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奇想の艦隊  作者: 置草茅
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礼文型掃海母艦が拾った荷物。

 積雲は大破。修理するさいのptは残りの2万ptから支給できるが新造艦に回したいため、新たに防空駆逐艦:詠月えいつきに曳航を依頼した。

 詠月はロープを八本、積雲の艦首に放ち固定させて慎重な操舵の下、積雲救出作戦は実行された。この穴は地味にやっかいで中々積雲を曳航できずそれどころか1cmも進まなかった。


 曳航が始まってから三十分後。最終的に詠月は無理やりロープで引っ張る事にし最大戦速を発揮。だが、八本のロープが一斉に千切れてそれまで微妙なバランスを保っていた積雲が一気に傾いている右側に傾きとうとう地面へ横たわった。


 横たわって数分後。野球部員達が様々な方法で復元を試みた。左側にロープを数本引っ掛けて綱引きのように数人係でロープを引っ張ったが大きさは玩具より大きいぐらいのサイズだが全長は普通に一メートル以上はあった。

 そして重量もそこそこあって数人では復元できなかった。


「仕方ない。雷撃処分かな」


 僕は少し溜息をついて、結局、雷撃処分を下す事にした。雷撃処分は本来の使い方ではないが近くに居る詠月の4連装魚雷発射管1基4門で行った。


 シュパァ、シッパァ、と四本の魚雷が横たわる大破状態の積雲に向かって直進。一本は誤差もありコースを外れて艦尾に命中したものの他は全て艦中央に命中した。

 ぱっくりと割れたその船体はゆっくりと地面へ飲み込まれていくように、別次元の海の底へと沈没していった。この沈没の光景を描いた人が居たらしい。それは文化祭に初めて知る事になる。


「……これがその周辺地域にて拾われた例の物か」


 自室へ戻り僕は、後に調査をさせておいた波318潜が通報。礼文型掃海母艦の二番艦。尾道が旧式の掃海艇。第五号型掃海艇の第八号及び第六号艇が引き上げ、母艦の後部甲板へ移した後、クレーンにて波318潜の後部甲板に例の物を固定し、ここまで運んで来たと言う。

 何もそんな面倒な方法じゃあなくても。


「コードの破片に……金属製の物体。小さな鉄板に、ゴミが付着したネジが数十本」


 これは間違いなくロボットとかそう言った部類の素材だろう。それが校外の道に散乱していたと尾道の報告にはあったから、恐らく。僕の考えは片弾を受けて被弾したあの犬は足を損傷したままその艦隊で言う母港へ帰還したのではないかと考える。

 仮にそうであったとしたら、歩いている途中でこう言った物が剥がれ落ちると言うかポロポロとっ落ちていったに違いないだろう。


 ではやはり、奴は生き物ではなく「ロボット」なのか。それとも機械生命体みたいな新しいジャンルの生き物なのか。

 ……あぁ、やめだやめ。分からなくなってきた。


 取り合えず、近所の人の迷惑にならないように今後も、掃海部隊はその道に落ちているこの物体を収集するように伝達しておこう。

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