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25.自衛隊の活動

結構短いです。

その頃、菅原隊長を含む自衛隊の精鋭部隊6人は、東京の武道館近くにあるゴブリンダンジョンの20階層のフロアボスと戦闘をしていた。


 現在、東京には、初級、中級、上級ダンジョンがそれぞれ2つずつ存在している。その中でも、初級に位置するゴブリンダンジョンは、純度の低い魔石と、もしレアドロップがでたとしても鉄鉱石しかでないという、冒険者的に美味しくないダンジョンだった。通常ならば、初級ダンジョンは低レベルの冒険者の絶好のレベル上げ用の狩り場となる。


 しかし、ゴブリンダンジョンには、報酬の少なさの他にもある大きな問題があった。その問題とは、ゴブリンの臭いだった。ゴブリンしか居ないこのダンジョン。ゴブリンは、不衛生な腰布しか巻いておらず、一度ダンジョンに入ればその臭いはとても長時間居たいと思えるものではなかった。


 だが、ゴブリンダンジョンを攻略しないという選択肢は存在しない。

 もし、間引きすらせずにスタンピードが起きでもしたら、ゴブリン自体は簡単に倒せても、その臭いが都市にあふれかえることになり、その被害は一種のテロ行為よりも効果があるだろう。そして、一度溢れでもしたら、苦情と洗浄に追われることとなり多大な労力をかけることになる。


 他にも、ゴブリンというモンスターは知能も低く、脆弱である。作戦など無く、ただ襲ってくるだけの存在だ。だからこそ、もしスタンピードでダンジョンから出て、ダンジョンによる支配を抜けたら、本能に従い己が欲望のために女を襲う事になるだろう。


 いくらゴブリンが脆弱だとしても、武器を持たない1レベルの者が倒すことは不可能であり、最悪の事態が訪れることになってしまう。そのようなことは断じて許せなかった。


 だからゴブリンダンジョンは、初級ダンジョンの中で最も攻略を優先するべきとされていた。


 いくらゴブリンしか出ないとはいえ、15階層を越えてくると食料や水の問題が出てくる。ダンジョン内に湧いている水は正直、誰も飲みたいとは思わなかったため、アイテムボックスのスキルレベルを上げることも検討されていた。他にも、魔法を使う上位種や、下位種の能力を上げるリーダー種が増え、攻略が難航していた。


 そんな中、数日前に国が研究者から買い取ったばかりという魔法銃という名の魔導具が現れた。開発者は、犯罪行為をした対冒険者用の武器として開発したと聞いたが、ダンジョン攻略にも有効だと聞いているそうだ。実際、開発者はこの魔法銃を使うことで大量の魔石を売却しているらしく、自分たちも威力と使い勝手を確認する為に持ってきたとのことだった。


 この魔法銃は、限定10丁として販売してもらったらしく、なんと1つ3000万の値段で買い取ったとのことだ。しかも、その値段は開発者が釣り上げたわけではなく、国のほうで決めた値段に従うと言われ、その価値が付いたとのことだ。もちろん、先行投資も含まれているが、所有者固定という最高の防犯対策もあったことからこの値段になった。


 10丁の魔法銃は、現在存在する5つの攻略チームに2丁ずつ配られ、基本的に隊長と副隊長が持つこととなっていた。最初は荷物を運ぶためにSPを、ほとんどアイテムボックスのスキル使用した男に使わせようと話が進んでいたが、もしその結果狙われることとなった場合に非常に危険だとして、副隊長の手へと渡った。


 …所有者固定と言えば、ダンジョンの一般開放からすぐに広まったステータスカードも所有者が固定されており、他の人が自分のカードを起動しようとしても出来ない仕様になっていたが、もしかしたら開発者が同じなのかもしれない。


 実際、魔法銃を使用してみたところ、かなり攻略が楽になった。そもそも、雷属性というのは上位属性なだけあり、かなり使い勝手が良かった。


 習得するにしても、風属性と水属性を取らなければいけない魔法であり、必要ポイントも100ポイントと多量だったことから、習得しているものが自衛隊の中でほとんどいなかった謎多い属性だった。しかし、雷属性魔法のスキルを覚えたいと思う程度には便利な属性だった。


 加えてこれはなるほど、対冒険者用の武器として作成したという意味がよく分かった。殺傷能力は低いが、魔弾が命中したモンスターは、ほぼ確実に麻痺を起こしている。実際は雷属性だからではなく、怜が魔法式をそう組んだからなのだが、麻痺耐性など持っているはずのないゴブリンには、一発命中するだけで勝ちは確実なものとなり、このダンジョンの先に進むための光明となった。


 そしてついに今日、魔弾をより多くを買い取ることができた今日この日、この魔法銃を使うことで、今まで突破することを諦めていた20階層のフロアボスを倒すためにゴブリンダンジョンにやってきた。


 今までは避けるしか対策する方法がなく、魔法を撃たせないようにすることで精一杯だったゴブリンウィザード3体が、たった3発の雷の魔弾に沈む。現在日本最高のレベルを誇る菅原隊長と、いつも互角の戦闘を繰り広げるゴブリンリーダーですら魔弾1発に沈む。


 予想外に簡単に攻略できたが、この戦闘はある重要なことを気づかせてくれるきっかけとなった。それは即ち、状態異常だ。麻痺、毒、失明、どのような状態異常にかけても、それ一つで簡単に戦局が変わる。確かにこの魔法銃は強い。強いが、状態異常をかけるスキルを誰かが持っていたとしたら、多分魔法銃が無くとも攻略することができただろう。そう気づいたとき、状態異常の重要性を強く認識する事となった。


 15階層で一晩明かし、しょぼいドロップアイテムと品質の悪い魔石を集め、20階層初攻略報酬である宝箱の中身を持ってダンジョンを出た。


 新たなフロアボスを倒した満足感につつまれる中、探索から戻ってきた自衛隊に告げられたのは、山梨県が壊滅した可能性が高いことと、スタンピードが神奈川県に迫っている事だった。


読んでくださりありがとうございます。

そろそろ新キャラが増えます。

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