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奇想の艦隊  作者: 置草茅
73/122

小規模な潜水艦対能力者。

 「撃て」


 僕の一声で拡龍から二本の魚雷発射管がゆっくりと開き放たれた。シュパァァ!シュパァァ!と放たれるときの音だけが静かなる別次元を支配した。だが、別次元にて放たれた音なので当然、僕以外に周囲で聞こえる者はいない。

 魚雷は時速60kmで迫り、二本共、彼女の背後で自爆。自爆させたのだ。

 突然、背後から少し大きめな爆発が鳴れば彼女も驚きのあまり自分の後ろを再確認するが、はやり、誰もいない。不安と恐怖心が彼女を襲った。


「はッ!」


 彼女は左腕を前に出して指先は拡龍とは全くかけ離れた方向へ指を差す。するとどうだろう。数秒後、彼女が指差した地域はあっちこっちで小規模ではあるが爆発が散り散りに炸裂した。

 勿論、拡龍は無傷である。

 拡龍は次いで悠馬から今度は本気で当てろと言う指令を受け、目標ターゲット指定ポイントを艦内の魚雷発射管室にある照準装置にその数字を入力し終えると自動で魚雷がその方向へ固定された状態で装填される。


 発射管もその方向へ沿って狙いを済まし、そして放たれた。

 放たれた音は直感ではあったが彼女自身も何かを感じ取った。そして何かが迫る場所を指先で指定しその周囲に爆竹並みの火力を持つ爆発を散り散りに炸裂させた。

 魚雷はこの炸裂に巻き込まれ彼女が向く方向33kmほど前方で炸裂。


 その場だけ二本の水柱が上がり彼女自身。この出来事で自分が「何か」に狙われている事を悟る。そして放たれたと思われるポイントに予測ではあるがピンポイントで爆竹のような爆発を炸裂させる。

 その場所は拡龍が潜望鏡深度まで浮上していたポイントと誤差はあるが炸裂した。

 炸裂する数秒後。


 拡龍自身も身の危険を察知し数十秒前から最大速度で後進を始めており自身が撃沈されたかのように偽装するため彼女が指定したポイントに魚雷を一本放つ。

 魚雷はそのポイントへと急行し彼女の炸裂に巻き込まれ爆発。その場に巨大な一本の水柱が形成されて周囲にはゴミのような物が散り散りになって散乱していた。

 その光景を見て呟くように彼女は言った。


「や……やったの……たす、助かった……助かったの」


 今にも消えそうなその震えた声で彼女は全身を震わせながらそのゴミのような。どちらかと言えば「何か」の破片のような物が散乱する場所を見ながら恐る恐る見渡す。

 遂にその後数十秒は何も起きず安心しきって前を振り向いたその時。

 密かに装填を済ました魚雷が彼女の目の前に炸裂する。水柱と共にその大量の水しぶきを浴びながら彼女は何が起こったかを必死に理解しとうとしていた。


 その魚雷は拡龍が放った物ではなかった。その魚雷は……前方に展開していた伊1204潜の姿が別次元にありそしてその発射管は一本。今、閉まったところだった。

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