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奇想の艦隊  作者: 置草茅
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波327潜の戦い。

 自室で無音潜航中の波327潜は今、作戦行動に入った。だだっ広い廊下を駆けて悠馬が向かう中、不審な動きを見せ次第雷撃を敢行せよの命を受けた波327潜は静かにその4門の魚雷発射管を開く。

 机やベットを漁るような行動を取っているように見える女性は無論。この発射管が開く音なんて聞こえるはずがない。唯一、聞こえるとしたら「千里眼全般と音なら何でも拾う事が出来る」力を持つ宮本見附ぐらいだろう。


 シュパァァ!シュパァァ!と2本の魚雷から放たれた。コースはそのまま、しっかりと女性の背後より迫り続け最終的に命中させる手はずだ。

 相手は人間なので轟沈や撃沈とはいかないが、命中すれば威力は本物なので撃破ぐらいは可能だろう。今まで沈黙を守ってきた波327潜だが、目の前で大切な設計図を漁る相手に対し。遂に、魚雷が放たれた。


 少しずつ女性に近づく2本の魚雷。少しずつ、少しずつと間隔を狭め遂に命中音が艦全体に響き渡る。だが、もう片方の音は命中音ではない。

 女性に命中したのは2本中1本。もう1本は窓ガラスに命中した。窓ガラスはパリンと割れてガラスの破片が床や外のベランダへ、僅かではあるが外へ放り出されるように落下する破片も認められた。


 この時、悠馬の部屋の外を巡回中だった春龍型ポンプ式動力攻撃型潜水艦の七番艦。へき龍は浮上して共に行動を取っていた僚艦である八番艦。かつ龍と合流の為、電波を発信していたが、この時、碧龍の頭上からガラスの破片が突き刺さった。

 碧龍は窓ガラスの破片で船体に傷がつく程度で潜航及び戦闘には何の支障もなかった。だが、複数の傷から漏れる水の音で静粛性が少し低下したが後に応急処置を済ませ、僚艦である活龍と合流し再び任務に従事した。


 一方、魚雷を1本食らい爆風で扉に背中から激突した女性は痛みが少し引いた後、状況を確認する。まず勝手にそして盛大に割れた窓ガラス。校内にある窓ガラスはどれも防弾ガラスのはずであるが、綺麗に粉々に砕け床に散乱している。そしてもう一つの謎は前触れもなく起きた衝撃波。


 衝撃波は丁度背中に起きたと言う事は今、立っていた場所の背後を目で確認するがそこにはただ、白い壁のみが広がっている。

 彼女が状況を整理している間にも波327潜はその性能をフルに発揮し彼女の目の前に布陣し魚雷発射管を一つ開く。一発で決めようと言う算段だろう。


 シュパァァ!

 放たれた魚雷は真っ直ぐ彼女に目掛けて直進する。数秒後。魚雷は彼女のお腹周辺の手前で爆発。衝撃波により扉が破損し白い煙が部屋の中から漏れ始める。

 煙を探知した警報機が寮全体に鳴り響くと同時に火災警報も男子寮全体へ響く。


 ジリリリリッ!と鳴り響く中、寮に居た男子達は「どうした!?」「何があった!?」「誰だ悪ふざけで押した奴!」と怒鳴るような声も聞こえれば困惑する声も聞こえた。

 非常時なせいか皆、声の大きさが少し高くなっていた。

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