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奇想の艦隊  作者: 置草茅
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断って風間と雑談。

「いやいや。実はその人数分、この遊園地行きの切符を手に入れたんだよね。それで、人数が足りないから悠馬君を誘う事にした訳よ。で、どうかな」


 切符か。バスで行くぐらいしか手段はあまりないと思うけれど、でも、そんなに行きたいとは思わないな。僕はいつも通り、のんびりと過ごす事にしよう。


「悪い。色々予定が詰まっていてね。すまないが僕はキャンセルしてくれないか?」


 向こうは「あぁ……うん。分かった」と言うのを最後に通話を切った。

 机には新型重巡洋艦の原案設計図があり、その紙の上には先が丁寧に削られた鉛筆と消しゴムがソッ……と置かれていた。


「断ったのかい。折角の夏休みを堪能しなきゃ。部屋にずっと引きこもって艦艇の設計図ばかりを書いていてもつまらないだろう?」


 全くその通りだ。

 僕はあの時。承認していればよかったかも知れない。外へ出るのはこの食堂で安い食事を取る間だけ。今日の昼飯は並みの炒飯ちゃーはんを一杯と無料で飲めるお茶一杯である。

 そのお値段。何ともまぁ、お安い342ptである。


「でも、僕はクラスの全員からその期待を一挙に受けてこの6万pt。今は1万5千ptだけど、与えられ、それをいかに上手く使うかで悩んでいるんだ。それに、その1万の中には風間。お前の分も入っているんだぞ」


 そうだ。僕は、クラスの全員の期待を一挙に受けて毎日、空いた時間を利用して設計、建造を粛々と行っている。そして毎日。必ず、予定通りの時刻に波300型及び波315型偵察潜水艦の情報が詰まったメモリカードを手にしパソコンに繋げて文字通りパソコンとの睨めっこをしている。

 そろそろ視力を気にかけたほうがいい時期かも知れない。


 絶対、去年より低下しているのは目に見えているしね。

 目の前の席で食事を取っているのは高校の中でも今や一番の友人となった風間だ。あいつは今。ラーメンを食べている。その値段。約660pt。


「いいよな。風間は。能力にptをあまり使わなそうで」

「まぁ、嫌味として受け取っておこう。一応言っておくけど、ptを使えば能力だって格段に上がるんだよ。この間だって2千ptを投資したら文字の大きさを調整出来るようになったほどだ」

「なんだ、その地味なバージョンアップは」


 皆。ptを使ったら能力がバージョンアップするのか。

 僕はptを使ったらどんなバージョンアップが出来るんだろう。少なくとも、電子技術及び砲撃技術。雷撃能力なんかは格段と上がるだろうな。

 潜水艦だって現代艦みたいな外観になり、静粛性は勿論の事。攻撃力や索敵能力だって上がるかも知れないし、何より、連携攻撃が格段に上がるかも知れない。


 そんな事を考えながら僕はスプーン一杯分の炒飯を口に入れる。

 あぁ、一杯だけでも、減ったと言う感じがしみじみと伝わって来る。


「しかし、久留米さんは本当にこの時期を選んで正解だったのかな。確か帰る頃には、あれが来るだろうし、あれは丁度、遊園地を通過するだろうし」

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