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奇想の艦隊  作者: 置草茅
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人を小さな潜水艦に載せて行くスタイル。

 伊1300型食料水分潜水補給母艦は本来。その力を文字通り補給任務を担当し、実物サイズのレトルト食品や非常食。ペットボトルに入った飲料水などを多くその小さい艦内に搭載し手渡す際は艦内に設置されている補給用のベルトコンベアを三つ搭載し、そこから自動で食料及び飲料水を提供する。

 運ばれてくる際は玩具より少し大きい感じの物だが手の取れば直ぐに実物サイズに戻る仕様でクラスメイト達の生命線として活躍が期待される。


 にしても、空中に潜水艦が浮上するほど、シュールな光景はないだろう。しかし今後。絶対に必要になるのは間違いないはずだ。……誰かに見られてはいないよな?


 伊1304潜の後部甲板は物資補給スペースとしてとても広々しているが全幅はそこまで広くない。僅か11cmの広さに横になって倒れているこの男子生徒を乗せないといけないのだ。そして、恐らく僕は……広さのスペースや幅の関係上、伊1304潜には便乗できないだろう。

 既に僕の部屋は校内にある小さな消防署から消防車が出撃し消火作業に当たっているようだ。


「頼んだぞ」


 一つの命をその腹に抱えた伊1304潜は、4基搭載されているワイヤーで固定し浮上航行をしつつ降下して行った。これも中々シュールな光景だ。

 伊1300型食料水分潜水補給母艦の船体の色は一応目立たないように褐返かちかえし色と呼ばれる色で船体を塗りつぶし反射を避ける事に成功した。


 さてと、僕はどうしようかな。自室は煙で一杯。廊下もそろそろ充満してきた頃だろう。ベランダの窓を閉めておいたがもう数センチ先までしか見えない。煙をどうにかしないとな。

 そう言えば結局、僕の部屋へ侵入し設計図を持ち去ろうとしたその謎の女性については分からずじまいだったな。波327潜も結構派手に破壊したし、残った資料と言えばその潜水艦が撮影した写真ぐらいか。

 もう少し、波315型偵察潜水艦及び春龍型ポンプ式動力攻撃型潜水艦を建造しておこう。


 少なくとも、波315型が得る情報はどれも無視する訳にはいかない貴重な情報ばかり。いつ、どこで役に立つか分からないしな。


 僕が色々と考察している間に状況を察したのか、一隻の潜水艦が再び空中に浮上。ゆっくりと前進しながら浮上したので周囲に漏れそうな雑音はほぼしなかった。

 この時、僕をベランダから逃がそうと浮上した潜水艦は春龍型の中でも新型に当たる十七番艦。北龍の姿が此処にあった。

 北龍の艦名は「北方を守護する龍」から来ている。その逞しい姿を目の当たりにした僕は思わず「おぉ……」と声に出てしまった。


 ベランダから何とか抜け出し、北龍の細心の注意による操舵によりベランダから僅か20cmもない間隔で機関を停止し僕が後部甲板に足を乗せるのを静かに待つ。

 僕が秘密兵器を搭載している後部甲板に足を乗せて体勢を保ったのを確認した北龍は、伊1304潜と同様。ゆっくりと前進しつつその場から降下していった。

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