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奇想の艦隊  作者: 置草茅
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追尾者確保。

 水柱の水しぶきにより彼女は尻餅しりもちをついた。下を向いたが前に人の足が確かに二本。見えた。人の足だ。服装は制服だろう。そして、その制服のズボンは男子生徒を指していた、つまり、目の前に居るのは彼女が追っていた男子生徒と言う事がとっさに判断出来た。

 彼女は恐る恐る尻餅をついたままゆっくりと下がりながら上を見上げる。そこには彼女を見下ろす悠馬の姿があった。


「あっ、後ろ」


 悠馬は何があるのかを確認しようと後ろを振り向いた時。彼女は地面を蹴って体勢を立て直し勢い良く駆け出した。だが、数メートル行った先にいきなりすっ転ぶ。何かにぶつかったのだ。

 膝に傷を負い血が少し流れる。「痛ぁ……」と文句ありげにそして小さく呟くように言った後、何にぶつかったのかを確認するためこけたと思われる場所に振り返る。


 何もない。大きな石も転がっているはずもないこの道に何か長細い「物体」があった。あったと言うよりは浮かんでいた。船のようにも見えたが船とは何かが違う。ブリッジと思われる構造物は船とは少しかけ離れた外観をしている。それもそのはずだ。

 その「物体」とは普段は海中の中にひっそりと潜み夜間のみに浮上し昼の間はその闇の世界。海中で大半を過ごす。その過ごす期間は最低でも一ヶ月と言われている物体。


 そう。本来、浮上していはいけないはずの潜水艦が彼女の目の前に浮上していたのだ。そしてもう一隻。再び尻餅をついているその座っている場所が少しずつ浮く感覚を彼女は覚える。

 サバァァァ……。

 海でもないのに波のような音が彼女が居る地面から鳴った。潜水艦が浮上したのだ。


「見たな。本来、「それ」は昼の間は姿を見せてはいけない物を。しかも、船体にまで傷をつけるとは」


 僕は少し脅すような感じでゆっくりと迫る感じに言った。船体に傷を負ったのは彼女を捕らえるのに失敗した波304潜だ。船体には転んだ際の跡がくっきりと浮かんでいるが、潜航には支障はない。

 彼女を捕らえたのは春龍型ではない。確かに6万ptのうちから建造されたがその目的はバラバラになったクラスメイトのために別次元から物資や食料、飲料水。そして艦艇のための燃料を給油できる万能型潜水補給艦だ。


 発想としては修理や補給を担当する伊1206型波型潜水艦補給母艦の発展型と考えてもらったほうが分かりやすいよね。本型は監視カメラが機能しない能力大会へ向けて合計八隻建造が確定して残りは他のクラスメイトの要望によって増えたり……減ったり……。

 ともあれ、クラスメイト達の生命線になる事は間違いないだろうと見ている本艦を態々浮上させた理由はこの一つ上の先輩と思われる女子生徒にこれ以上追尾しないでほしいと言う警告も込めている。

 その気になればこう言った兵器も「投入」出来るんだぞ……てっ言うある意味の警告をね。


 そして軽い質問を何度か繰り返して行くと、彼女が僕を追尾してほしいと依頼した人物が僕の予想を裏切った。その依頼した相手は。

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