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17.冒険者説明会

長いから二つに分けました。

「冒険者登録はこちらです!希望者は成人は身分証明証、高校生以上の未成年の方は身分証明書と保護者の許可証を準備して並んでください!」


 ダンジョン付近に新設された二階建ての建物、ダンジョン会館、通称ギルドには現在大量に人が押し寄せていた。

 宝を求め、名声を求め、レアドロップを求め、強さを求め、一攫千金を目指する者。


 強大なモンスターに故郷を、家族を奪われ、逃げることしかできなかった者。


 ジークムントに憧れてダンジョンに潜る者。


 理由は様々だが、モンスターを討伐する、ダンジョンを攻略するという、一つの共通した目的の元に人々は集まっていた。殺伐とした雰囲気を持つ者、そわそわとした態度の者、そんな中に和やかな雰囲気で並ぶ二人組、怜と雫がいた。


「無事に並べて良かったなー」

「本当にギリギリじゃないですか?もう会場が人でいっぱいですよ」

 少し余裕をもって家を出たのはいいが、身分証明書と許可証がちゃんとバッグに入っているかを確認していたら時間がぎりぎりになってしまったのだ。ちなみに、身分証明書も許可証もどちらもアイテムボックスに入っていた。


「現在をもって定員オーバーです!ウェブサイトから整理券を発行して次回以降の時間を確認してください!本日の冒険者受付可能人数は定員オーバーです!明日以降、再度お越しください!」

 確かにギリギリ間に合ったようだ。流石運の数値が人類最大値の怜だ、ぎりぎり間に合うとは、運が良かったようだ。

 今並んだ人たちは、第一陣として冒険者となることになる。尤も第二陣は明日なのだが…。ここから地下に作られたホールに移動し、そこで説明会を受けることとなる。ダンジョンについての注意点、職業として判断されるかどうかなどの説明を聞き、それを聞いて尚冒険者になると決めたものにダンジョンへ入場するための許可証が渡されるという仕組みだ。


 ダンジョン会館は主要都市に大型の支部が設置されており、ダンジョンがある場所の近くには必ず支部が作られている。本部は日本の都市ともいえる場所であり、英雄ジークムントから剣を託された精鋭が集う東京だ。…ちなみに、剣を託された者たちは、ほとんどの者が新しく設立されたダンジョン対策部隊に所属しており、国からの補助を受けて、3か月前から自衛隊とは別にダンジョンを攻略している。


 そして、今いるダンジョン会館の運営は自衛隊が行なっている。そのため、鑑定をしてみるとレベル10を超えている人たちが各地に配置されていた。Lv.1と10では大人と子供レベルで実力に差が出る。きっと、入れなかった人や、もしも暴れる人が出てもいいようにする暴動対策なのであろう。


☆★☆


 案内を受け、ホールに入り、雫と一緒に椅子に座り待機する。雫が入れるか心配だったが、ここでは年齢確認を行っていなかった。登録時に確認するのだろう。

 友達と来た人も多いのか、かなり騒いでいる人が居たり、冒険者という職業に緊張しているのか、とてもがちがちな人など、沢山の人がいた。左手に包帯、そして眼帯をつけたような人もいた。…怜は、関わらないでおこう、もし話しかけられたら隠密神のローブを着ようと心に決めた。

 その中に、高校のクラスメイトだった人が数人いた気がしたが、多分気のせいだろう。…怜は絶対記憶の固有スキルを持っているが気のせいったらきのせいなのだ。


 空席だった椅子にどんどんと人が座り、体育館ほどの大きさがあるホールが満席になったところで、正面のステージに自衛隊の人が上がってきた。


「静かに」


 その一言で会場が一気に静まりかえる。まるで、高レベルのモンスターと対峙した時のような緊張感を持たせる雰囲気に会場が包まれる。怜がステージに上がった男を鑑定をすると、レベルは54、間違いなく日本の、いや、世界でもトップレベルの実力を持った者たちの1人だろう。


 レベル50とは、貰えるポイントが倍になり、HP、MP上昇率も跳ね上がる境界という意味を持っているだけではない。レベル50は、一種の高い壁だ。1の経験値が貰えるゴブリンを1万体倒しても、格上相手に一回だけ攻撃を与えて経験値を得ても、その者のレベルは49以上には上がることはない。なぜなら、レベル50には、ボスを倒す、格上を倒すなど、ぬるま湯のような探検ではなく本物の冒険をしなければ至ることはないのだ。その壁を、修羅場を超えている。見せかけのレベルじゃない強さを持っている、つまりこの者はボス討伐を果たしているのだろう。


「さて、ここに集まった者たちはモンスターを討伐せんとする勇敢な者たちだろう。勇敢なのか、蛮勇なのか、その者の本質はまだわからないが、我々自衛隊は蛮勇な者ではなく勇壮な者を求めている!」


 言い方はかっこいいが、彼が言いたいことはつまり、冒険者になることということはお遊びでなどはなく、モンスターに立ち向かうものだ。無謀ではなく戦い抜く意思を持っている者を欲しているのであり、自分の事しか考え得ないようなやつは要らないと言っているのだ。


 物語の中の冒険者は荒くれ者の集まり、はみ出し者のたまり場、アウトローというイメージが高い。だが、今求めているの冒険者の像は、日本を、まだモンスターに立ち向かうことなどできない弱者を守るためにその無力な弱者という殻から自ら飛び出し、力を手に入れ、守る立場になる者たちなのだ。


「私は、日本自衛隊ダンジョン対策課、攻略チームの隊長、菅原貴之(すがわらたかゆき)だ!私は、私の実力を日本の、いや世界のトップレベルだと自負している!

 私は既にオークですら相手にならないほど強くなった!故に、ダンジョンは人を簡単に強くする。だからこそ、この会場で開会の言葉として私の想いでもあるこの言葉を送らせてもらう」


 なるほど、この者はダンジョンの恩恵を一番知っているとともにその危険性も正確に認識しているのだ。彼が直接言葉をかけるのは、言葉に思いをかけるとともに自身を牽制につるためだったのだろう。そして、全ては日本を想う信念のために行動しているのだ。雫を想って行動する怜には、貴之の気持ちがよく分かった。


「欲に飲まれるな!怒りに飲まれるな!夢を追いかけろ!

 強さを求めるのは弱者を虐げるためじゃない。守るためだ。冒険者となった瞬間から、俺たちは人々の守護者だ!国のためとかいう高尚な考えは一切要らない!

 そして…彼の言葉を忘れるな!身近な者を守りたかったら、強く在れ。人は、龍をも落せると英雄が証明している。以上だ」


 貴之隊長の言葉の余韻で静まる会場ので中、彼こと英雄ジークムントならぬ怜の心には、言葉のパイルバンカーがクリーンヒット、損害大、修復不能。そんな怜の表情とは真逆の雰囲気で、雫が嬉しそうにニコニコしている。


 静寂の中、違う自衛隊員なのかただの司会進行なのかはわからないが、年若い女の人が貴之隊長が降りたステージに登ってくる。ちなみに貴之隊長は、次の場所に向かうのか分からないが急いで会場を出てどこかに向かって行った。


「では、ダンジョン会館の説明を始めます。まず……


 一階では素材の買取、鑑定のスキルを取得した職員がレアドロップの鑑定、もしも価値のあるドロップをしたり宝箱を見つけ、無事中身を持ち帰った時などに、価値はあるが要らないものをオークションに出品するための受付をしている。


 二階以降では装備やポーションの売買をしている。現在は量産品の防具や武器しか置いていないが、個人での販売の委託や、許可を取れば店舗を開くことができる。


 職業名は冒険者となる。


 冒険者が犯罪を犯した場合は、基本的に執行猶予なし、刑が重くなる。あまりに高レベルの場合は、死刑もあり得る。


 レベル30以上でスタンピート時の参加義務がある。20以上で任意での参加が可能。


 レベルや到達階層などによってランク付けがされる。高ランクになると、大けがをした時のポーションなどの優先購入権などの様々な特典がある。


 将来的には、冒険者に一般人が素材の依頼をしたりするなど、依頼を斡旋することになる。


 この内容については、順次増えていくが、強制力などがあるものを適応するときは連絡をする。


といったような内容だった。建物だけを見ると、小さいデパートのようだったが、言わばここは冒険者という職業の者たちが集う一つの会社なのだ。



読んでくださりありがとうございます。

菅原隊長はこれからも関わる人です。

次の更新は明日の20時です。

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