っていた重い病気が治り、自由に動けるようになったかのような気分だ。
しかし油断は禁物だ。気配感知と魔力感知を発動し、そのまま一階層を探索する。しばらく歩いていると、また遠くからこちらに向かってくる足音が聞こえる。
曲がり角から現れたのは、先ほどと同じミノタウロスだ。今度は3体いるが、レベルアップしたおかげかステータスを上げたためなのか分からないが、先ほどのような威圧感を感じることはない。
気配遮断と魔力遮断がかかっていることを確認し、気配を殺しミノタウロスが通り過ぎた瞬間に後ろから速攻をかける。
驚くほど速い移動、自分が放ったとは思えないほど力強く振り下ろされる剣。あっという間にミノタウロスを1体切り裂き、気づかれることなくそのまま死角に移動する。断末魔の悲鳴すら上げることができずに、切り裂かれたミノタウロスは光の粒子へと変わる。
突然真横に光が現れたことでかなりの速度でミノタウロスが横を向く。しかし気配遮断と魔力遮断のおかげか、忍び足の効果なのかわからないが未だに怜が殺したことが他のミノタウロスにばれた様子はない。ミノタウロス達にとっては隣に居た仲間が死んでさぞかし動揺したことであろう。
焦って周りを見渡すミノタウロスに先程と同じ魔法を放つ。
「『ポイズンミスト』」
「ブモォォォ!?」
突然現れた見えない毒の霧に驚くミノタウロスを横目に、並列思考によって走りながら詠唱する。
「『ウォーターストーム』」
「ブモッ…」
1体を先ほどと同じ魔法で仕留め、残ったもう一体を剣で仕留める。3体のミノタウロスは全て魔石とドロップを残して光の粒子となった。
——スキル:気配遮断のレベルが上昇しました——
——スキル:気配遮断のレベルが上昇しました——
——スキル:気配遮断のレベルが上昇しました——
——スキル:気配遮断のレベルが上昇しました——
——スキル:魔力遮断のレベルが上昇しました——
——スキル:魔力遮断のレベルが上昇しました——
——スキル:魔力遮断のレベルが上昇しました——
——スキル:魔力遮断のレベルが上昇しました——
——スキル:忍び足のレベルが上昇しました——
——スキル:忍び足のレベルが上昇しました——
——スキル:忍び足のレベルが上昇しました——
——スキル:忍び足のレベルが上昇しました——
——スキル:剣術のレベルが上昇しました——
——スキル:剣術のレベルが上昇しました——
——スキル:剣術のレベルが上昇しました——
——スキル:合成のレベルが上昇しました——
——レベルが上昇しました——
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——レベルが上昇しました——
「ふぅ…余裕だったな…。って何このドロップ!」
長いスキルレベルアップ通知を超えて、ドロップアイテムを確認するとさっきの比じゃない量のアイテムが置いてあった。これは多分、運を上げた効果だろう。最大まで上げなくてもこれほどの量をドロップするとはいえ、よっぽどの物好きでなければ運のステータスは上げないだろう。
ちなみに、ドロップアイテムの中でまだ見たことなかったものはミノタウロスの武具シリーズとポーションだった。
「『鑑定』」
上級ポーション:上級のポーション。24時間以内であれば欠損が治り、体力が回復する。呪いには効果がない。
解呪のポーション:呪いを解呪する。禁呪には効果を示さない。
この後、10階層まで探索を進め、モンスターを察知し次第速攻をかけていったが、ミノタウロスより強力なモンスターは居なかった。しかし格上を相手にすることによって怜の技術は見違えるほどに成長していた。そして、10階層の階段を上がった怜の目の前には大きな扉がある。
「これは十中八九ボス部屋だよな…。魔法をいつでも撃てるように準備をしてからにするか…?」
ぎゅるるるるるる
その時、場違いな音がダンジョン内に響く。
「…飯にするか」
☆★☆
「『プチファイア』」
大量にドロップしたミノタウロスの肉を作成した生活用魔法でじっくりと焼いていく。そして、思いついたら成功したこのスキル!
「『錬成』」
スキル:錬成
物体を合成することができる。Lv.1 二つの物を一つに合成することができる。Lv.2 三つの物を一つに合成することができる。Lv.3 物体を変形させることができる。精度低。Lv.4 物体を変形させることができる。精度高。
怜は、ミノタウロスの血から塩を生成することに成功していた。錬成はLv.5で合成、変形だけじゃなく分解の能力が解放された。
こうして怜は、塩分不足の解決策を早くから手に入れていた。
☆★☆
今まで嗅いだことのないようないい匂いがする。いい感じに焼けたから思いっきり噛り付く!
「う…うまい!これは雫にお土産として狩らなければ!」
怜は速度を反射的にSに上げ、今来た道を全力で駆け戻り、半ば我を失いながら怒涛の勢いでミノタウロスを狩った。
ボスが待つ扉の前に戻ってきたのはおよそ6時間後だった。
読んでくださりありがとうございます。




