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奇想の艦隊  作者: 置草茅
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この日、日本のニュースは台風の話題で一杯だった。

「あれって。何だよ」


 あれって、何だ。通過するてっ何だ。

 その日は何かまずい事があるのか。


「知らないのか。台風6号を。結構でかい台風で、この辺は全く影響はないけど、遊園地なんかは台風の目とはいかないが暴風域に入るのは確実だろうよ」


 台風6号?あぁ、そう言えば、そんなニュースがパソコンの掲示板やスマホのニュースにもよく掲載されていたっけか。でも、今は確か四国側の太平洋上に居るんじゃあなかったか?

 久留米さん達は予定通りなら二泊した後、学校へ向かってバスで帰ると言っていたから……でも待てよ。その日はあくまでその周辺の海上を通過するだけのはずだ。予定コースでは。


「だが、その日は台風の影響は出ないんじゃあないか。だって海上の上じゃあないか」

「分かっていないなぁ、悠馬は。「もしも」の話をしているんだよ」


 なんだ「もしも」か。

 だったらそんな気にする事じゃあないかも知れないな。

 えっと、台風が学校周辺の海上に現れるのは……来週の火曜日か。まぁ、滅多な事がない限り学校に帰れないと言う事はないだろう。


 何せその遊園地行きのバスは学校側がチャーターし、いざとなれば国にお願いして様々な手段を駆使して生徒の安全を第一に考える事だろう。

 僕が深く考える必要はここにきて「全く」ないと考えるのが妥当。


 そしてスプーン一杯に掬った炒飯を口に運ぶ。

 たまに食べる食堂の味がこれまた格別だ。沢山食べれないのが残念だけど。


 相変わらず新造艦の建造に励み、その時々で昼飯や晩飯を頂く日々が過ぎていく。ニュースは台風6号の情報が逐一入ってくる。

 何々?今は遠州湾寄りの太平洋側に居て、進行速度は極めて速く真っ直ぐ駿河湾を突っ切りそのまま相模湾を通り浦賀水道を抜けて日本を去るコースか。


 ふむ。学校がある所には被害はほぼなし……だな。千葉県には直撃しそうだけど、まぁ問題ないだろうし例の遊園地がある場所にもコースは予定では外れている。

 大丈夫だ。問題ない。


「はむ」


 うむ。今日もコンビニのおにぎりが上手い。

 ptの関係上、二つぐらいしか買えないんだよなぁ。あとは、何か安い物を一つと。実に寂しい晩飯である。もういっその事、給糧艦でも作って簡単な料理をただで毎日頂けるように設計しようかな。

 そうと決まれば、今設計中の駆逐艦を後回しにして給糧艦の設計じゃ。


 補助艦艇なしには海軍は成り立たない。そして何より、僕が飢え死ぬ前に建造せねば。

 おにぎりを頬張った後、その理想の給糧艦の設計に入った。よく、物事を忘れてしまう僕は忘れないうちに設計を済まし、空いた時間に建造に回す事が多い。

 これがいい一例かも知れない。


 自分のためにではなく、これはクラスの為だと。自分の理論を無理やり正当化した。

 罪悪感なんて物はない。この艦種は仲間のためにptを使い建造しているのだ。僕の判断は間違っていないだろう。

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