3.ステータスを振ろう
TPをいったん振り終えた怜は、スキルの取得に移る。
「次はスキルか…。ふむ、基本的なものは10ポイントか。創造とかいうよくあるチートスキルがあることは期待していないけれど、定番の…お!『アイテムボックス』あるじゃん!アイテムボックスのスキルレベルはMAXにして…よし、予想通り時間停止が付いた!」
「あと鑑定は…あった!それとステータスを誤魔化せるやつは…『変装』これは姿を…いや、これも取ろう。あと…あった、『偽装』これかな?」
「あとは魔法の才能?1000ポイントか、取ろう。ふむ…これは初期でLv.MAXなのか。後は、見つかりにくくしたいな…気配隠蔽と魔力隠蔽がそれっぽいかな?」
「近接用に剣術と投擲も取ろう。」
「お、武術の才能…これも1000ポイントか。才能系取っちまえ!」
「後はこのご時世武器とか買えないだろうから鍛冶と錬成も取るか…。ん?筋力アップ500ポイント?これパッシブスキル(常時発動)かよ!全部取るわ!」
「後は死なないような安全策は…気配感知、魔力感知は必須っぽいし、後は…ん?自己再生500ポイントか、取ろう。」
一応これくらいスキルを取れば支障はないかな…とそろそろやめようと思った時、ラビリスが話しかけてきた。
「あ、魔法の才能はとった?」
「魔法が必要になってくると思って取ったよ。」
「んじゃちょっとこっち来て♪」
怜は、ラビリスの表情を見て何やら嫌な予感がしたが、悪いことにはならないだろうとラビリスの近くへ移動する。
「えい♪」
「~~~~~っ!?なにすんだ!?」
「ルーン語を覚えた特典に基本と一部の特殊属性の魔法式をインプットしただけだよ~」
怜は、確かにどうすれば魔法を使えるかや魔法式がわかるようになっていた。しかも習得済スキルの中に魔法スキルが増えているから、とてもすごいことをしてくれたのだろう。
いや、考えてみると確かにすごすぎる。けれど!だけれども!
「ありがたいけど一言言ってほしかったかな!?」
「てへ♪まぁまぁ、お詫び代わりにそろそろ選び終わったなら取っておいた方がいいスキルも教えてあげるから見せて♪」
これから怜が行くのは未知としか言えないダンジョンである。その攻略のためのアドバイスをダンジョンの神であるラビリスがしてくれる、それは助かるし利点しかないということで素直に頼むことにした。
「じゃあアドバイスをお願いするよ」
「ふむふむ…お、才能系を揃えたのはいいね~、これがあるだけで成長率が違うし。隠蔽と感知も抑えてるし~…あ!この逃げ足っていうスキルと付与スキル、後は50ポイント必要だけど合成と魔法陣っていうスキルがおすすめかな!」
「逃げ足はぎりぎり分かるが…合成は錬成で代用できるし魔法陣なんか魔法を放つ時に魔法陣を表示するとかいう演出用じゃないのか?」
「わからないのも無理がないさ!これらは一度Lv.MAXになった後に進化することで強くなるからね♪」
スキル進化…なるほど、また新しい言葉が出てきたな。怜はその意味を考え、考えたが魔法陣などがどうやって強くなるのかがよくわからなかった…。しかし、そこは頼りになるアドバイザー、ラビリス神様にお任せあれだ。
「一つ一つ説明していこうか♪まずは逃げ足。今は逃げるときの速度アップだけど進化すると逃走から奔走になって、なんと!敵と対峙しているとき常に速度アップになります!」
それを聞いて盲点だったと思わずにはいられなかった。2回進化すると強力になる。つまり、一見しただけでは有用ではないスキルがあるということである。それだけでなく、ただの剣術であっても進化するし進化後はスキルレベルも上がりにくくなるだろう。
それだけスキルレベルを上げる手段であるSPは重要なものだと再確認し、初期でこれだけのSPがある自分がどれだけ有利かを感じ取っていた。そして、怜の興味は、自身が弱いと判断したおすすめされているスキルの可能性について移った。
「…次は?」
「合成は錬成みたいに物だけじゃなく、魔法も合成できるのです!合成魔法…格好良くないかい?」
合成魔法。その言葉だけで怜からひょこっと何かが顔を出す。やばい…それはやばい…語彙力も消え去り、怜の手が勝手に動いてスキルを取得してしまった!
つつつ、次は何を…!?と既に取る気なあたり単純な思考なのだろう。
「次の魔法陣は進化すると…」
「進化すると…?」
「付与と共に使うと紙や地面に魔力を通すと魔法が発動する魔法陣を転写できるのです!その意味…分かるかな…?」
付与…地面に…まさか!?そこで怜は一つの可能性にたどり着いた。異世界物の定番。そして心のどこかであるといいなと密かに思っていたもの。
「転移魔法陣が存在するというのか!?」
「ザッツライト♪」
☆★☆
気が付いたらおすすめされたものを全て習得している怜。「なんという高度な話術!?」などと言いたい気持ちだったが、取得したスキルたちが役に立つことに違いはないため自分を納得させる。逆に、今ならおすすめされたら何でも取得してしまう勢いだ。
「あとは何かあるのか?」
「あとは臨機応変に対応すればいいと思うよ♪どんな感じになったのかな?」
「えっと、こうかな?」
名前:神崎 怜 職業:(未選択)
種族:人間
LV:1
HP:100/100
MP:500/500
筋 力:E
防 御:E
魔 防:E
知 力:B-
精神力:E
生命力:E
速 度:E
器 用:C+
会 心:E
運:D
CP:99128
SP:89815
固有スキル:完全記憶
スキル:言語理解:Lv. MAX ルーン言語:Lv. MAX 限界突破:Lv.3
アイテムボックス:Lv. MAX 鑑定:Lv.1
武術の才能:Lv. MAX 魔法の才能:Lv. MAX 鍛冶の才能:Lv. MAX 錬金の才能:Lv. MAX
筋力上昇:Lv.1 防御力上昇:Lv.1 魔法防御上昇:Lv.1 知力上昇:Lv.1 精神力上昇:Lv.1 生命力上昇:Lv.1 速度上昇:Lv.1 器用上昇:Lv.1 会心上昇:Lv.1 運上昇:Lv.1
変装:Lv.1 偽装:Lv.1
気配隠蔽:Lv.1 魔力隠蔽:Lv.1 気配感知:Lv.1 魔力感知:Lv.1
剣術:Lv.1 投擲:Lv.1
火魔法:Lv. MAX 水魔法:Lv. MAX 風魔法:Lv. MAX 土魔法:Lv. MAX 光魔法:Lv. MAX 闇魔法:Lv. MAX 神聖魔法Lv. MAX 回復魔法:Lv.5 自己再生:Lv.1
逃げ足:Lv.1
付与:Lv.1 合成:Lv.1 魔法陣:Lv.1
「うん♪いいんじゃないかな♪」
「じゃあこれで確定にしよう」
「じゃあ、ダンジョンに送ってもいいかな?」
「いや!時間を空けたら雫が心配してしまう!駄目だ!一旦返してくれ!」
「わかったよ…。中では半年でも外では1時間しか経たない時空のダンジョンっていうところでいいかな?……最高難易度だけど…。」
怜は半年で1時間という言葉に驚く。最後に言った言葉はほぼラビリスの独り言になっていたため聞こえていなかった。
そして、浮かんできた疑問を解消するために質問を繰り返す。
「階層数は?」
「100階層かな?」
「今の時間は?」
「ここは精神世界だから時間の経過は皆無よ♪」
それを聞き、脳内で計算を始める。
つまり現在の時刻は8時…。学校はサボってOKだとして、残りの時間は10時間、つまり5年、約1850日。自己再生の成長に期待して4時間睡眠で36500時間!いや待て…高速回転する思考に一つの重大な疑問が残る。
「おい…。肉体の成長はどうなる…?」
「こういう時間変化のダンジョンでは外の時間に左右される、覚えておくといいよ♪」
怜は安心した。つまり、外に出たときは10時間しか経たないと…。問題は雫エネルギーが補充できないことだが…雫を守る力につながるのだから我慢しよう…そこまで考え決意する。「36500時間で100階層。やったろうじゃねえか!」と。
そう。怜が導き出した答えでの唯一の問題点は妹に会えないことだったのである。しかし、それも妹のためという考えに加え、自分が寂しくても雫には一切心配させずに戻ることができるため相殺。もはや脳内にダンジョンに行く事に対する問題は一つも存在しなかった。
「よし!飛ばしてくれ!」
「任せて♪転送!時空のダンジョン!」
☆★☆
——新世界初のダンジョン侵入者を確認。特典として、SP10ポイント スキル:マップを付与 称号:開拓者 を獲得。称号スキル:早熟を付与——
スキル:マップ
脳内に歩いた場所の地図をオートマッピングする。他スキルと統合することで効果が増える。自分の位置が青、敵の位置が赤で表示されている。(表示範囲:現在10m)
スキル:早熟
取得経験値に補正。取得SPとTPを二倍にする。新たなことを発見し、開拓することで効果が高まっていく。
読んでくださりありがとうございます。