姉からの手紙。
此処は以前、報告によると伊1207潜が浮上し生徒達にその姿を曝した道の近くにあるカフェへ連れてこられた。このカフェは基本、女子生徒が多く利用する事が入学後の潜航調査によって分かっている。その為、僕はあまり近づかなかった。
内装はどちらかと言えばスタバに似ている。
同店を潜航偵察したのは波300型の波313潜だった。当艦にとってある意味、初陣であるこの調査は無事、発見される事なく任務を達成した。
だが、女子の視線も光っており、また監視カメラもその目を光らせていた。
潜望鏡の防水カメラによる撮影は断念されたが店内の内装のみ、地図に記されていた。
「で、話てっ何」
不満げそうにそして呟くように言い放った。先程も述べた通り、この店。男子が少ないのだ。見かける男子生徒と言えばカップルらしい奴のみだ。
男子生徒のみの団体様。ましてや男子生徒が一人で座っているような英雄は此処にはいない。
ほぼ、女子が支配する空間。正直。気まずい。
そんな気まずい中、姉ちゃんは普通にコーヒー?を注文。僕は日用品用のptが少ないので、無難に一番安そうなココアを注文。
何一つ会話がないまま数分が経過し注文した品が到着する。少しコップに口をつけてまずは一口。飲んでみる。感想を言おう。こんな状況下ではあるが、うまい。
うまかったのでもう二口目に入ろうとしたとき、姉ちゃんが本題に入った。
「本題に入るわ。もう、そっちのクラスでは9月に予定されている能力大会について話し合ったのかしら。話し合ったならきっと方針も定まっているはずよね」
うちのクラスの方針を今この場で話せとな?いくら相手が姉ちゃんであってもクラス全員がありとあらゆる手段を使ってでも生き残ると決めた方針は他の人には絶対に話さないぞ。
絶対にだ。
「悪いけど、方針は決まっていても話すつもりはないよ」
「そう」
まるで僕の返事を予想していたかのような素振りを見せた後、姉ちゃんはスゥ……と手で何か小さい紙を机の上に滑らせるように僕の所へ渡してきた。
此処へ呼んだ目的はこれか?
「これは?」
「そうね、強いて言うならば……警告、忠告てっ感じかしら。詳しい事はその紙に書いているわ」
紙にはこれと言ったタイトルのような物は堂々と書かれていない。一見手紙のように見えるが中身は極秘情報かも知れないしただたんに嫌がらせかも知れない。
どの道、この中身には充分警戒をしておこう。
「そんなに警戒しなくてもいいわ。ただの警告よ」
忠告から警告へ変えたあたり、何かあるな。僕の勘がそう言っている。
「簡単に内容を言うと、艦隊整備に関する制限をそこに書いているわ。実行しなければ、悠馬は残念ながら、早々に能力大会から退場する事になるわ」
艦隊に対する制限だと?いつ、どこで僕が艦隊を扱っていると知った?情報管理はしっかりとしているはずだ……何処だ。何処から漏れた。




